人材の活用と育成

人材育成

当社は、「世界最高の技術とものづくりは人づくりから」を合言葉に、「現場力」と「技術先進性」を高め、製造実力の向上に取り組んでいます。

人材育成基本方針

当社では、競争力の源泉は「人の力」であるとの認識のもと、経営理念に「人を育て活かし、活力溢れるグループを築きます。」と定め、重要なテーマとして人材育成に取り組んでいます。当社の人材育成が目指す到達点は、企業理念と社員行動指針を理解し、実践できる人づくりです。これを念頭に各社員が主体性を持った、人材育成を進めています。

当社の人材育成の基本は、上司と部下が業務に関して日々の対話を重ねながら、物事の判断基準や座標軸、そして具体的な業務スキルを伝えていくものです。それを全社員に明示し、共有するために、「人材育成基本方針」を定めています。

人材育成基本方針

  • 人材育成は仕事そのものであり、人材育成において上司の役割は重要である
  • 人材育成の基本はOJT であり、それを補完するのがOFF-JT である
  • 人材育成の目標と成果を上司と部下が具体的に共有する
  • 一人ひとりが更なる成長を目指し、自らのたゆまざる研鑽に努める
単位 2020年度*1 2021年度*1 2022年度
教育訓練時間実績 時間/人・年
[万時間/年]
62
[182]
32
[90]*2
28
[80]*3

*1データの精査・再集計に伴いサステナビリティレポート2022等での報告内容から、修正あり
 また、2020年、2021年度は減産下で実施した教育訓練を含む

*22021年度は新型コロナウイルスまん延下での研修の一部中止・延期や、新入社員減少の影響あり

*32022年度は生産が回復したため、2020年、2021年度に実施した減産下の教育訓練は実施していない

操業・整備系人材育成

操業・整備系人材は、入社から定年退職にいたるまで、長期雇用を前提として、鉄鋼製造・整備に関する技術・技能を弛みなく蓄積し、当社の現場力を根幹から支えています。円滑に技術・技能の伝承を推進することが必須であり、入社した従業員全員を一人前に育て上げる仕組みを構築しています。具体的には、習得すべき技能の一覧を技能マップとして明確にした上で上司と部下が対話し、具体的な育成計画を作成・実行しています。個人別OJT(On the Job Training)を中心に育成を実施しており、その進捗に基づき育成計画の修正・実行を繰り返すという人材育成のPDCAを回しています。

操業・整備系人材育成

人材育成 PDCA概念図

個人別OJTを補完するOFF-JTについても、日本製鉄の従業員として必要最低限習得すべき技能・知識を全社標準体系として階層ごとに整理し、全社統一的に実行しています。そのなかで、現場発の知恵(=現場技術)の創出力を一層引き上げていく職場リーダー教育や、高齢層が健康かつ意欲高く働き続けるためのモチベーション維持・向上施策等も推進しています。

また、当社の鉄鋼製造において重要な役割を担っていただいている協力会社とのパートナーシップを深化・拡充する観点から、人材育成面での連携を積極的に推進しています。具体的には、協力会社各社の研修に加えて、当社主催での協力会社従業員向け研修を実施しています。新人・若手・職長・作業長・ライン管理者といった幅広い層を対象に、それぞれの層別に必要となる知識・スキル等の研修を当社社員が講師となって展開しています。こうした取り組みを通じて協力会社各社の人材育成を支援するとともに、構内で働く当社社員と協力会社社員の交流を促進し、円滑な業務遂行の基盤づくりを行っています。

採用ソースの多様化(女性・中途採用等)にも取り組んでおり、人権啓発・ハラスメント防止等を通じて、多様な人材が意欲を持って協働できる職場風土の構築を推進しています。

操業・整備系人材育成
操業・整備系研修体系

* 協力会社従業員向けには、上記体系とは別に、層別(新人・若手・職長・作業長・ライン管理者)に必要となる知識・スキル等の研修・教育を当社社員が講師となって展開。

スタッフ系人材育成

人材育成基本方針のもと、スタッフ系についてもOJTを基盤とした人材育成を効果的に実行し、定着させていくために「人材育成PDCA」を定めています。企業理念・社員行動指針や組織戦略をもとに個人別の育成計画を策定し、1年間の具体的な計画に基づき上司–部下間の対話を基軸としたOJTを行っています。年度の終わりには上司–部下間で育成状況を振り返り、次年度の育成計画につなげていく仕組みとしています。

