高活性可視光応答型光触媒の開発について従来品の約5倍の性能を発揮

2008/05/14

  • 株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ
    住友金属工業株式会社

株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ(社長:橘昌彰、本社:兵庫県尼崎市)と住友金属工業株式会社 総合技術研究所(所長:三宅貴久)は、この程、新しいタイプの高活性可視光応答型光触媒を共同で開発しました。 本開発品は、アセトアルデヒトやトルエン等の揮発性有機化合物(以下VOC)の分解速度で、従来品の約5倍の性能を発揮し、さらに、アンモニア等の臭気物質も効果的に分解します。本開発品はその性能から、可視光応答型光触媒を急速に普及させる可能性があり、大阪チタニウムテクノロジーズでは今年度中に本開発品の量産化を進め、今後の需要拡大に対応します。

1.開発の背景・目的
光触媒は、光によってさまざまな環境浄化機能を発揮するエコマテリアルとして注目されています。光触媒の世界市場規模は現在900億円程度といわれていますが、その大半は紫外線応答型光触媒による屋外での使用と見られています。今後は紫外線の少ない屋内、夜間の照明下で可視光応答型光触媒が適用されることで市場はさらに拡大すると期待され、世界市場規模は2015年には約4,000億円に達するものと見込まれています。しかし、現状の可視光応答型光触媒の性能は十分とはいえず、その飛躍的な性能向上が求められていました。

2.本開発品の特長
(1)本開発品は、アセトアルデヒドやトルエン等のVOCの分解速度で、従来品の約5倍の性能を発揮します。さらにアンモニア等の臭気物質も効果的に分解します。

(2)本開発品は、蛍光灯照射下では、数ppm程度の低濃度のアセトアルデヒド、トルエンを完全に二酸化炭素まで分解できます。また数百ルクス程度の低い照度下でも、付着した水が水滴とならず極めて薄い水膜を形成する親水化を確認しており、曇り止めや汚れ落としの効果も見込めます。

(3)従来品では可視光領域ならびに紫外線領域の両方で光触媒としての活性度を高く維持することが困難でした。本開発品は、酸化チタンをベースに、他の金属酸化物を加えることで、光を吸収する構造を見直すことにより、可視光領域・紫外線領域の両方で光触媒としての活性度を高く維持することに成功しました。

(4)本開発品は粉末だけでなく、粉末を液剤に分散させたゾルも用意しています。ゾルは、製品に直接塗布したり、あるいは必要に応じて塗料化することで、光触媒を製品表面に固定することができます。

3.今後の展開
大阪チタニウムテクノロジーズでは、既に可視光応答型光触媒の製造・販売を行っており、国内の内装材メーカー等に採用され、学校・病院・公共施設・食品加工工場・店舗・一般住宅のVOC対策・抗菌・脱臭などの目的で使用されています。また、中国・韓国でも使用され始めています。 大阪チタニウムテクノロジーズと住友金属工業は、本開発品が可視光下での性能を大幅に向上させたことにより、今後、住宅内装、建材、自動車内装等さまざまな部材、場所に光触媒の本格的な適用が進むと予想しています。大阪チタニウムテクノロジーズでは今年度中に本開発品の量産化を進め、今後の需要拡大に対応します。

<用語解説>

光触媒:
光を照射することにより触媒(化学反応を促進させるがそれ自体は変化しない)作用を示す物質。代表的な光触媒活性物質として酸化チタンが知られている。光触媒は光の吸収によって A.強い酸化分解 B.高い親水作用の二つの機能を現わす。酸化分解作用は防臭、抗菌、有害物の分解除去など、高い親水性作用は曇り止めや汚れ落としの効果を見込める。

(光触媒)活性:
光を吸収し光触媒として反応した時の性能。一般には対象物質(有機物)の分解速度で表される。

可視光応答型光触媒:
可視光(波長>380nm)の照射により(可視光を吸収して)性能発現する光触媒。従来の(紫外線)光触媒では機能できなかった屋内、夜間の照明でも使用できるので、その本格的実用化によって光触媒の市場は大きく拡大するといわれている。

揮発性有機化合物(VOC:volatile organic compound):
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン等。シックハウス症候群の原因物質となることが多い。

以 上


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