ステンレスの製品FAQ
「ステンレスの製品FAQ」に関する製品FAQ 12件
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ステンレス鋼とは、鉄(Fe)にクロム(Cr)を重量比で10.5%以上含有させた合金で、炭素(C)が重量比で1.2%以下のものの総称です。特徴は、きわめて錆び難い鉄鋼材料と言うことになります。クロム(Cr)のほかに、さらにニッケル(Ni)やモリブデン(Mo)などを添加して、錆び難さをもっと改善したり、低温でも高温でも使える性質や、様々な形に加工できる性質などを付与したりした多種多様な鋼種があります。 鉄鋼以外で馴染みのある他の金属材料との比較ですと、例えばアルミや銅に比べて硬くて強度が高く、溶接も容易なため構成材料として身の回りの様々なところによく使われているのはご存知の通りです。低温から高温まで使用可能な温度範囲が広いことも特長です。また、アルミに比べて光沢のある表面が得られ、金属光沢を活かした各種の表面仕上げも可能です。
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ステンレス鋼も鉄鋼材料の仲間ですから、熱処理で硬さを変えることができます。マルテンサイト系のステンレス鋼(例:SUS420J2)などで熱処理条件を選択することにより、いろいろな硬さを得ることができます。例えば、カミソリの刃やバネなどに使われています。
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耐食性が必要な板バネ、コイルバネやぜんまいバネに高強度のステンレス鋼が広く使用されています。特に厚さの薄いバネは耐食性が良い材料でなければ腐食で直ぐに役に立たなくなってしまう危険性があるためステンレス鋼が圧倒的に優位です。キーボードや携帯電話のキーの下にあるバネやシートベルトのバネはステンレス鋼のバネの代表的な例です。
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最も一般的なステンレス鋼SUS304(18Cr-8Ni)は、通常の素材状態では磁石に着きませんが、プレス加工などして、大きく変形させた部分では磁石につくようになります。これはステンレス鋼の金属組織(結晶構造)が加工によって変化したためです(加工歪によるマルテンサイト変態)。 ステンレス鋼の種類(鋼種)によっては、大きく変形させた加工部でも磁石に着かないものもあり、目的によって鋼種を選定することができます。
なお、加工によって磁石に付くようになっても、成分には変化がありませんので、耐食性は変わりません。
なお、加工によって磁石に付くようになっても、成分には変化がありませんので、耐食性は変わりません。
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耐食性を始めとして様々な特長を持つステンレス鋼ですが、ご使用に際して幾つかのご留意いただく必要のある事項があります。以下に代表的な事例を示しますが、基本的には、適切な鋼種の選定や使用条件の調整などで問題なくご使用いただける場合が殆どです。詳しくは、お問い合わせ下さい。
(1) 応力腐食割れ(SCC : Stress Corrosion Cracking ):
主として、一般のオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304など)で、塩化物イオン等の腐食要因と引張応力とが同時に働く環境下で割れが発生、進展する現象です。外観上は腐食や割れが起こっているように見えない場合がありますので、特に構造部材では注意が必要です。応力としては、直接外部からの力による応力の他、溶接部近傍に残留している内部応力も原因となる場合があります。腐食要因の低減、応力の除去、鋼種の選定(フェライト系ステンレス鋼では起こりません)などが対策となります。
(2) 粒界腐食:
結晶粒界に沿って腐食が進展する現象で、主として、溶接熱影響や特定の熱履歴を受けた部位で発生しやすくなります。直接的な原因は、どの場合もクロム(Cr)が炭素(C)や窒素(N)と結合し、粒界にクロム濃度の低い領域ができてしまうこと(鋭敏化)です。鋼種選定、溶接条件変更、溶接材料の選定、熱履歴の変更などで回避が可能ですが、使用する鋼種によって対策の手法が異なる場合があります。実際のご使用に際しては、ご相談下さい。
(3) 時期割れ:
