社長年頭挨拶 要旨

2008/01/04

  • 住友金属工業株式会社

年頭にあたっての「社長年頭挨拶」は下記の通りです。

今年3月に締める平成19年度決算の連結経常利益は3,050億円の見込みである。減価償却に関る税制改正等の一過性の要因を除けば、過去最高益であった前年度並みの水準を達成できる見通しである。
平成19年度の残りの3カ月間、安全第一にそれぞれ精一杯、持ち場、持ち場で工夫をこらしていただいて、本年度の見通しの連結経常利益3,050億円を着実に達成していきたい。

今年は今の中期経営計画の仕上げの年である。そして、また次なる成長のシナリオにむけての地ならしをすべき大切な節目の年と考えている。その課題は大きくは3つである。
まず1つ目の課題は、中期経営計画でのコミットメントを確実に達成することである。
2つ目の課題は、事業強化のために随分と前倒しの投資を行ってきた。この投資の効果をしっかりと出していくことである。 
3つ目の課題は、原材料価格が高騰する中で、お客様へのご理解をいただきながら、価格転嫁をするということである。
今年は、前の中期経営計画でやり遂げた鉄鋼事業の構造改革、そして今の中期経営計画の2年間で推進してきた収益の質を高めるための差別化の加速という、この5年間私たちが必死になって取り組んできた色々な施策の本当の効果が問われる正念場の年である。そのためには、3つの課題にキチンと取り組み、実行しなければならない。

グループ経営の強化については、各部門の努力により、ここ数年、当社とグループ各社とのコミュニケーションや戦略の共有化は随分と改善された。「安全」「コンプライアンス」これらを含めた「リスクマネジメント活動」や「研究開発」「環境問題」等、具体的取り組みをさらに強化、加速してほしい。

全社共通の課題として、地球環境への取り組みがある。
これまでのたゆまぬ努力の結果、私たちの会社は粗鋼を1トン造るのに必要なエネルギー原単位、あるいはCO2の排出量が日本で一番低い会社となった。この技術力で業界をリードし、世界鉄鋼業の省エネルギーの推進に貢献していきたいと考えている。
皆さんにも日々の業務の中はもとより、家庭生活の中でも地球環境に対する意識をさらに高めていただくようにお願いする。そのための仕組みづくりも新たに考えている。

事業計画を推進していくために企業として不可欠な要件、これは安全とコンプライアンスである。
まず安全について、昨年、安全衛生タスクフォースを組織し、経営として安全衛生の課題を明らかにし、取り組みの方針を定め、設備の安全化などの施策を強化してきた。設備の安全化については、昨年、各所においてモデル工場の整備を始めた。今年はその効果を確認しながら、全社に展開していく。安全確保のためには躊躇せずに「設備を止める」「作業を中止する」ということをキーワードにして、安全最優先に徹してほしい。操業に関るロスは全社の力でバックアップして取り戻すことが可能だが、災害による人的資産のロスは取り戻すことができない。
次にコンプライアンスについて、かねてより、私は、「コンプライアンスは当社経営の根幹であり、それを徹底するのは経営のトップである私の仕事である」と認識して、取り組んできた。全ての業務についてコンプライアンスの意識を持ち、日々の業務にあたっていただくことを、いま一度お願いする。

当社グループは、経営資源を強い分野に配分し、差別化を進める事業戦略を今後とも全力で推進する。コア利益の比率を高め、ダウンサイドに強い経営体質をつくる。すなわち、鉄鋼需要が少し変動しても業績への影響が極力小さくなるようにしつつ、企業価値の向上を実現していこうと考えている。今年は、海上運賃も含む原材料価格が高騰し、収益へのダウンサイドリスクが懸念されている。当社の戦略の実行力の真価を問われる、まさに正念場の年である。今年は何としても持続的成長を維持し、ダウンサイドリスクに強い経営体質になったことを証明しなくてはならない。その意味で正念場の年であると思っている。

ここ数年間は多額の設備投資を行ってきた。現場では色々な設備の建設、立ち上げが連続する。世代交代が進む中で、限りあるメンバーで未経験の海外へのプロジェクトも含めた数多くの課題を乗り越えていかなければならない。これは何も建設・操業部隊だけに関ることではない。新しいマーケットをつくり、開発するといった営業、あるいはそれをバックアップする総合的に支援する管理間接部門等、全員が関る大変大きなものと認識している。しかし皆さんはこれを絶好の機会ととらえて積極的にチャレンジしてほしい。先輩がつくった仕事の仕組みを単に継続し、少し改善をしていく、そういう中からでは先輩を越える仕事は決してできないと思う。
私が皆さんにいつもお願いしている「現場重視」「変革」「実行」この3つをキーワードにして、是非積極的にチャレンジしてほしい。諸先輩を乗り越えて、当社の次の世代を担う人材となってもらう絶好のチャンスである。私は皆さんの力を信じている。

当社には、100年以上のものづくりの歴史という財産がある。
また、その根底には、今日まで脈々と受け継がれてきた400年にも亘って磨きぬかれた住友の事業精神がある。
このものづくりの歴史と事業精神をすべての基本として、鉄を造り、そして、お客様が未来を創られるお手伝いをすることを通して、住友金属グループをすべてのステークホルダーの皆様から「信頼される会社」に発展させていくことができると信じている。

以 上


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