日本金属学会 技術開発賞のダブル受賞について

2010/09/28

  • 住友金属工業株式会社
  • 株式会社住友金属直江津

 住友金属工業株式会社(以下、住友金属)と株式会社住友金属直江津(以下、住金直江津)は、9月25日(土)に、第33回社団法人日本金属学会「技術開発賞」(※)を2件受賞しました。
1.省資源型高強度電磁鋼板「SXRC」の開発(住友金属)
2.高温熱交換器用耐熱ステンレス鋼板「NAR-AH-7」の開発(住友金属、住金直江津)

【受賞内容】

1.省資源型高強度電磁鋼板「SXRC」の開発
<課題>
電磁鋼板は、モータや変圧器の鉄心に使用されることから、地球環境問題やエネルギー問題の高まりにより、今後も需要量が大きく増加することが見込まれる製品です。特に大きな成長が見込まれるモータ分野で、電磁鋼板に必要な特性は2つあります。
① 鉄心のなかで起きる渦電流が原因で起こるエネルギー損失(鉄損)の低減と高い磁石のパワー(磁束密度)の両立
② 高速回転モータにおける、変形や疲労破壊を防ぐための高強度化
これまでは、この特性を両立させるために、マンガンやニッケルなどの合金元素を多量に添加してきましたが、合金コストに加えて、製品圧延前の素材の段階で高強度になってしまうため、生産性の低下によるコストアップという問題がありました。

<当社のソリューション>
当社は、ニオブを極少量添加し、熱処理時に金属のミクロ組織制御で高強度化する独自技術を使った電磁鋼板「SXRC」の開発により、この問題をクリアしました。合金コスト、生産性ともに優れた高強度でかつ鉄損も少ない電磁鋼板の製造が可能になりました。
「SXRC」は、今後、世界的に主流となるハイブリッド車等の環境対応車への適用を通じて、地球温暖化問題、エネルギー問題の解決に役立つことが期待されます。

2.高温熱交換器用耐熱ステンレス鋼板「NAR-AH-7」の開発
<課題>
中小型のガス火力発電設備は、工場や大型商業施設で使われますが、従来は発電効率が25~30%と低いのが問題でした。発電設備の高効率化には燃焼温度を上げることが必要(発電効率40%程度で、燃焼排ガスが1,000℃レベル)ですが、この環境に耐える薄肉の熱交換器用の材料はありませんでした。

<当社のソリューション>
当社と住金直江津は、クロム量とニッケル量を最適化し、希土類元素を添加して、1,000℃レベル・板厚0.1mmの極薄板での耐熱・耐酸化特性が格段に優れたオーステナイト系ステンレス鋼「NAR-AH-7」を開発することに成功しました。
高温、高湿な燃焼排ガスに耐える「NAR-AH-7」は、高効率で小型のガス火力発電のお役に立っています。

以 上


<用語解説>
※日本金属学会 技術開発賞について
㈳日本金属学会は、1937年に、「金属に関する理論および工業の進歩発達をはかること」を目的として発足し、月間学術論文誌の発行やシンポジウム、セミナー等の事業を行っています。

  技術開発賞は、金属工学並びにこれらに関連する新技術・新製品などの独創的な技術開発に携わった技術者に対し授与される賞です。


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