和歌山製鉄所 第4高炉を吹き止め
稼働日数10,001日(27年4ヵ月:世界最長記録)を達成

2009/07/13

  • 住友金属工業株式会社

当社は、和歌山製鉄所の第4高炉を7月11日に吹き止めました。1982年2月23日の3次改修後の火入れ(稼働開始)以降、稼働日数は10,001日(27年4ヵ月:世界最長記録)となりました。和歌山製鉄所では、7月17日に新第1高炉を火入れし、第4高炉からスイッチする予定です。

1.世界一の長寿命を達成できた理由
和歌山製鉄所 第4高炉は、1982年に7年間稼働する予定で、改修・火入れしました。その後、さまざまな技術を開発し、それにもとづいた延命診断と補修を実施し、世界一の長寿命を達成しました。その中から主なものを下記に示します。

(1)ステーブ取り替え
高炉の炉体は、鉄皮の内側にステーブ(鋳物製の炉体冷却装置)と耐熱煉瓦という構造をしています。従来はステーブが損傷するとこれを補修することができず、高炉を吹き止めて改修するしかありませんでした。
定期修理時にステーブを交換する技術により、ステーブの寿命は高炉の寿命ではなくなったのです。

(2)高炉炉底煉瓦侵食抑制
高炉底部の煉瓦は、高温(約1,500℃)の溶銑やスラグにより時とともに徐々に侵食されますが、これを取り替えるには吹き止め改修しか方法がありません。
溶銑やスラグの炉底での流れ方をコントロールするため、コークスの性状、溶銑の流動性、炉内での原料の荷重バランスなどを調整して、炉底の耐熱煉瓦の寿命を延ばす技術を開発しました。

(3)熱風炉煉瓦の一部積み替え
第4高炉には3基の熱風炉があり、これが交互に熱風(1,250℃の空気)を送っています。高炉の操業には3基の熱風炉が必要で、熱風炉を大改修するには高炉を吹き止めるというのが従来の常識でした。
当社は、熱風炉の大補修(1ヵ月程度)を可能にする技術を開発しました。熱風炉2基でも高炉の送風温度低下を最小限に抑える技術、大補修のあいだ耐熱煉瓦の温度を一定に保つ技術(温度が下がると硅石煉瓦は割れてしまいます)、短期間に補修を実施する技術などのさまざまな技術開発により、熱風炉の寿命は高炉の寿命ではなくなりました。

 なお、ステーブ取り替え技術については、国内外鉄鋼他社にも技術供与・支援を行い、他社高炉の稼動日数延長にも寄与しています。

2.和歌山製鉄所第4高炉の概要
(1) 炉内容積 : 2,700
(2) 稼働   : 1967年3月 第1次火入れ
1974年2月 第2次火入れ
1982年2月 第3次火入れ
(3) 累計出銑量: 47,169,321トン

和歌山製鉄所 第4高炉
右奥が第4高炉吹き止め後にスイッチする新第1高炉

以 上


このページの上部へ

ここからフッター情報です