原油タンカー用高耐食性鋼板「NSGP®-2」が世界で初めてタンク天井部用として船級承認を取得

2014/11/06

新日鐵住金株式会社

原油タンカー用高耐食性鋼板「NSGP®-2」が世界で初めてタンク天井部用として船級承認を取得



 新日鐵住金株式会社(代表取締役社長:進藤孝生、以下、「当社」)の開発した原油タンカー用高耐食性鋼板「NSGP-2(*1)」が、IMO(国際海事機関)が定める原油タンカーの貨物タンク甲板(天井部)の耐食性能基準を満たす鋼材として、一般財団法人日本海事協会から9月に、ロイド船級協会(以下、船級協会)から10月に、ともに世界で初めて承認されました。
                               
 原油タンカー貨物タンクの防食措置に関するSOLAS条約(*2)の2010年改正により、2013年以降に建造契約されるタンカーの腐食対策が義務付けられました。この腐食対策として耐食鋼を使用する際には、船級協会等の公的機関からIMOルールおよび当該機関のルールを満足するものとして承認を得ることが必要となりました。今回、当社のNSGP-2が船級協会から承認を受けたことで、防食が義務付けられる原油タンカー貨物タンクに適用する際に、正式に塗装なしで使用できることとなりました

 原油タンカー用高耐食性鋼板「NSGP-2」は、油漏れなどの重大事故につながるおそれのある原油タンカーの貨物タンクの天井部の腐食を防ぐために、少量の合金を最適に組み合わせることで耐食性を保ちながら、溶接・加工等従来鋼とほぼ同様の使用性能を有しています。
NSGP-2を実際の船(*3)に適用し、長期間に渡り防食効果を検証した結果、25年使用した際に、鋼板の板厚減少量が従来鋼と比べ5~6割程度に減らせることを世界で初めて確認しました。

 当社では、原油タンカー貨物タンク底部用鋼板NSGP-1の承認を日本海事協会から2011年に取得済みです。今回承認を得たNSGP-2と合わせて使用することで、貨物タンク底部から天井部まで塗装を不要とすることが可能となり、建造時や竣工後の定期的な維持管理に際し、塗装・点検用足場などの周辺準備等含め、塗料費削減や工期短縮が可能となり、また環境負荷軽減にも寄与します。

 当社は、今後とも高機能鋼材の開発・提供を通じて、船舶のより一層の安全性向上と地球環境への貢献に取り組んでまいります。

*1:NSGP(Nippon Steel and Sumitomo Metal Green Protect)は新日鐵住金の登録商標です。

*2:2010年5月にIMO(国際海事機関)のMSC87(海洋安全委員会)で採択された国際条約。5,000DWT以上の原油タンカー用貨物油タンクに対し、塗装性能基準に従った塗装、または耐食鋼の使用等の代替措置による防食保護を要求するもの。

*3:2005年8月に就航した原油タンカーにNSGP-2を試験適用。

図1がNSGP-2の適用部位、図2が腐食低減効果(25年推定)。

図1耐食鋼の適用部位



図2実船試験(天井部)における25年推定平均板厚減少量の比較


図3 VLCCの断面図 NSGP適用箇所


(お問い合わせ先)総務部広報センター TEL:03-6867-2977



以上

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