スーパーハイエンドボイラチューブ生産能力を1.5倍に拡大
- エネルギー分野での差別化の加速 -

2007/10/25

  • 住友金属工業株式会社

当社は超々臨界圧石炭火力発電所で使用されるスーパーハイエンドボイラチューブについては、世界の80%と圧倒的なシェアを有しています。

近年、世界的な電力需要の増大と地球環境への配慮から、発電効率の高い超々臨界圧火力発電所の建設が急増しています。当社はスーパーハイエンドボイラチューブの需要増加に対応するため、鋼管カンパニー特殊管事業所(兵庫県尼崎市)において、設備増強工事を進めてきましたが、計画通り完工し、本日、新製造設備の竣工修跋式を執り行うこととなりました。

新製造設備の稼動に伴い、当社のスーパーハイエンドボイラチューブの生産能力は12,000トン/年から18,000トン/年へと1.5倍に拡大し、エネルギー分野での差別化の加速を更に進めます。

1.新製造設備の概要
(1)投資額 :65億円
(2)工期  :2006年9月~2007年10月
(3)主な設備:抽伸(製管)機、熱処理炉、精整・検査設備等
(4)製造品種:ステンレスボイラチューブ(超々臨界圧石炭火力発電所向け主体)
(5)材質  :ニッケル、クロムを含む特殊ステンレス
(6)生産能力:6,000トン/年(能力合計12,000トン/年→18,000トン/年)

2.新製造設備導入の経緯
(1)需要環境
近年、石炭火力発電所の建設が中国、欧州を中心に電力需要の急激な高まりから急増しています。石炭火力発電所では原料コストと環境対応( CO2 排出低減)の観点から高効率で発電するために、高温・高圧の超々臨界圧(*1)での操業が主流になりつつあり、それに対応できる高性能なステンレスボイラチューブへの需要が高まっています。

(2)狙い
超々臨界圧に対応できる高性能なステンレスボイラチューブは、非常に厳しい条件下で使用されますので、合金設計のノウハウや製管技術及び品質管理が重要です。

 また、技術力の他にも納入実績や経験も重視されますので、供給可能なメーカーは当社を含め世界的にも限られます。現在、この分野で唯一長期に渡り使用実績を積み上げてきた当社の独自材料(*2)が脚光を浴びており、お客様からの大幅な増産要請を受けて、特殊管事業所において増産を決定しました。

3.今後の展開
石炭焚き火力発電所向けステンレスボイラチューブは当社が製造するシームレスパイプの中でもスーパーハイエンドに位置付けされる製品です。超々臨界圧に対応できるステンレスボイラチューブのトップサプライヤーである当社の世界シェアは約80%と圧倒的であり、市場から厚い信頼を得ています。今後もお客様との関係を堅固なものにしながら、エネルギー分野での差別化の加速を進め、鋼管事業の更なる持続的な成長を目指します。

*1 超々臨界圧
発電所のタービン入口の蒸気条件が、温度565℃以上、圧力24.5Mpa以上の環境を言います。発電の効率(発電端効率)は、温度及び圧力が高いほど良くなりますが、その分操業環境が厳しくなりますので、ボイラチューブの材質が重要になります。

*2 当社の独自材料
超々臨界圧に対応可能な当社の独自材料は下記の通りです。

(1)SUPER304H

   クロム18%、ニッケル9%、銅3%を含む特殊ステンレス
(2)HR3C

   クロム25%、ニッケル20%を含む特殊ステンレス

いずれも一般のステンレス(クロム18%、ニッケル8%を含む合金)より、高温クリープ特性(長時間、高温環境下にあっても強度が変化しにくい特性)、高温耐食性に優れています。

<参考>
ステンレスボイラチューブ新製造設備竣工修跋式について
1.日時 :2007年10月25日(木)
2.出席者:友野社長、今井専務執行役員鋼管カンパニー長、中西常務執行役員特殊管事業所長他 60人

以 上


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