製鋼プロセス革新投資の完成について

2010/10/22

  • 住友金属工業株式会社
  • 株式会社住友金属小倉

 株式会社住友金属小倉は、製鋼プロセス革新投資を進めてきました。その最後の新設設備である脱りん炉が完成し、本日、竣工式を執り行い、稼働を開始しました。これで住友金属小倉の製鋼プロセス革新投資は全て完成しました。


 この投資は住友金属工業株式会社の和歌山製鉄所で導入され、その効果が実証されたSRP(Simple Refining Process)を住友金属小倉にも適用するものです。住友金属小倉では、SRPの導入に加えて、高清浄鋼(介在物の非常に少ない鋼)と高機能鋼(介在物をコントロールして機能を持たせた鋼)の製造プロセスを完全分離して品質競争力を改善するという成果もあげています。


 SRPは、溶銑に含まれるりんの除去(脱りん)と炭素の除去(脱炭)を、それぞれ別々の炉で行うプロセスです。脱りんと脱炭、おのおの最適な条件で精錬することで、高品質化(りん不純物80ppm以下)、高能率化(吹錬時間9分)、低環境負荷化(スラグ・ CO2 発生量大幅減)の3つを同時に実現します。この技術は、住友金属工業 和歌山製鉄所で実用化され、業界の標準となった革新的製鋼技術で、2006年「大河内記念生産特賞」を受賞しました。


 なお、今回の脱りん炉には、一層のりんの低濃度化と高級鋼の生産量の拡大に対応し、脱りん剤を細かい粉体にして溶鋼表面に吹き付けるという、住友金属工業が新たに開発したプロセス「SRP-Z」も導入しています。(2010年10月20日発表)


 製鋼プロセス革新投資は大きく2つの工事に分けて実施しました。第Ⅰ期工事は、二次精錬設備(*1)の第2LF精錬設備(*2)、第2RH脱ガス設備(*3)・第4連続鋳造設備を建設し、昨年12月に稼働しました。第Ⅱ期は脱りん炉新設で、このほど完成稼働したものです。




製鋼プロセス革新投資について

1. 総投資額

: 270億円
2. 建設期間 :(第Ⅰ期:2LF・2RH・4CC新設)2007年2月~2009年12月
  :(第Ⅱ期:脱りん炉新設)2007年2月~2010年10月
3. 特  徴 :(第Ⅰ期)2LF・2RH・4CC 新設による高機能鋼ライン/高清浄鋼 ラインのプロセス完全分離
  :(第Ⅱ期)脱リン炉新設によるSRP 導入

以 上

 

脱りん炉

 

<参 考>
1. 竣工式について

(1)日 時 :2010年10月22日(金)11:00~
(2)祭 主 :住友金属小倉 社長 加藤 芳充
(3)出席者 :北九州市長、施工関係者代表、労働組合代表、関係会社代表、
    住友金属工業 会長 下妻 博、社長 友野 宏、
    住友金属小倉 社長 加藤 芳充 以下役員 他 計約100人

 

2. SRP(Simple Refining Process)について

 

<用語解説>

*1 二次精錬
高炉で製造した溶銑から炭素を除去して溶鋼をつくることを一次精錬と呼びます。その後で行われる精錬のことを二次精錬と呼び、溶鋼から不純物を取り除いたり、成分調整をしたりします。溶鋼の搬送容器である取鍋を反応容器として使うのが一般的です。現在の製鋼工程では、高級な鋼材の製造に重要な役割を担っています。代表的な二次精錬には、LF、RHなどがあります。

 

*2 LF(Ladle Furnace)
取鍋中の溶鋼をアーク放電で加熱して精錬します。溶鋼の脱硫と介在物制御に効果があります。
 
     
*3 RH(Ruhrstahl-Heraeus)
取鍋中の溶鋼に、真空槽から二本のパイプ(浸漬管)を挿入し、真空で溶鋼を吸い上げ、片方のパイプ側面からアルゴンガスを吹き込みます。溶鋼はアルゴンガス吹込パイプを通って真空槽に流れ込み、他方のパイプから取鍋に還流します。こうして取鍋内の溶鋼を連続的に真空処理できる設備です。
真空処理で溶鋼中の不純物ガスの除去が進み、強く攪拌されることで、介在物が凝集して浮上しやすくなり、介在物対策として有効です。
 

 

 



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