OJTを補完するOFF-JT研修の充実も図っています。各種研修は資格や役職に応じて求められる知識・スキルの習得を目的とした育成施策として実行しており、入社以降、管理職に昇格するまでの期間を「鍛錬」「創造」「自立」の3ステップに分けて、2年目、3年目、5年目といった節目で業務報告会や階層別研修を開催しています。また、仕事を進める上で必要となるスキルを向上させるため選択型研修、当社の技術者として必要な知識を体系的に学ぶことができる技術教育プログラム等を整備しています。これらは上司–部下間での対話のもと、個々人の育成ニーズに応じて受講することができます。

5年目研修での研修風景

5年目研修での研修風景

新任主査研修でのグループディスカッション

新任主査研修でのグループディスカッション

スタッフ系人材育成

「鍛錬」

入社後数年間で、各専門分野での基礎を徹底して学ぶと同時に、一つひとつの実践の場を通じて社会人としてのマナーと仕事を行う上での基本の型を習得します。

「創造」

まとまりのある業務を最初から最後まで一貫して遂行し、実務遂行能力を養うことと合わせて、各自が自分の専門分野での軸をしっかり定め、創りあげます。

「自立」

自らの責任で業務を推進する経験を重ね、チームをまとめてけん引する力を養うと同時に、部下・後輩の育成にも目配りできることが重要であり、これらを経て独り立ちしていきます。

管理職の人材育成

管理者が果たすべき責任と権限の正しい理解、および「上司」としてのマネジメントのあり方やグループ経営力強化に資する知識・スキルや心構えの習得を目的とした研修を資格や役職に応じて実施しています。近年では、製造現場に強いライン長を育成するライン長候補者研修や、管理者としての役割・責任の理解、リスク管理や業務・組織マネジメントスキルの習得を目的とした新任課長研修の新設に加えて、上司としての対話力に関する教育の強化を図る等、管理職教育に一層力を入れています。

技術先進性を支える人材育成

世界最高の技術とものづくりを実現する人材を育成するため、製鉄技術者として必要な知識・スキルを体系的に学ぶことのできる講座を準備しています。特に製鉄プロセス等の固有技術に関する講座は当社の技術を「結晶化」させたものであり、社内の優秀な技術者を講師として、基盤技術から先端技術までを学べる環境を整備しています。

グローバル人材育成

社員がグローバルに活躍するための教育として、現地でビジネスを行う上で必要な基礎知識習得・異文化理解を目的とした赴任前教育を行っています。また、社員として到達すべき英語力の基準を設定し、社員の英語力底上げを図るとともに、業務上必要性が高い社員については、海外で自立的に業務を遂行できるレベルへ引き上げるプログラムを用意しています。

また、将来における国内外事業の担い手を育成するため、若手管理職を対象として、事業管理に必要な知識およびスキルの習得とマインドの醸成を目的としたミドルマネジメントセミナーを実施しています。

現地従業員の人材育成についても、当社の「人材育成基本方針」に則って、OJTを中心に人材育成に取り組み、業務スキルの伝承に取り組んでいます。また、海外グループ会社が集積しているASEAN・インド地域においては、階層別研修やスキル研修等、OFF-JT研修も実施しています。

ASEANインド上級管理者研修 本社ビル前にて(東京)

ASEANインド上級管理者研修 本社ビル前にて(東京)

ASEANインド上級管理者研修 マネジメントプログラム

ASEANインド上級管理者研修 マネジメントプログラム

デジタル改革を推進するための人材育成

データサイエンスとデジタルマネジメントとの両輪で人材育成を進めています。データサイエンス教育ではDXスキル研修を整備し、2030年までに全スタッフ系社員を「データを有効活用できる」データサイエンスユーザーに育成するとともに、「データを高度活用できる」シチズンデータサイエンティストをスタッフ系社員の2割以上育成することを目標としています。

デジタルマネジメント教育では、業務部門においてデジタル技術を用いた業務プロセス改革を推進できるよう、全管理者を対象に、DX推進における管理者の役割理解および意識改革を促す教育を行っています。これら2軸での教育を行い、データとデジタル技術を駆使した生産・業務プロセス改革の推進を図ります。

デジタル・マネジメント教育 データサイエンス教育

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