2024/09/04
日本製鉄株式会社
日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)は、United States Steel Corporation(以下、USスチール)の買収(以下、本買収)完了後のガバナンス方針(以下、本方針)を以下の通り公表します。
日本製鉄は、本買収により、USスチールとその米国国内生産能力を強化し、最先端の技術を米国内に導入することで、米国の産業基盤およびサプライチェーンをより強靭化し、米国の国家安全保障を強化するものと確信しています。これらは、国家の支援を受けている中国鉄鋼メーカーに対抗するための競争力を高めることになります。
本方針は、上述の本買収がもたらす利益を確実なものとし、USスチールが米国産業界において米国の象徴的な企業であり続けるために策定し、本日公表するものです。
本方針の詳細は以下の通りです。
(下線箇所は、本日新たに公表する内容です。)
1. USスチールは、日本製鉄の子会社であり、米国ニューヨーク州法人であるNippon Steel North America, Inc.(以下、NSNA)を通じて、米国企業として存在し続けます。NSNAは、米国で50年以上にわたり事業を展開しており、計2,500人以上の従業員を雇用する複数の米国企業を所有し、そのうちの約620人は、全米鉄鋼労働組合(以下、USW)の組合員です。
2. USスチールは、NSNAのもと、ペンシルベニア州ピッツバーグに本社を維持し、以下のガバナンス体制を構築します。
a. USスチールの取締役の過半数は、米国籍とします。
b. USスチールの取締役会は、少なくとも3名の米国籍の独立取締役を含むこととします。
c. USスチールの経営陣の中枢メンバーは、米国籍とします。
米国国内における生産
1. 日本製鉄は、米国の鉄鋼市場において、USスチールの米国国内生産を優先します。
2. 日本製鉄は、USスチールの国内生産能力を強化するために、以下の(a)から(d)を約束します。
a. USスチールの既存の生産拠点への大規模な投資の実行
ⅰ. USWとの基本労働協約の対象拠点に対して、少なくとも14億ドルの投資を実行します。これはUS スチールがUSW との間で締結している現在の基本労働協約に定める内容に追加するものです。
ⅱ. モンバレー製鉄所の競争力を高めるために、少なくとも10億ドルを投資し、歩留、エネルギー効率、製品品質、操業効率全体の向上を図ります。この投資には、モンバレー製鉄所の熱延設備およびその他設備の新設またはリフレッシュが含まれます。
ⅲ. ゲイリー製鉄所の第14高炉を改修します(約3億ドルの投資見込み)。
b. USスチールの生産や雇用の海外移転は行いません。
c. 本買収に伴うレイオフ、工場休止・閉鎖は行いません(USWと合意した一定の例外事由による場合を除きます)。
d. 日本製鉄はUSスチールに高度な生産および技術能力を供与します。これには、高炉におけるCO₂排出削減技術も含まれます。
通商
1. 日本製鉄およびNSNAは、USスチールにおける通商問題に関する決定や、不公正な貿易に対する米国法に基づくアンチダンピング・相殺関税命令やセーフガード措置等の通商措置の請求には干渉しません。これには、日本製鉄が事業を展開している国に関する決定も含まれます。
2. USスチールに米国籍の委員から成る「通商委員会」を設置・維持し、この委員会は通商問題に関してUSスチールの取締役会に助言し、その意思決定過程を文書で記録します。
3. USスチールの通商措置に関する意思決定に対して、日本製鉄およびNSNAによる干渉がなされないことを確実にするため、通商措置に関する決定は独立取締役の過半数の承認を必要とすることとします。また、当該意思決定過程をUSスチールにおいて文書で記録します。
日本製鉄によるUSスチール買収は、他のどの選択肢よりも、米国ラスト・ベルト地域を再活性化させ、米国の労働者、地域コミュニティ、そして国家安全保障に利益をもたらすものと確信しています。このような投資は日本製鉄だけが実行可能であり、これらを通じて、USスチールと米国鉄鋼業界全体は、より強固な基盤を築くことができます。
日本製鉄は、公正かつ客観的な規制当局の審査において本買収がもたらす効果が支持され、本買収が早期に完了することを期待しています。
以 上