2023/01/05
日本製鉄株式会社
代表取締役社長
橋本 英二
「新たな事業構造を構築し、更なる高みへ挑戦」
2022年はすべての基盤となる強い収益力の確立に向け、大きく前進した年となりました。一方で、世界の鉄鋼業が極めて厳しい時代に突入したことが、明確になった年でもありました。世界的に鉄鋼の生産が低迷する中にあって、鉄鉱石や原料炭は高止まりする、原料と製品のディカップリングが起きています。まさに過去にない厳しい環境下での生き残りという、新たな大競争の時代に突入したといえます。
新たな大競争に打ち勝ち、脱炭素で世界をリードしていくために、確実に解決していくべき足元課題、および、今後の経営戦略について述べたいと思います。
確実に解決すべき足元課題は、①経営上の最大問題である安定生産力の早期確立、②設備エンジニアリング力および設備管理力の強化、③前倒しで進めてきた構造改革の完遂、④注文構成の高度化の早期達成と市場ニーズへの的確な対応、の4点です。
これら足元課題に加えて、今後の経営戦略を構築していくに際しては、脱炭素の推進と、原料と製品のディカップリングという新たな課題の克服、この二つの視点が基本となります。すなわち、上工程である原料について、これまでの調達から踏み込み、自らの事業領域として展開していくことや、内外の需要低迷が想定される中、下工程である流通についても自らの事業領域として展開することで、より多面的な市場対策を可能としていくことが必要です。原料から製造そして流通までの一貫体制を構築し、外部環境に左右されない厚みを持った事業構造に転換していく、ということが新たな基本戦略となります。
過去にない大きな試練に世界の全ての鉄鋼メーカーが晒されていくということは、新たな大競争に打ち勝ち、脱炭素で世界をリードすることで、当社が総合力世界No.1に復権する絶好の機会が到来したということでもあります。本年を、グローバル1億トン、連結事業利益1兆円を実現していく、具体的なプランを策定し、新たな事業構造を構築し、さらなる高みへ挑戦していく年にしたいと思います。