サプライチェーンにおける様々な取り組み

生産安定化に向けた取り組み

当社は、特に影響の大きい高炉やコークス炉も含め、重点的に生産安定化に取り組んでいます。また、足元は低位の出銑比が継続しており、こうした状況下での操業設計のつくりこみにも注力しています。このような生産安定化の取り組みにおいては、DXを用いたソリューションも多用しています。

例えば、機械装置の異常を把握しトラブルを未然に防ぐケースにおいては、従来はマンパワーによる定期点検で確認していましたが、今では大量の無線振動センサを取り付けることで24時間監視できるようになり、異常の把握や対応が迅速に行えるようになりました。加えて、収集したデータを一元管理し、AIや機械学習などで解析することにより、更に付加価値の高い情報を得ることが可能となってきました。

また高炉においては、炉内の状況は把握が困難であるため、熟練したオペレーターの勘と経験に頼るケースが散見されていましたが、現在では、高炉炉体に設置したセンサから温度、圧力、ガスの分布状況等を1秒単位で計測し、3次元画像で炉内の状況を再現する技術を用いることで、高炉操業の安定化と生産効率の向上を図っています。また、こうしたシミュレーションによって将来の操業状態を予測し操業を最適化するような自動制御にも取り組んでいます。

加えて当社では、お客様の要望に沿った製品を納期通りにお届けするため、営業全体を総括管理する本社部隊が販売と生産の状況を把握しつつ全社の製品製造計画を立案し、日々調整しています。その計画を受けた工場側の工程管理部隊は各製造拠点の生産性等も念頭に置きながら一品一品の進捗を管理し、製品の納期を守りつつ製造から出荷までの製造工程を最適化する取り組みを行っています。

国内物流の生産性向上

当社は、国内向け鋼材の約6割について、産業物流の基幹輸送手段である内航船を約200隻使用して輸送していますが、その内航海運業界においても、他の物流業界と同様に、担い手不足の問題が顕在化しています。

当社グループでは、その対策の一つとして本社に物流管制センターを設置し、最新の国内物流管制システムを活用した物流効率化に取り組んでいます。具体的には、内航船の位置情報や製鉄所の岸壁荷役の進捗率、中継基地の在庫状況といった内航船の配船や管理に必要な情報を一元化し、リアルタイムでのモニタリング・オペレーションを実行することで輸送効率の向上を実現しています。

このような取り組みは内航海運業界のみならず国内産業物流の生産性向上および易作業化につながるもので、担い手不足の緩和にも貢献できるものと考えています。

[物流管制センター機能概要]

物流管制センター機能概要

国内物流の担い手不足に向けた対応

当社グループでは、船員確保対策の一つとして、実務型練習船「れいめい」を建造し運用を開始しています。中小事業者(船主)が多い内航海運業界では、定員数以上の船室を容易に設置できないことや、指導する船員の負担も大きいことから、意欲があっても新たな船員の採用・育成を進めるのが難しい状況にあります。今回の実務型練習船は、指導員1名と練習生最大5名が乗船可能な船室と快適な居住空間およびブリッジ・食堂等の実務環境を整備し、新たな船員の育成に大きく貢献するものとなっています。

当社グループは、今後もこのような取り組みを通じて国内産業物流の持続的発展に努めていきます。

実務型練習船「れいめい」

実務型練習船「れいめい」

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