トップメッセージ

A Message from the President and COO

代表取締役社長兼COO 今井 正

代表取締役社長兼COO 今井 正

 代表取締役社長兼COOの今井正です。

 当社はこれまで、長期的な視点から、他社に先駆けて国内生産設備の構造対策、注文構成の高度化、適正マージンの確保等を実行し、損益分岐点を4割引き下げました。これらの取り組みが奏功し、厳しい経営環境下にあっても安定的かつ高水準の利益を計上できており、当社の収益力は、世界鉄鋼メーカーの中でもトップ水準にあります。

 現在、グループ会社も含めた国内製鉄事業の再構築に加え、海外製鉄事業の深化・拡充により事業の「幅」方向への成長と、原料事業から流通に至る鉄鋼サプライチェーンの上流・下流を一貫して事業領域とする事業の「厚み」を増す成長戦略の組み合わせにより、強靭な事業構造を追求しています。
 特に海外製鉄事業においては「需要の伸びが確実に期待でき、かつ当社の技術力・商品力を最大限に活かせる分野」に注力し、鉄源からの一貫生産をM&Aで拡大する方針のもと、2025年6月にU. S. Steelの買収を完了しました。本交渉の中で米国政府に約束した条件は、U. S. Steelの更なる成長を追求するという観点において、我々の戦略にとって何ら障害にならないと考えています。そもそも米国鉄鋼市場は、潜在的鉄鋼需要も含めると1億5千万トンに及ぶ、世界的に見て圧倒的に大きな市場、かつ高級鋼のウェイトが高く、今後も安定的な成長が期待できます。この市場において今後実行していく設備投資は、U. S. Steelの企業価値を高めるために必要かつ有効なものであり、採算性にも問題はありません。当社の技術を移転することで製造実力を格段と強化し、これまで製造できなかった戦略商品を新たに投入して、付加価値を高めてまいります。

 気候変動対策も経営の最重要課題の一つです。技術開発による生産プロセスの革新だけでなく、巨額の投資を回収するための市場・制度づくりや、インフラ整備などにも、国や社会との積極的な対話も含めて、取り組んでまいります。また、サステナビリティ課題への取り組みにおいて、かつてない多様で困難な経営課題に直面している今、特に重要なのは人材の強化です。国内事業で育成した人材は、例えば海外事業展開において、様々なリスクをマネージしつつ新たな課題にチャレンジし続けることで更に成長することができます。このような人材競争力の強化についても弛まず取り組んでまいります。

 当社は、今後も持続的な企業価値向上に弛まず努め、総合力世界No.1の鉄鋼メーカーを実現してまいります。