生物多様性保全・自然再興に関する取り組み強化

30by30目標達成に向けた活動への貢献

当社は、2022年12月開催の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された「昆明・モントリオール枠組」の主旨を踏まえ、日本政府が目指す30by30目標の達成に貢献するべく、「生物多様性のための30by30アライアンス」へ2023年3月に参画しました。このアライアンスは、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに自国の陸域・海域の少なくとも30%を保全・保護する30by30に、官民連携して取り組んでいく有志連合です。

当社においても、当社事業所における「郷土の森づくり」や「海の森づくり」をはじめ、生物多様性の保全が図られている区域の「自然共生サイト」への登録を目指して取り組みを開始しており、2023年10月に当社名古屋製鉄所を含む11社の企業や行政、学生、専門家、NPOが連携して取り組みを進めてきた知多半島グリーンベルトが認定を取得しています。

「自然共生サイト」とは

「自然共生サイト」とは

自然関連の情報開示への対応

現在、自然の状態は人類の歴史上最も速いペースで劣化しているといわれ、社会に利益をもたらす自然の重要なサービス(生態系サービス)の多くが衰退する可能性があると危惧されています。

この自然劣化の直接的な要因は、陸域・淡水域・海洋の領域における利用の変化や資源搾取・気候変動・汚染・外来種移入等の様々な人間活動による自然に対する圧力だといわれています。

当社は、当社の主要事業活動である鉄鋼生産もまた、自然に対して影響を与えていると認識し、鉄鋼生産と自然との依存と影響関係をTNFDの推奨するアプローチに沿って評価・分析し、事業活動へ反映しています。

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に沿った情報開示

当社は、生物多様性保全・自然再興(ネイチャーポジティブ)が、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーと同様に重要な環境課題である事を認識し、諸施策の取り組みを強化するとともに、自然関連リスクの低減および機会の実現に向けた戦略を検討して事業活動へ反映していきます。

TNFD最終提言に沿った開示アプローチ

当社は、TNFDの推奨する自然関連の開示推奨項目につき、LEAPアプローチに沿った評価・分析を行いました。

TNFD最終提言に沿った開示アプローチ

1. ガバナンス

当社では、環境政策担当の代表取締役副社長が委員長を務める「環境政策企画委員会」で半年ごとに環境政策課題について報告・議論しています。自然関連の依存と影響、リスクと機会に関する検討課題についても、気候変動対策や循環型社会構築などの他の環境政策課題とあわせてこの委員会で報告・議論され、その結果は経営会議および取締役会において報告・審議され、取締役会の監督を受けています。

2. リスクとインパクトの管理

当社の自然への依存と影響の把握およびリスクと機会につき、TNFDで提唱されているLEAPアプローチ(Locate, Evaluate, Assess, Prepare)に沿って、当社の主要事業である製鉄事業の直接操業(製鉄所)やサプライチェーン上流の鉄鉱石や原料炭の採掘を対象に、評価を行いました。これらの自然関連のリスクとインパクトを管理するためのプロセスは1.ガバナンスで述べた通り、全社的なリスク管理プロセスへ統合されています。

評価対象事業の選定

3. 戦略

当社鉄鋼事業の直接操業(製鉄所)とサプライチェーン上流(主要原料サプライヤー)を対象にENCOREツールなどを用いて依存・影響関係を評価し、重要な依存・影響関係に紐づく自然関連のリスクと機会について、当社のビジネスモデルや戦略、財務計画に与えるインパクトの観点から評価・分析を行いました。

4. 測定指標と目標

当社では、TNFDのコアグローバル指標に基づき、重要な依存・影響関係およびリスクと機会を管理しています。また、直接操業において重要な影響関係があると評価された水資源および水質汚染リスクについては、3.戦略のリスク分析の結果を反映し「重大な環境法令違反・環境事故ゼロ」「用水循環率の高位安定」を目標に掲げて取り組みを行っています。

[指標 : 重要な依存・影響項目に関するTNFDコアグローバル指標]

No. 自然変化の要因 指標 当社の開示内容(直接操業:製鉄所)
C2.1 汚染/汚染除去 排水量 放流先別の排水量(m3
C3.0 資源の使用/補充 水不足地域からの取水量と消費量 水不足地域に位置している拠点なし
水源別の取水量および消費量(m3

[指標 : リスクと機会に関するTNFDコアグローバル指標] 

No. カテゴリー 測定指標 当社の開示内容(直接操業:製鉄所)
C7.2 リスク 自然に関連する負の影響により、その年度に受けた相当の罰金/科料/訴訟の記述とその金額 なし
C7.3 機会 関連する場合には、政府又は規制当局のグリーン投資分類法、あるいは第三者機関である産業界又はNGOの分類法を参照し、機会の種類別に、自然関連の機会に向けて投入された資本支出、調達又は投資の金額 13億円
(製鉄所美化・緑化費用)

[目標および実績 : 重要な依存・影響項目、リスク・機会を管理するための目標と実績] 

対象 指標 目標 進捗の管理方法 2023 年度の実績
水質汚染 重大な環境法令違反・環境事故 ゼロ 連絡・通報制度の整備、社内監査・ヒアリング ゼロ
水資源 用水循環率 高位安定 社内監査・ヒアリング 循環率 約90%

サステナビリティ メニュー

サステナブルファイナンス