文部科学大臣表彰 科学技術賞のダブル受賞について
2010/04/13
- 住友金属工業株式会社
- 株式会社住友金属直江津
住友金属工業株式会社(以下、住友金属)と株式会社住友金属直江津(以下、住金直江津)は、本日、
1.「疲労寿命延長機能を有する微細複合組織鋼板の開発」 (住友金属)
2.「高疲労強度ガスケット用ステンレス鋼板の開発」 (住友金属、住金直江津)
について、平成22年度文部科学大臣表彰 科学技術賞 開発部門を受賞しました。
「文部科学大臣表彰 科学技術賞」は、「科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者」の功績を讃える賞です。当社グループが受賞した「開発部門」は、実用化されていて、かつ画期的な研究開発を行った者に授与される賞です。
住友金属グループは、3年連続の受賞です。
本日12時、京王プラザホテル南館・エミネンスホール(東京都新宿区)において、川端 達夫・文部科学大臣のご来席のもと授賞式が行われました。
<開発の概要>
鋼などの金属材料は、長期間にわたって繰り返し力を受けると、微細な亀裂が発生し、力を何度も受けるうちに、それが次第に広がって最後には破壊することがあり、これを疲労破壊といいます。
今回受賞しました2件の技術は、いずれも疲労破壊を起こしにくい材料の開発と実用化を評価されたものです。
1.「疲労寿命延長機能を有する微細複合組織鋼板の開発」
住友金属は、鋼板を接合する溶接部での疲労亀裂の発生を防ぐ機能を有する「FCA-W鋼」を開発、実用化しました。
「FCA-W鋼」は、船舶など大型構造物の損傷原因の大半を占める疲労破壊を防ぐために、厳密な成分調整によって、鋼板本体だけでなく、鋼板どうしをつなぐ溶接部でも疲労亀裂が発生するのを防ぐ機能を持っています。
その結果、従来材よりも船舶の重量を軽くすることや、加工の手間を省略することができます。船舶のほか海洋構造物や風力発電設備、鉱山機械といった大型構造物や、建設機械、鉄道台車といった輸送機器類にも適用することが期待されています。
2.「高疲労強度ガスケット用ステンレス鋼板の開発」
住金直江津および住友金属は、株式会社本田技術研究所殿と共同で、従来材より疲労強度を上げエンジンの振動による疲労に耐えるガスケット用素材として、ステンレス「NAR-301L HS 1鋼」を開発、実用化しました。この材料を使えば、ガスケットに許容する振動を大きく取れるので、エンジンブロックの薄肉化、軽量化が可能になります。
二件の開発内容の詳細につきましては、下記ご参照ください。
「FCA-W鋼」
「NAR-301L HS 1鋼」
なお、住友金属からは、この2件に加えて、総合技術研究所 鋼管研究開発部 鋼管材料グループ グループ長 岡田浩一が、独立行政法人物性・材料研究機構の一員として、「フェライト系耐熱鋼の高温長時間強化および高性能化の研究」について科学技術賞 研究部門を受賞しました。
以 上
「疲労寿命延長機能を有する微細複合組織鋼板の開発」受賞者
左から
住友金属工業株式会社 鋼板・建材カンパニー 厚板部 厚板管理室 参事 勝元 弘
住友金属工業株式会社 鋼板・建材カンパニー 厚板技術部 参事 稻見 彰則
住友金属工業株式会社 総合技術研究所 厚板条鋼研究開発部 シニアコンサルタント 有持 和茂
住友金属工業株式会社 鋼板・建材カンパニー 厚板技術部 次長 大西 一志
住友金属工業株式会社 総合技術研究所 厚板条鋼研究開発部 主任研究員 譽田 登
「高疲労強度ガスケット用ステンレス鋼板の開発」受賞者
左から
株式会社住友金属直江津 カスタマー技術部 技術開発室 室長 澁谷 将行
住友金属工業株式会社 ステンレス・チタン研究開発部 主任研究員 安達 和彦
「フェライト系耐熱鋼の高温長時間強化および高性能化の研究」受賞者
住友金属工業株式会社 総合技術研究所 鋼管研究開発部 鋼管材料グループ グループ長 岡田 浩一