「製鋼スラグの加圧式エージング技術の開発」について「資源循環技術・システム表彰 経済産業省産業技術環境局長賞」を受賞

2007/10/15

  • 住友金属工業株式会社

当社和歌山製鉄所は、「製鋼スラグの加圧式エージング技術の開発」に対して、財団法人クリーン・ジャパン・センター(*1)から「平成19年度資源循環技術・システム表彰(*2)」の「経済産業省産業技術環境局長賞」を受賞しました。製鋼スラグの加工処理に必要な時間、コストを大幅に削減できる技術および設備を開発し、スラグの再利用化を促進したことが評価されました。 尚、10月5日に表彰式が行なわれました。

1. 製鋼スラグの加圧式エージング技術開発の背景
鋼を精錬する際に副生品として発生する製鋼スラグは、水と反応して硬化する性質があり、道路用路盤材などに広く活用されています。製鋼スラグを使用した道路路盤は固くて耐久性があるため道路補修費の低減などに貢献しています。 しかし、製鋼スラグ中に未反応の酸化カルシウムが残っていると水と反応してスラグの体積が膨張するため、使用前にエージング処理(*3)をします。そのために、かつてはヤードに約2年間、野積みにしていました。最近は、水蒸気を使う野積み式蒸気エージング(*4)が主流ですが、最低で2日間程度かかり人手や広い場所を必要とするなど多くの課題がありました。

2. 開発の内容
当社和歌山製鉄所は、スラグ中に残存する未反応の酸化カルシウムと水との反応を加圧蒸気中で行なうことにより、反応速度が従来の約24倍になることを発見しました。それに基づき、製鋼スラグに容器内で低圧蒸気を加えて反応させる加圧式蒸気エージング設備を開発しました。これにより、製鋼スラグのエージング処理時間は、野積み式蒸気エージングの2日間から約2時間に短縮されました。また製鋼スラグの体積膨張のバラツキが低減し製品の品質が向上しました。さらに、スラグ処理用の敷地面積縮小、設備コスト低減、スラグの搬入搬出の自動化および安全性の確保も実現し、埋立て処分量の削減、ヤードからの粉塵飛散量の低減、省エネルギーに寄与する反応用蒸気使用量の半減などを促進し、循環型社会の実現に大きく貢献しています。 尚、和歌山製鉄所では、昨年、2基目の加圧式エージング設備を導入し、路盤材向けの製鋼スラグの品質向上を実現しています。

<用語注釈>
*1 財団法人クリーン・ジャパン・センター(以下(財)CJC)
((財)CJCのホームページから抜粋)
「経済産業省、日本商工会議所、日本経済団体連合会等をはじめとする官民一体の支援のもとに1975年にリサイクル推進のナショナルセンターとして設立された公益法人。本センターでは、廃棄物のリデュース・リユース・リサイクル(3R)によって廃棄物、資源問題の解決、即ち、持続可能な省資源型社会の形成を推進するための先導的な事業に取り組んでいます。」

*2 資源循環技術・システム表彰
(財)CJCが1975年に「再資源化貢献企業表彰」の名称で始めた、再利用化や環境保全の表彰制度としては最も長い歴史を持つ表彰の一つであり、経済産業省が後援し、廃棄物の発生抑制、再使用、再資源化に資する、優れた事業や取り組みの奨励・普及を図ることを目的として、表彰するものです。

*3 エージング処理
製鋼スラグを雨ざらしで放置し、水と反応させて膨張させ、安定したものにすること。

*4 野積み式蒸気エージング
製鋼スラグの上をシートで覆い、スラグの下に設置した蒸気配管から蒸気を流して、蒸らすエージング処理方法。処理には2日間程度かかり、シートを被せる作業など、人手がかかり、場所も比較的広く必要です。

以 上


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