鹿島製鉄所新酸洗設備の稼動について
- ハイエンド化を加速する薄板高効率製造体制の確立 -

2007/09/05

  • 住友金属工業株式会社

鹿島製鉄所の第2薄板工場において建設中であった新酸洗設備がこのほど完成し、第2冷間圧延設備と直結した自動車用鋼板専用ラインとなりました。当社は、昨年12月に稼動した第3溶融亜鉛めっき鋼板設備に続く新酸洗設備の稼動により、世界でもトップレベルの競争力を持つ、高効率な薄板製造体制を確立しました。なお、9月4日に竣工修祓(ばつ)式を執り行いました。

1. 新酸洗設備の概要
(1)設備仕様
1)生産能力     150万トン/年
2)製造可能材サイズ 板幅600~1,880mm 板厚2.00~6.00mm(入り側)
3)製造品種     自動車用鋼板
(2)特長
1)高能率かつ安定した製造を可能にするシャローバスとBox堰(せき)タイプの酸洗槽(*1)
2)高張力鋼などの多品種・高機能材に対応すべくレーザービームウェルダー(*2)
3)自動化を徹底的に追及できるAWCトリマー(*3)
(3)投資額       90億円

2. 新酸洗設備導入の狙い
当社は、自動車用鋼板の高級化と需要量の増大に応えてハイエンド化を加速するべく、新酸洗設備を設置しました。昨年12月に稼動した第3溶融亜鉛めっき設備と合わせて自動車向けの比率を高めていきます。さらに、最新技術を織り込んだ新酸洗設備は、第2冷間圧延設備(1996年度大河内記念生産賞(*4)受賞)と直結し、次工程の焼鈍・表面処理工程と処理能力が完全にバランスした、100%自動車用鋼板を製造する世界トップレベルの薄板高効率製造ラインとなりました。また、新酸洗設備稼動により酸洗能力が拡大し、従来、次工程兼用であった第3酸洗設備が外販専用となり、酸洗外販の鹿島一貫製造・出荷体制を確立しました。これにより品質面、納期面およびコスト面における競争力を一層高めることとなります。

3. 今後の展開
当社は、新酸洗設備稼働により、自動車向けをはじめとするお客様の多様なニーズに応える薄板製造体制を確立し、強いところをより強く、薄板のハイエンド化を進め、お客様評価No.1を目指します。

<用語注釈>
*1 シャローバスとBox堰(せき)タイプの酸洗槽
シャローバスは、従来のディ-プタイプの酸洗に比べると、槽が浅く、槽内に設けられたスキッドにより、鋼板表面に成長する酸洗効率の悪い塩酸の流れの成長を抑制し、酸洗効率を上げることができます。またBox堰は、鋼板との間にBox堰(せき)といわれる壁を上下につけることにより、鋼板とBox堰(せき)の間に乱流を生じさせ、更に酸洗効率を上げることができます。

*2 レーザービームウェルダー
従来、大電流を流して鋼板の先端を溶融し、高圧力で突き合わせて鋼板を溶接するフラッシュバット溶接機が多く使われているが、ハイテンなど特殊材においては、溶接安定性に課題がありました。レーザービーム溶接機は、高エネルギーで金属を溶融させ、鋼板を接続するので、ハイテン等の特殊材において安定した溶接が可能です。

*3 AWCトリマー
AWC:Automatic Width Changingの略。熱延コイルの板幅は、全長にわたり必ずしも均一でない為、通常、サイドトリミングを行います。従来は、幅が異なる鋼板をトリムする時に、一度ラインを止め、トリム幅を調整し、ラインを起動させていましたが、AWCトリマーは、自動的に板幅に追従して、トリムを行う為、ラインを止めることなく、トリムを行うことができます。 

*4 1996年度大河内記念生産賞
大河内賞は、ピストンリングの製法など多数の研究開発に携わった大河内正敏博士の功績を記念して設立された財団法人大河内記念会が贈賞しているもの。大河内記念生産賞は「生産工学、高度生産方式等の研究によって得られた優れた発明または考案に基づく産業上の顕著な業績」(大河内記念会HPより抜粋)に対して贈られるもので、当社は過去に生産特賞2回の他、生産賞を12回受賞。1996年度に受賞した「ロールペア・クロス方式による高精度・高効率鋼板圧延法の開発」は、寸法、形状に関して、良好な平坦度を達成しつつ効率的な高圧下率圧延を可能にし、冷延鋼板のエッジドロップ低減を可能にしたことに関して贈られました。

<新酸洗設備導入による製造フローの変化>



鹿島製鉄所新酸洗設備

以 上


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