PERSONTechnology

CO2排出量を削減する
製鉄法を確立したい。

山木 修Shu Yamaki

職種

研究

技術開発本部 プロセス研究所 製銑研究部(2015年入社)

ポジション主任研究員

大学時代の専攻応用化学

炭素ではなく水素で
鉄鉱石を還元させる。

製鉄プロセスの最上流を担う「高炉」。この巨大な設備の中で、酸化鉄である鉄鉱石から酸素を取り除く還元反応を起こし、鋼(はがね)の原料となる銑鉄を作っています。しかし、高炉法では、鉄鉱石とともに高炉に投じるコークスから生じる一酸化炭素ガスを用いて還元させるため、多量のCO2(二酸化炭素)が生じます。環境負荷の大きなCO2を削減することは、これからの社会においてきわめて重要な課題であり、私が取り組んでいるのは、このCO2の排出を抑える製鉄法の開発です。具体的には、一酸化炭素の代わりに水素を使って鉄鉱石の還元反応を起こし、CO2ではなくH2O(水)を発生させようというもので、実用化に向けて研究を進めています。

シミュレーション技術も
駆使して現象を解明する

一酸化炭素ではなく水素で鉄鉱石を還元させると、いままで経験したことのない未知の現象にも直面します。そもそも分子の大きさが異なるので、高炉内での反応挙動が変化しますし、また、水素による還元は吸熱反応であるため、高炉内で熱不足が生じる恐れもあります。さまざまな問題をクリアしていくために、高炉内を再現した超小型の装置で実験を行い、還元反応で生じた現象を解析し、そこから得たデータをもとにシミュレーション技術を駆使して実証を重ねています。入社当初はシミュレーション技術にも疎かったのですが、この研究を通じて大いにスキルが磨かれました。こうしてひとつひとつ問題を解き明かしていくことに、いまやりがいを感じています。

留学で博士号を取得し
さらにレベルを高めたい。

当社は、研究者として大きく成長できるチャンスにあふれた環境です。たとえば、私は以前、和歌山の製鉄所に短期出張して高炉の立ち上げを経験しました。実験レベルではないリアルな製鉄を肌で感じ、そこで得た知見はいまの研究に活きています。また、アカデミックに自分を高められる機会もあり、私も社内の留学制度を利用して近々、海外の大学に留学する予定です。そこで水素還元に関する研究を行い、博士号の取得を目指したいと考えています。この製鉄法の研究開発は、おそらく実用化まで10年スパンを要する息の長いものになると思います。地道に実力を高め、世界の最先端を行く研究成果を上げ、鉄鋼業の省CO2に貢献できればと考えています。

Q&A

学生時代に学んでいたことは?

超低温下で電気抵抗がゼロになる超電導技術に関する研究をしていました。具体的には、超電導を利用して強力な磁力を持つ新材料の研究開発に取り組んでいましたが、就職にあたっては新しいテーマに挑戦してみたいという気持ちがあり、研究内容を活かすことに特にこだわってはいませんでした。

入社の決め手は?

当社の技術者の方々にお会いして技術的な議論で大いに盛り上がり、好感を持ったこと。また、事業のスケールがきわめて大きく、社会に与えられるインパクトも大きいと感じたことが入社の決め手になりました。

現在の仕事内容は?

入社時、最上流から関わって製鉄全体に影響を及ぼす研究がしたいと希望して製銑研究部に配属となり、以来、高炉内で鉄鉱石から鉄を取り出す時に生じるCO2を削減する「水素還元技術」についての研究を行っています。

職場環境の特徴は?

地域貢献をとても意識している会社だと思います。研究所で地域住民の方を招くイベントも定期的に開催しており、以前にはお子さんたちと一緒にモデルロケットを作って打ち上げ、私自身も楽しいひと時を過ごしました。

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2025年以降卒