人権の尊重
人権の尊重
当社は、人権尊重に関する基本的な考えのもと、人権侵害防止に向けた風土・職場環境づくりに取り組んでいます。
基本的な考え方
当社グループは、世界人権宣言等の人権に関する国際規範のもとで、多様な価値観を尊重し、円滑なコミュニケーションと協働により個性を活かすことで、豊かな価値を創造・提供していきます。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」等に基づき、企業の社会的責任を踏まえて制定した「日本製鉄グループ企業行動規範」に則り、経済のグローバル化に伴う人権問題等に十分配慮しつつ、高い倫理観を持って事業活動を展開しています。労働者の権利を守り、強制労働や児童労働を排除する等、あらゆる人権の尊重は企業活動の基本です。当社グループは国籍、人種、宗教、思想信条、性別、年齢、性的指向、障がいの有無等に基づく不当な差別の排除に努めています。また、海外事業の展開にあたっては、各国特有の伝統・文化・商慣習・労使慣行等にも十分な配慮をしています。
当社グループは、こうした人権尊重に関する基本的な考えのもと、従業員が相互に多様な価値観を受け入れ、一人ひとりが持てる能力を最大限に発揮できる職場環境づくりに努めます。そしてその成果として生産性の向上が図られ、労働条件や福利厚生、就業環境の改善が促進されることで従業員の豊かな生活と会社の発展を目指します。
人権侵害防止に向けた取り組み
人権リスクへの対応
当社は、各事業所に人権啓発推進者を配置し、事業所単位で人権啓発活動を推進するとともに、会社全体として人権啓発の取り組みを実施していく観点から、毎年3月に「全社人権啓発推進者会議」を開催し、人権啓発教育や新たな人権リスク等に関する意見交換を行い、次年度における人権啓発活動の方針を検討しています。それを踏まえ、年度初めに管掌役員を議長、各事業所の人事責任者を構成メンバーとした「全社人権同和啓発推進会議」を開催し、当年度の人権啓発活動の方針を決定しています。
各事業所においては、「全社人権同和啓発推進会議」で決定した方針に則り人権啓発活動を実施することに加え、事業所ごとの課題も考慮した研修会を開催する等、従業員に対する啓発活動に積極的に取り組んでいます。また、各地域の公共団体等が主宰する人権啓発組織や活動にも参画し、地域と一体となった人権啓発にも努めています。
また、国内外のグループ会社に対して、当社の取り組みを横展開するとともに、内部統制に関するチェックリストを通じて、労働関係法規の遵守状況、相談窓口の設置等について定期的にモニタリング調査を実施しています。
当社はこうした取り組みを通じて、時代とともに変化する人権リスクの把握からリスクを低減するための体制整備や仕組みの構築等、人権侵害の防止に向け継続的かつ組織的な活動を展開しています。
児童労働・強制労働の防止
当社は、児童労働・強制労働に関する国際規範を基本とし、双方を根絶するとの方針のもと、関係法規を遵守するとともに、グループ会社に対しても定期的にモニタリング調査を実施する等、当社グループの事業活動における発生を防いでいます。
給与に関するコンプライアンス
当社は、給与支払いに関して法令を遵守し、各国・各地域・各業種別に定められた最低賃金以上の給与を設定しています。また、賞与については、各国、地域、業種の実態等について定期的に調査を行うとともに、労働組合ともその都度、真摯な話し合いの場を設け、経営実態や業績も踏まえながら従業員へ適切に還元しています。
人権啓発教育
当社では、「全社人権同和啓発推進会議」で決定した方針のもと、新入社員からベテラン層までのすべての階層ごとの研修に人権啓発に関するコンテンツを組み込み、ハラスメントや同和問題、LGBTQへの理解促進、業務遂行上の人権問題等、様々なテーマについて教育を行っています。
また、人権侵害を未然に防止するためには、日常における円滑な労使関係を基盤とした従業員との双方向のコミュニケーションが重要であることから、管理職研修やグループ会社幹部への研修においては、健全な労使関係の構築に向けた教育にも取り組んでいます。
人権に関する階層別研修 受講者数(2021年度実績) |
5,590名 |
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これらの人権侵害防止に向けた風土・職場環境づくりに資する全体教育に加え、就職差別防止の観点での採用業務従事者に対する公正な採用選考に関する教育や、海外事業における人権侵害防止の観点での海外赴任者に対する異文化理解・コミュニケーション等(各国特有の伝統・文化・商慣習・労使慣行等への配慮)の教育等、特定の業務における人権侵害リスクに対する教育にも取り組んでいます。
救済措置の仕組み
当社は、人権を含めた様々なコンプライアンス問題に関する相談窓口を明確化し、従業員および関係者にとって相談しやすく、また会社としても人権侵害事象を把握・特定できる苦情処理メカニズムの構築をグループ全体で推進しています。
具体的には、ハラスメント等の人権侵害に関する通報・相談について、当社従業員および当社グループ従業員とその家族はもとより、取引先の従業員等から受け付ける「コンプライアンス相談室」を設置・運用している他、様々なステークホルダーからの通報・相談をWebサイト上のお問い合わせフォームを通じて受け付けています。これらの内部通報・相談等の個別事案への対応については、通報・相談者のプライバシーを保護し、不利益な取り扱いを受けないよう十分な配慮をした上で事実関係を調査し、必要に応じ弁護士・外部専門機関等、社外の助言を得て、関係者への指導・教育を行うとともに、その適切な解決を図っています。
また、人権侵害の未然防止や事案が発生した際の解決を図る上では労使関係が果たす役割が重要であることから、当社労使間においては、労働協約や労使協定又はこれに直接関連のある諸規則の解釈適用に関する紛議が生じた場合、労働組合と締結している苦情処理手続きに関する協定に基づき、労使双方を委員とする苦情処理委員会を設け、紛議の解決を図る仕組みを整備しています。
ステークホルダーとのコミュニケーション
当社は、法令や労働協約に則り、労働組合の「団結権」と「団体交渉権」を尊重することで、健全な労使関係の維持に努めています。労働組合とは、双方向対話による相互理解を重視した上で、全社を対象とした話し合いの場に加え、各事業所単位でも話し合いの場を設け、経営状況、安全・衛生や生産等の経営諸課題、給与・賞与等の労働条件、ワーク・ライフ・バランス等について話し合いを行っています。また、職場組合員から労働組合に寄せられる職場実態等についても労使間の緊密な意思疎通を図っています。こうした労使の話し合いについては議事録として記録に残し、イントラネット等を通じて経営幹部から職場組合員まで共有しています。
また、定期的に全社共通の社内報や各事業所の所内報を発行し、従業員に対して各種メッセージを発信するとともに、社外に対しても広報誌等を通じて当社事業等についての情報を発信しています。事業所においては、事業所近隣の自治会とも定期的に対話の場を設けており、当社事業に対する理解促進とともに地域住民の意見・要望を聴取する等、地域とのコミュニケーションにも努めています。
労使の話し合い実績 (2021年度) |
全社 95回 各事業所 942回 |
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労働組合の 組合員数・組織率 (2022年3月末現在) |
26,429名 (組織率100%) |