東京地下鉄株式会社殿 銀座線新型車両向け 操舵台車の受注について

2011/02/17

  • 住友金属工業株式会社
  • 住友商事株式会社

 住友金属工業株式会社(以下 住友金属)と住友商事株式会社(以下 住友商事)は、東京地下鉄株式会社(以下 東京メトロ)殿から、住友金属と東京メトロ殿が共同開発した操舵装置を搭載した台車(以下 操舵台車)を240台(120両分)受注しました。操舵台車とは、従来台車に固定されていた車軸の向きをレールの曲線に合わせて、曲線の走行をスムーズにすることで、騒音や車輪の摩耗を軽減する台車です。今回受注の台車は、2012年春に営業運転開始予定の東京メトロ殿 銀座線新型車両1000系に使用されます。操舵台車が地下鉄に採用されるのは国内初です。また、操舵台車の受注としては、国内最大です。

1.今回開発した操舵台車について
鉄道台車には2組の車輪・車軸がついていますが、この車軸は台車に固定されています。その結果、曲線通過時でも車軸が平行のままなので、車輪とレールが摩擦して、キシリ音(曲線を走行する時に聞こえる「キーッ」という音)が発生します。
操舵台車は、曲線通過時にレールの曲線に沿うように、車輪・車軸が舵をとる操舵装置を備えている台車です。曲線を滑らかに走行できるのでキシリ音が減り騒音が小さくなります。車輪とレールの摩擦に伴う摩耗も減るので、車輪の寿命も長くなります。
操舵台車は、世界の鉄道研究機関、メーカーで古くから研究・開発されてきましたが、構造が複雑になるため、これまで国内での実用化は一部の特急車両に限られていました。
住友金属は、交通産機品カンパニー 製鋼所(大阪市)の試験線や、東京メトロ殿の営業路線で試験走行してデータをとり、改良を重ねました。その結果、すべての車輪・車軸に操舵装置をつけるのではなく、車両に台車2つ分、つまり4組ついている車輪・車軸の内、内側の2組のみに操舵装置をつけることで、比較的単純な構造で、優れた曲線通過性能を発揮する操舵台車の開発に成功しました。(図参照)
今回開発の操舵台車では、キシリ音がほぼなくなり、車輪寿命が従来の約2倍となりました。

2.受注内容

  (1)品名
地下鉄用操舵台車
  (2)数量
240台(120両・20編成分)
  (3)納入時期
2011年 7月~
  (4)営業運転開始
2012年春~(予定)

3.今後の展開

 住友金属と住友商事は、今回開発した操舵台車について、国内外を問わず、急曲線区間の多い地下鉄路線への拡販に注力していきます。


以 上



<図>



<参考>住友金属が開発した主な台車技術

開発技術

鉄道会社・路線

導入時期

効果

  ボルスタレス台車
  帝都高速度交通営団
  (現 東京地下鉄)
  半蔵門線

1981年

  台車の軽量化
  リニアモーター台車
  大阪市営地下鉄
  長堀鶴見緑地線
1990年
  台車の小型化
  動揺防止制御
  東日本旅客鉄道
  東北新幹線
2002年
  乗り心地改善
  空気ばね車体傾斜制御
  名古屋鉄道
  常滑線・空港線
2005年
  曲線での速度向上
  鉄道走行安全性
  モニタリング技術
  東京地下鉄
  丸ノ内線
2009年
  車輪にかかる力の常時監視

 

 



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