2021/01/05
日本製鉄株式会社
2019年4月の社長就任以来、収益力の早期回復を第一優先課題とし、ソフト・ハード両面での構造改革を進めて参りました。収益上の最大課題である本体国内製鉄事業の赤字脱却はコロナにより大きな打撃を受けたことから、残念ながら1年遅れとなる見込みです。今後、当社を取り巻く事業環境は一段と厳しくなる見通しであり、現在策定中の次期経営計画においては、以下の3つが柱となります。
1つ目は、国内製鉄事業の再建です。戦略商品への積極投資による注文構成の高度化、技術力を確実に収益に結び付けるための設備新鋭化、商品と設備の取捨選択による集中生産、この3つにより収益力回復するという方針に変わりはありません。
2つ目は、海外事業の深化・拡充です。不振事業については撤退を進めてまいりました。今後の新規案件の主力はアジアでの一貫製鉄事業の拡大であり、インド事業の規模拡大と併せ、新規M&Aの可能性を探っていくこととなります。グローバル事業規模1億トン体制の実現に向け、案件の具体化を進めていくこととします。
3つ目は、ゼロカーボンスチールへの挑戦です。CO2削減という地球規模でのニーズへの対応に加え、技術開発面で先行することによって日本に高炉一貫生産体制を維持します。技術・商品力に磨きをかけ、国土強靱化への貢献、或いはユーザーのグローバル競争の下支え、という当社の変わらぬ使命を果たしていきます。
以上の次期経営計画の柱の実現には、ベースとなる本体製鉄事業の収益力の早期回復が大前提となることは言うまでもありません。
DXの推進やゼロカーボンスチールへの挑戦等、多くの中長期課題を解決していかなくてはなりません。コロナの終息は見通せず、米中対立も解決の兆しが見えません。世界の6割を占める中国における需要はいずれ頭打ち・反転により、激動の時代へ突入することは避けられません。一方、世界の鉄鋼需要は今後とも増加していくことは間違いありません。問題は勝ち組となれる競争力があるかどうかであり、当社は何としても勝ち残らなくてはなりません。
総合力世界ナンバーワンの旗を降ろすつもりはありません。本年2021年を、大競争を勝ち抜いてグローバル事業規模を1億トンへ拡大する、新たな発展への出発の年としましょう。