水リスクマネジメント
当社は、事業活動において、継続的な水使用量の削減および効率性の向上による、環境負荷の低減に努めています 。製鉄所・製造所を含む全拠点 で年間約59億m3の淡水を使用しますが、その約90%は再生・循環使用しており、大切な水資源を無駄にせず、排水量が最小限となるように努めています。そのために排水処理設備の機能を維持・改善し、排水の水質をきめ細かに点検管理する等、日々の努力を続けています。このような再生・循環使用の取り組みは、水不足に対するリスク低減にも貢献しています。当社の事業拠点は全国にまたがりますが、WRI Aqueductによる評価でHigh Risk以上に分類されるエリアに立地する製鉄所はなく、水ストレスに晒されている製鉄所はないと評価しています。
しかし、万が一、取水制限に至った場合に備え、一部の製鉄所では独自の貯水池を持つ等水源確保にも努めています。
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2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
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使用量 | 23 | 23 | 22 | 22 | 22 | 20 | 20 |
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2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
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総量(海域等) | 30 | 29 | 29 | 29 | 29 | 27 | 27 |
※水質に応じ適切に排水処理を行い、排水基準を遵守した上で放流
※海域以外は下水道(全体の0.01%程度)
また、水質汚濁防止の重要性に鑑み、万一操業トラブルが発生しても、異常な排水を製鉄所・製造所外へ出さないように、排水自動監査装置、排水遮断ゲート、緊急貯水槽等の設備を設置し、それらを有効に使用するため作業手順を定め、定期的に訓練を行い、手順の改善に努めています。
さらに護岸・岸壁からの異常漏水を防止するために、手順を定め、定期的に点検するとともに、設備対策を推進しています。

(瀬戸内内製鉄所 広畑地区)

(関西製鉄所 和歌山地区[堺])
異常排水リスクへの対応
日本製鉄は、万一操業トラブルが発生しても、異常な排水を製鉄所の外に出さないような設備対策を実施しています。
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水リスクへの対応 局地豪雨対策・護岸漏水対
局地豪雨対策
近年、異常気象による局地豪雨等の発生頻度が増加傾向にあります。製鉄所の広大な敷地の中に降った多量の雨水は、排水処理能力の許容量を超えると、直接海域等に流出する可能性がありますが、原料を保管しているエリアでは、粉状の鉄鉱石や石炭などが雨水に巻き込まれ、着色した水が流出するリスクがありました。そのため、製鉄所内のリスクのあるエリアを特定し、当該エリアの雨水を集水し貯留できる大型の貯水槽を設置するなど、局地豪雨時等でも異常排水を防止できる対策を実施しています。

雨水貯水槽
護岸漏水対策

護岸点検
製鉄所では使用する水の約90%を繰り返し利用
当社は、鉄の製造工程に使用した水のうち、一部は浄化処理後に製鉄所外へ放流しますが、大部分は再生・循環させて繰り返し利用します。循環利用にあたっては、一度使用した水を冷却・汚濁除去する等、用途に応じて様々な処理を行っています。そのため、日々の操業のなかで、各処理設備の点検・整備や水質管理を徹底しています。
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製鉄所の環境対策
水質浄化、異常排水防止
排水凝集沈殿処理設備
細かな不溶解成分を薬剤で大きな塊にして沈めることにより除去します。
加圧浮上設備
油分を気泡の力で浮かせて除去します。
活性汚泥処理設備
有機物をバクテリアで分解して除去します。
ろ過設備(二次処理)
処理した後の排水中に残る不溶解成分を砂の層でろ過し除去します。
排水自動監視装置
排水の水質を自動で監視します。
排水遮断ゲート
万一のトラブル時に排水を迎断します。
雨水排水処理設備
貯留した雨水の不溶解成分を凝集沈殿し除去します。
護岸点検
護岸に異常がないか、定期的に海上から点検を行います。
護岸損傷部の補修
点検で確認した損傷部位は速やかに補修を行い、護岸を健全に維持管理しています。