衝突安全性に優れた造船用鋼板「NSafe®-Hull」を世界で初めて実用化

2014/08/05

新日鐵住金株式会社
今治造船株式会社
独立行政法人海上技術安全研究所

衝突安全性に優れた造船用鋼板「NSafe®-Hull」を世界で初めて実用化

 新日鐵住金株式会社(代表取締役社長 進藤孝生、以下「新日鐵住金」)が開発した、衝突安全性に優れた高延性造船用鋼板「NSafe®-Hull(エヌセーフ ハル)」が、今治造船株式会社(代表取締役社長 檜垣幸人、以下「今治造船」)、独立行政法人海上技術安全研究所(理事長 茂里一紘、以下「海技研」)との実用化に向けた共同研究を経て、この度、世界で初めて株式会社商船三井の船舶(ばら積み船)に採用され、8月2日に進水いたしました。

 高延性造船用鋼板「NSafe®-Hull」は、従来の施工性を維持しながら、高い延び性を有することにより、船舶の衝突安全性を高めることができる新しい鋼板で、新日鐵住金が成分設計と結晶粒レベルの組織制御を行い、開発致しました。
 「NSafe®-Hull」は鋼板の延びに優れる為、船舶に適用した場合、船舶の側面から衝突された際に穴が開くまでの衝撃吸収エネルギーが約3倍となります。これによって、従来の鋼材に比べて船体に穴が開きにくくなります。これは鋼板の延び性と船舶の衝突安全性に関する3社での共同研究の結果、実現したものです。
 今回実用化された船舶には、貨物倉船側部、燃料タンク部などの高い衝突安全性が求められる場所に、合計約3,000トンの「NSafe®-Hull」が採用されています。船体に穴が開きにくくなることにより、浸水防止や貨物保護、深刻な環境汚染につながる油流出の防止の役割を担っています。

写真1:NSafe®-Hull採用船と同型船
(株式会社商船三井提供)

【ばら積み船の概要】
載荷重量:206,600トン、
サイズ :全長299.94メートル、幅50.00メートル、
     深さ24.70メートル
建  造:今治造船株式会社 西条工場
船  社:株式会社商船三井
進  水:2014年8月2日
NSafe®-Hull使用量:約3,000トン





図1:NSafe®-Hull採用部位(赤色および黄色部分)

       
図2:NSafe®-Hull採用部位(赤色部分)


図3:船舶の側面衝突(概念図)


図4:衝突シミュレーションの一例(12ノット衝突後1.4秒後)(動画)

 今後は、一般財団法人日本海事協会(以下「NK」)の「業界要望による共同研究」スキームによる支援を受け、更に高度な解析を実施していく予定です。また、NKでは、本船のように安全性を高めた船舶に対し「ノーテーション(船級符号への付記);識別表示」を付与し、船舶の安全性向上を推進することを検討しています。

 新日鐵住金、今治造船、海技研は、「NSafe®-Hull」の幅広い船舶への適用を通じて、今後とも安全で確実な海上輸送の実現に貢献してまいります。


(プレスリリースに関するお問い合わせ先)
新日鐵住金株式会社 総務部広報センター     TEL:03-6867-5807
今治造船株式会社 丸亀事業本部船体設計グループ TEL:080-2851-9155
独立行政法人海上技術安全研究所 企画部広報係  TEL:0422-41-3005

以 上

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