主として、一般のオーステナイト系ステンレス鋼で、強く加工した後に磁石に着くようになるSUS304などで、プレス成形(特に絞り成形)した時点では全く問題が無いのに、しばらく時間経過した後に、脆性的な縦割れが発生する場合があります。これは絞り加工によって発生・残留したある一定以上の引張残留応力の存在下で、やはり加工によって生成したマルテンサイトが水素によって脆化するために起こる一種の遅れ破壊です。一般的な対策としては、マルテンサイトの発生を抑制するために、加工温度を上げたり、Ni含有量を増やした材料を使用することが挙げられます。
(4) もらい錆:
ステンレス鋼の表面に主として鉄粉が付着してそれが錆びるために、ステンレスが錆びたように見える現象です。また錆びが付着した場合にも同じような現象になります。 鉄粉の付着原因としては、鉄鋼材料との擦れだけでなく、鉄製設備・工具や金型との直接接触でも容易に鉄粉が噛み込んでしまいますので、加工や取り扱いの際にもご注意が必要です。
(5) 異種金属との接触腐食:
一般に、耐食性の異なる金属同士を接触させて使用した場合、耐食性の良い方の金属は防食され、耐食性の劣る金属は腐食が加速されるという現象が起こり易くなります。
普通鋼とステンレス鋼とを接触させますと、普通鋼の腐食が促進しますが、やがてもらい錆びの原因となったりしますので、一般には絶縁処理や塗装などの防食処理が必要です。
ただし、異種金属接触腐食が実際に問題になるか否かは、使用環境、異種金属の種類、面積比など様々な要因が関与します。特にステンレスの部材を固定する際、留め具の素材によっては著しく腐食が促進されることがありますのでご注意下さい。
(6) 溶接部の腐食:
溶接熱影響による鋭敏化や、異なる材料同士が一旦溶融し凝固することによって起こる成分変化、溶接部の高温酸化などのために、溶接部では耐食性が低下する場合があります。適切な溶接方法や溶接材料の選定、溶接条件の調整の他、事前の溶接部の汚れの除去や溶接後の処理などにもご留意が必要です。溶接部の酸化スケールは、耐食性の観点から基本的に除去することを推奨します。
(7) 異種金属との溶接材料:
代表的なステンレス鋼であるSUS304同士の溶接では308系が、またSUS304と普通鋼とのいわゆる異材溶接では309系が溶接材料として使われることが一般的です。ステンレス鋼同士の溶接でもフェライト系を使う場合や、高耐食ステンレス鋼、二相ステンレス鋼の溶接の場合には、溶接部の耐食性や希釈(混ざり合うことによる成分変化)による材料特性変化、溶接部強度等を考慮して、必要に応じた適正な溶接材料と溶接条件を選定する必要があります。
(8) 時効脆化:
概ね550℃を超える高温でステンレス鋼を使用する場合に、時間の経過とともに金属組織が変化し、硬くて脆い化合物が生成するなどして、次第に材料が脆化する現象があります。こうした高温時効脆化は、実際には高温使用中よりも、設備点検などで常温に戻した場合に問題となることが多いです。高温脆化の温度は鋼種によって異なり、熱処理により修復でき、脆化割れを回避することが可能です。
(1) 応力腐食割れ(SCC : Stress Corrosion Cracking ):
主として、一般のオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304など)で、塩化物イオン等の腐食要因と引張応力とが同時に働く環境下で割れが発生、進展する現象です。外観上は腐食や割れが起こっているように見えない場合がありますので、特に構造部材では注意が必要です。応力としては、直接外部からの力による応力の他、溶接部近傍に残留している内部応力も原因となる場合があります。腐食要因の低減、応力の除去、鋼種の選定(フェライト系ステンレス鋼では起こりません)などが対策となります。
(2) 粒界腐食:
結晶粒界に沿って腐食が進展する現象で、主として、溶接熱影響や特定の熱履歴を受けた部位で発生しやすくなります。直接的な原因は、どの場合もクロム(Cr)が炭素(C)や窒素(N)と結合し、粒界にクロム濃度の低い領域ができてしまうこと(鋭敏化)です。鋼種選定、溶接条件変更、溶接材料の選定、熱履歴の変更などで回避が可能ですが、使用する鋼種によって対策の手法が異なる場合があります。実際のご使用に際しては、ご相談下さい。
(3) 時期割れ:
主として、一般のオーステナイト系ステンレス鋼で、強く加工した後に磁石に着くようになるSUS304などで、プレス成形(特に絞り成形)した時点では全く問題が無いのに、しばらく時間経過した後に、脆性的な縦割れが発生する場合があります。これは絞り加工によって発生・残留したある一定以上の引張残留応力の存在下で、やはり加工によって生成したマルテンサイトが水素によって脆化するために起こる一種の遅れ破壊です。一般的な対策としては、マルテンサイトの発生を抑制するために、加工温度を上げたり、Ni含有量を増やした材料を使用することが挙げられます。
