製鋼プロセス革新投資 二次精錬設備・連続鋳造設備の稼働開始について

2009/12/22

  • 住友金属工業株式会社
  • 株式会社住友金属小倉

住友金属工業株式会社は、株式会社住友金属小倉で、製鋼プロセス革新投資を進めてきました。その主な設備は、二次精錬(*1)設備の第2LF精錬設備(2LF)(*2) ・第2RH脱ガス設備(2RH)(*3)、第4連続鋳造設備(4CC)および脱リン炉です。このうち、2LF、2RH、4CCがこの程完成し、本日、竣工式を執り行い、稼働を開始しました。

鋼の中には、酸化物・硫化物などの金属でない粒子が溶けずに存在しており、これを介在物と言います。住友金属小倉で製造する特殊鋼には、大別して2種類あります。ひとつめは、介在物を積極的に活用・コントロールして加工性向上などの狙った性能を発揮するタイプの鋼(高機能鋼)、ふたつめは、介在物を極限まで低減させて寿命や疲労特性を向上させた鋼(高清浄鋼)です。今回の投資で、高機能鋼ライン(新設の2LF-2RH-4CC)と、高清浄鋼ライン(既設のVAD(*4)-1RH-3CC)の2つのタイプの製品を造るプロセスを完全分離できました。これで、製品ごとに最適プロセスを適用でき、工場内物流が単純化して、高品質と高効率を両立できるようになりました。

現在、脱リン炉建設が、2010年10月完成予定で進んでいます。これは、脱リンと脱炭を別の炉で行うことで、高品質・高能率・低環境負荷を実現するSRP(*5)導入を目的としたものです。

製鋼プロセス革新投資について
1. 総投資額 : 270億円
2. 建設期間 : (第1期:2LF・2RH・4CC新設)2007年2月~2009年12月
(第2期:脱リン炉新設)2007年2月~2010年10月
3.特   徴 : ・2LF・2RH・4CC新設による高機能鋼ラインと高清浄鋼ラインのプロセス完全分離
・脱リン炉新設によるSRP導入

     

以 上

 

<参 考>
1.竣工式について
(1)日 時 : 2009年12月22日(火)11:00~
(2)祭 主 : 住友金属小倉 社長 加藤 芳充
(3)出席者 : 北九州市産業経済局長、施工関係各社代表、労働組合代表、関係会社代表、
住友金属小倉 社長以下役員 他、計約60人

2.高清浄鋼/高機能鋼プロセス完全分離 概念図

<用語解説>
*1 二次精錬

高炉で製造した溶銑から炭素を除去して溶鋼をつくることを一次精錬と呼びます。その後で行われる精錬のことを二次精錬と呼び、溶鋼から不純物を取り除いたり、成分調整をしたりします。溶鋼の搬送容器である取鍋を反応容器として使うのが一般的です。現在の製鋼工程では、高級な鋼材の製造に重要な役割を担っています。代表的な二次精錬には、LF、RH、VADなどがあります。

*2 LF(Ladle Furnace)

取鍋中の溶鋼をアーク放電で加熱して精錬します。溶鋼の脱硫と介在物制御に効果があります。


*3 RH(Ruhrstahl-Heraeus)

取鍋中の溶鋼に、真空槽から二本のパイプ(浸漬管)を挿入し、真空で溶鋼を吸い上げ、片方のパイプ側面からアルゴンガスを吹き込みます。溶鋼はアルゴンガス吹込パイプを通って真空槽に流れ込み、他方のパイプから取り鍋に還流します。こうして取鍋内の溶鋼を連続的に真空処理できる設備です。
真空処理で溶鋼中の不純物ガスの除去が進み、強く攪拌されることで、介在物が凝集して浮上しやすくなり、介在物対策として有効です。


*4 VAD(Vacuum Arc Degasser)

LFに真空脱ガス機能を加えた精錬炉。有害な介在物の多くは酸化物なので、介在物対策としてLFよりも有効です。

*5 SRP(Simple Refining Process)

上底吹転炉をリンの除去に使い、リンと炭素の除去を別々の炉で実施する技術です。2つの反応におのおの最適な条件で精錬することで、高品質(リン不純物8ppm以下を実現)、高能率(精錬時間は9分)、低環境負荷(スラグ・CO2発生大幅減)の3つを同時に実現できます。住友金属工業 和歌山製鉄所で実用化され、業界の標準となった革新的製鋼技術です。その革新性が高く評価され、2006年「大河内記念生産特賞」を受賞しました。


2RH 4CC 設備建屋


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