米国Standard Steel社の買収について

2011/06/27

  • 住友金属工業株式会社
  • 住友商事株式会社

 住友金属工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:友野 宏、以下、住友金属)と住友商事株式会社(本社:東京都中央区、取締役社長:加藤 進、以下、住友商事)は、米国の車輪・車軸メーカーであるStandard Steel社の持株会社Steel Wheel Acquisition Corporation(代表:Michael J. Farrell)を買収することで合意しました。

 Standard Steel社は、200年以上の歴史をもつ、車輪・車軸の米国トップメーカーです。また、住友金属の鉄道用車輪・車軸は高い安全性と絶え間ない技術革新を背景に、日本の新幹線はもちろんドイツ鉄道のICEなどでも採用され、ハイエンド車輪市場で優位な地位を保っています。

 今回の買収は、住友金属にとって、ものづくりの基盤である国内製造拠点を強化(*1)すると同時に、海外の成長市場で現地生産するという基本戦略の一環です。世界最大級で、成長も見込まれる北米市場でのプレゼンスをまず高め、将来は欧州・アジア諸国などグローバル市場への展開を目指します。

 買収と同時に、住友金属はStandard Steel社に、住友金属のオンリーワン独自技術である車輪成型用回転鍛造機「SIRDプレス(*2)」や素材となる鋼の高清浄度化技術などを技術移転します。これらの設備や技術移転によって、Standard Steel社のハイエンド車輪市場での地位を向上させ、将来の米国高速鉄道プロジェクトの受注を目指します。

 近年鉄道は、利便性と環境に優しい輸送手段として、世界的に需要が高まっています。それに伴い、高い安全性はもちろん、高速化・低振動・低騒音など、さらなる技術力と品質の向上が求められています。住友金属は、高級車輪・車軸の世界2極生産体制を構築し、ハイエンド車輪市場において世界のリーディングカンパニーの地位を一層強固にしてまいります。さらに、生産拠点を日本と米国の2か所に保有することで、万一の有事の際にもお客様に安定した製品供給を続けることが可能となります。

 住友金属は、世界最高の技術を有するハイエンド車輪・車軸メーカーとして、グローバルに展開し、世界の鉄道の発展に寄与してまいります。

   
 
*1)国内製造拠点の強化:
  一例として、来春「車輪高精度加工機」を製鋼所(大阪市)に導入することを決定し、2012年4月の稼働に向け工事中です。これにより日本の新幹線の高速化への寄与、ならびにグローバル市場での展開も視野に入れた海外規格についても万全の体制を整えます。
  【投資額】約10億円  【加工能力】年間1万3千枚
 
 
*2) SIRD(サード)プレス:
  住友金属オリジナルの回転鍛造機であるSumitomo Inclined Rotary Dishingの略。従来に比べ、より高品質で精度の高い鉄道用車輪の製造が可能です。
 
 
(1) 買収の概要    
  買収金額

:

340百万ドル程度
  買収後の株主構成 : 住友金属90%、住友商事10%
  買収時期 : 2011年末まで
       
(2) Standard Steel社概要  
       
 
会社名 Standard Steel, LLC
所在地 米国ペンシルバニア州ピッツバーグ (本社)、バーナム (工場)
設立 1795年
売上高 209百万ドル (2010年)
従業員数 620名 (2011年2月末時点)
事業内容 鉄道車輪・車軸の製造・販売
主要取引先
鉄道事業者、貨車リース会社、車両保守会社、車両メーカー
生産設備能力 車輪 約30万枚/年
   
(3)
交通産機品カンパニーの概要
   鉄道用車輪・車軸と自動車用鍛造クランクシャフトが主力製品です。鉄道車両用品は、車輪・車軸のみならず、駆動装置、台車、連結器等その他多くの製品でも日本国内トップシェアの存在です。生産設備能力は、車輪24万枚/年、車軸2万本/年です。
   
 

 
バーナムの Standard Steel社 工場

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