(4) もらい錆:
ステンレス鋼の表面に主として鉄粉が付着してそれが錆びるために、ステンレスが錆びたように見える現象です。また錆びが付着した場合にも同じような現象になります。 鉄粉の付着原因としては、鉄鋼材料との擦れだけでなく、鉄製設備・工具や金型との直接接触でも容易に鉄粉が噛み込んでしまいますので、加工や取り扱いの際にもご注意が必要です。
(5) 異種金属との接触腐食:
一般に、耐食性の異なる金属同士を接触させて使用した場合、耐食性の良い方の金属は防食され、耐食性の劣る金属は腐食が加速されるという現象が起こり易くなります。
普通鋼とステンレス鋼とを接触させますと、普通鋼の腐食が促進しますが、やがてもらい錆びの原因となったりしますので、一般には絶縁処理や塗装などの防食処理が必要です。
ただし、異種金属接触腐食が実際に問題になるか否かは、使用環境、異種金属の種類、面積比など様々な要因が関与します。特にステンレスの部材を固定する際、留め具の素材によっては著しく腐食が促進されることがありますのでご注意下さい。
(6) 溶接部の腐食:
溶接熱影響による鋭敏化や、異なる材料同士が一旦溶融し凝固することによって起こる成分変化、溶接部の高温酸化などのために、溶接部では耐食性が低下する場合があります。適切な溶接方法や溶接材料の選定、溶接条件の調整の他、事前の溶接部の汚れの除去や溶接後の処理などにもご留意が必要です。溶接部の酸化スケールは、耐食性の観点から基本的に除去することを推奨します。
(7) 異種金属との溶接材料:
代表的なステンレス鋼であるSUS304同士の溶接では308系が、またSUS304と普通鋼とのいわゆる異材溶接では309系が溶接材料として使われることが一般的です。ステンレス鋼同士の溶接でもフェライト系を使う場合や、高耐食ステンレス鋼、二相ステンレス鋼の溶接の場合には、溶接部の耐食性や希釈(混ざり合うことによる成分変化)による材料特性変化、溶接部強度等を考慮して、必要に応じた適正な溶接材料と溶接条件を選定する必要があります。
(8) 時効脆化:
概ね550℃を超える高温でステンレス鋼を使用する場合に、時間の経過とともに金属組織が変化し、硬くて脆い化合物が生成するなどして、次第に材料が脆化する現象があります。こうした高温時効脆化は、実際には高温使用中よりも、設備点検などで常温に戻した場合に問題となることが多いです。高温脆化の温度は鋼種によって異なり、熱処理により修復でき、脆化割れを回避することが可能です。
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ステンレス鋼は、めっきのように表面処理によって耐食性を発揮しているのではなく、鋼材自体の耐食性が高いため、加工したり表面を疵つけたりしても耐食性には変化はありません。
A
ステンレスの耐食性調査は、実際にご使用になる環境において、長期間に渡る曝露試験を実施することが最も精度の高い方法です。しかしながら、一般的な環境(中性の塩化物環境)においては、腐食発生までに時間が掛かることより、促進腐食試験での評価が一般的となっておりますが、その結果の取り扱いには注意が必要です。代表的な手法について簡単に説明します。
1)サイクル腐食試験(CCT)
屋根材や外装材など、屋外で発生するさびをより忠実に評価可能な手法です。屋外でのさびは、(1)海からの塩分の飛来、(2)夜間の結露による塩分を含んだ水滴の生成、(3)日中の乾燥過程に伴う腐食の発生と停止、の過程の繰り返しにより生じます。このため液中に浸漬したままでは、実際の屋外でのさび発生挙動を模擬できません。私たち日本製鉄では、長年の経験と実績により、実環境における長期の曝露試験結果を元に、適正なCCT促進試験法を確立し、提案しております。
2)塩水噴霧試験(SST)
JISで規定された手法ですが、普通鋼やメッキ材の耐食性評価に対して制定された方法です。ステンレス鋼においては不動態被膜の強固さや欠陥を判定するのに使用されます。常時濡れた状態での腐食試験法であり、上述のような屋外での乾湿を繰り返している実環境をシミュレートしたものではありません。なお、腐食発生の起点が端面やエッジシール隙間部であれば、材料そのものの評価とは言えない場合もございますので、ご注意ください。
3)孔食電位測定(V'c)
