技術開発
素材としての可能性を極限まで引き出すこと、
すなわち「鉄を極める」という目標に向け、私たちは挑戦し続けています
圧延中のように高速に移動する鋼材の温度を調べるためには、非接触で測定が可能な放射温度計(パイロメーター)が用いられます。この放射温度計は対象物(鋼材)からの熱放射の光エネルギー(可視光~赤外線)を検出しますが、途中に水滴などが存在すると光エネルギーが散乱・吸収され著しく減衰して安定に測温が出来ません。とくに圧延中では鋼材の特性を向上させるため水冷却が重要であり、その過程での測温技術が望まれていました。
今回開発した新温度計は、逆に水を鋼材に向かって噴水(ファウンテン)のように流し出し、この噴き出し水を熱放射の光エネルギーの通過する光路とすることで、安定的に測温する技術であります。そのため、水で吸収されにくい光エネルギーの選択や、噴き出し水を形成する特殊なノズル形状などが特長です。このように水を噴出することを特徴とする放射温度計であることからファウンテンパイロメーターと名づけています。
この新温度計を用いることで熱延鋼板の高精度な温度制御技術が可能になり、冷却過程での温度精度が大きく向上しました。その結果、自動車軽量化に効果のある高張力鋼板の安定製造に大きく寄与し、CO2削減にも貢献しています。
パイロメーター:パイロ(pyro)は”火”を意味する接頭語。パイロメーターは熱放射を感知して測定する非接触式の表面温度測定装置のこと。