革新的超高張力鋼H‐SA700を世界初受注
- 大地震に耐え、大スパンの空間を実現します -
2011/07/08
- 住友金属工業株式会社
1.「H-SA700」受注について 当社は、株式会社大林組殿(以下、大林組殿)の技術研究所本館テクノステーションの建設にあたり、超高張力鋼「H-SA700」を初受注しました。「H-SA700」は、「革新的構造材料を用いた新構造システム建築物の研究開発」プロジェクト(*1)において、従来鋼の約2倍の降伏強度(*2)を持たせて建物の耐震性を向上させるために開発された革新的な建築構造用高張力鋼鋼材です。さらに、今回受注した鋼材には、当社が独自に開発した、溶接前の予熱作業を省略できるという機能も付け加わっています。 |
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2.建築用超高張力鋼材のラインアップ 当社は、「H-SA700」とともに、超高強度の建築構造用鋼材として次のような材料を開発し、国土交通大臣認定を取得しており、実際に適用されています。(*3) |
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(参考:従来鋼の例) | ||||||||||||||||||||||||
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<超高張力鋼材が適用された案件> | ||||||||||||||||||||||||
(1)東京スカイツリーⓇのゲイン塔 |
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(2)当社総合研究所リニューアル 当社は、総合技術研究所(尼崎地区)の新しい研究棟と実験棟を建設中です。新研究棟はダンパーを1階に配置し、地震時には柱がしなやかに揺れるとともに、地震エネルギーの大半をダンパーで吸収させる構造です。揺れても変形・損傷せずに上層階部分の荷重を支えるために、柱材は高い降伏強度の材料であることが必要です。当社が大阪大学殿、京都工芸繊維大学殿、株式会社日建設計殿、片山ストラテック株式会社殿と共同で開発した、世界最高強度の建築構造用超高張力鋼材「SSS1000」を初めて使用し、大地震でも損傷のないレベルの耐震性を確保します。 |
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当社は、鋼構造分野の中で最も先行して超高強度鋼適用が進められている水力発電所の水圧鉄管(ペンストック)分野のトップサプライヤーです。水圧鉄管で培った技術を生かして建築構造用鋼の分野でも最先端を行く提案をして参ります。 | ||||||||||||||||||||||||
注 |
*1) 「革新的構造材料を用いた新構造システム建築物研究開発」プロジェクト 経済産業省や国土交通省などの5府省と、社団法人日本鉄鋼連盟、社団法人日本鋼構造協会などが参画した府省連携プロジェクトで、2004~08年度に実施されました。 現行の耐震基準では、震度6強以上の地震のときには、人命を守るために、地震のエネルギーを柱や梁が損傷・変形することで吸収して建物の倒壊を防ぐことを認めています。この場合地震後の建物の継続使用は困難で、建替えが必要になります。 これに対してこのプロジェクトは、大地震の後でも使い続けられる建物をつくるために、設計や材料を見直すものでした。設計面では、ダンパーに地震のエネルギーを吸収させるようにしました。材料面では、大地震のあと柱や梁が変形せずに元の形に戻るように超高強度の鋼材を用いることにしました。「H-SA700」は、経済合理性を追求した高強度化を図るため、合金添加量の低減と熱処理工程の省略、簡略化を目指した鋼材です。当社は日本鉄鋼連盟のメンバーとしてその開発に携わりました。 |
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*2) 降伏強度 |
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*3)国土交通大臣認定 当社の各鋼材の認定番号は次のとおりです。 |
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以 上 |