孔食電位測定法は簡易な測定で、評価結果が数値データであることから、広く用いられる手法です。この孔食電位は、使用環境の電位(自然電位Esp*)との大小で、孔食が発生するか否かを評価する手法であり、単なる、鋼種間での孔食発生有無の相対評価とはなりません。
孔食電位が自然電位よりも高ければ孔食は起こりえず、逆に低い場合は孔食が発生する場合があることを示します。溶存酸素のみを含む中性の水中におけるステンレス鋼の自然電位Espは、約0.0V(SCE基準)程度であり、これよりも孔食電位が高ければこの環境では孔食が生じないと判断されます。ただし自然電位Espは、環境により変動するため、実際の水質を十分評価しておく必要があります。
また、孔食電位は、あくまでも、孔食が発生するか否かを評価するものであり、錆の発生程度を予測,評価するものではありません。
なお、評価判定原理からばらつきの出易い手法であり、数10mVの差で材料の優劣をつけることは困難です。
*自然電位Esp
ある環境で完全に不働態している金属の電位で、この電位が高いほどその環境での腐食性は高まります。このEspは、溶存酸素の他、残留塩素やその他金属イオン、水中の微生物等の存在により高くなります。
1)サイクル腐食試験(CCT)
屋根材や外装材など、屋外で発生するさびをより忠実に評価可能な手法です。屋外でのさびは、(1)海からの塩分の飛来、(2)夜間の結露による塩分を含んだ水滴の生成、(3)日中の乾燥過程に伴う腐食の発生と停止、の過程の繰り返しにより生じます。このため液中に浸漬したままでは、実際の屋外でのさび発生挙動を模擬できません。私たち日本製鉄では、長年の経験と実績により、実環境における長期の曝露試験結果を元に、適正なCCT促進試験法を確立し、提案しております。
2)塩水噴霧試験(SST)
JISで規定された手法ですが、普通鋼やメッキ材の耐食性評価に対して制定された方法です。ステンレス鋼においては不動態被膜の強固さや欠陥を判定するのに使用されます。常時濡れた状態での腐食試験法であり、上述のような屋外での乾湿を繰り返している実環境をシミュレートしたものではありません。なお、腐食発生の起点が端面やエッジシール隙間部であれば、材料そのものの評価とは言えない場合もございますので、ご注意ください。
3)孔食電位測定(V'c)
孔食電位測定法は簡易な測定で、評価結果が数値データであることから、広く用いられる手法です。この孔食電位は、使用環境の電位(自然電位Esp*)との大小で、孔食が発生するか否かを評価する手法であり、単なる、鋼種間での孔食発生有無の相対評価とはなりません。
孔食電位が自然電位よりも高ければ孔食は起こりえず、逆に低い場合は孔食が発生する場合があることを示します。溶存酸素のみを含む中性の水中におけるステンレス鋼の自然電位Espは、約0.0V(SCE基準)程度であり、これよりも孔食電位が高ければこの環境では孔食が生じないと判断されます。ただし自然電位Espは、環境により変動するため、実際の水質を十分評価しておく必要があります。
また、孔食電位は、あくまでも、孔食が発生するか否かを評価するものであり、錆の発生程度を予測,評価するものではありません。
なお、評価判定原理からばらつきの出易い手法であり、数10mVの差で材料の優劣をつけることは困難です。
*自然電位Esp
ある環境で完全に不働態している金属の電位で、この電位が高いほどその環境での腐食性は高まります。このEspは、溶存酸素の他、残留塩素やその他金属イオン、水中の微生物等の存在により高くなります。
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ステンレス鋼も塗装は十分可能です。意匠性の点から、あるいは汚れをつきにくくするためにステンレス鋼に塗装することは一般的に行われています。当社でも、予め塗装した「塗装ステンレス鋼板」を商品として取り揃えておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
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現在、当社のクリヤー塗装ステンレス鋼板では、必要な特性に応じてアクリル系、ポリエステル-ウレタン系、エポキシ系の塗料を使用しております。
A
変色の原因はいくつかあります。酸洗することで、ステンレスの表面の凹凸が変わるため、光の反射が違ってくることが考えられます。 また、酸液の汚れ、乾燥時のムラなどありますと、表面が薄茶色などに着色して見える場合があります。
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