「遮熱塗装鋼板の開発と商品化」岩谷直治記念賞を受賞

2005/12/26

  • 住友金属工業株式会社
    住友金属建材株式会社

住友金属工業株式会社(社長:友野 宏、本社:大阪市、以下、住友金属)と住友金属建材株式会社(社長:重松 麓、本社:尼崎市、以下、住友金属建材)は、このたび「遮熱塗装鋼板の開発と商品化」で岩谷直治記念賞を授与されることが決定した。授賞式は平成18年3月に行われる予定である。 岩谷直治記念賞は、岩谷産業㈱の創始者である岩谷直治氏の偉業を記念して設定されたもので、省エネルギーや環境に関する目覚しい技術開発に対して贈られる権威ある賞である。(*1))  昭和49年(1974年)に第1回目の表彰を行い、今年で32回目となる。

1.受賞対象
今回の受賞対象は、夏季の強い太陽熱による屋根や外壁の温度上昇を抑制可能な塗装鋼板「遮熱塗装鋼板」に関するものである。 鋼板上のめっきと更にその上に施した塗膜中に含有される顔料により、太陽光の中に約40%含まれている近赤外線を効率よく反射させることができる。従来の塗装鋼板と比べて最大で約15℃の温度低下機能を有している。本塗装鋼板は、平成12年より販売を開始しており、客先でも好評を博している。また、すでにその生産量は、500万m2を超えた。

2.これまでの環境対応型塗装鋼板の開発
地球温暖化対策として炭酸ガス排出量削減が叫ばれている。日本国内での省エネルギー目標(COP3)では、民生建設分野で原油換算8.7Mm3/年と言われている。既に住友金属と住友金属建材の両社は、1990年代後半より、以下の環境対応型塗装鋼板を相次いで開発、商品化してきた。


(1)光エネルギーに関する分野
・照明器具の光反射(可視光)効率を究極まで高めた「高白色塗装鋼板」
・電子機器内で発生する熱(遠赤外線)を効率よく吸収・放射させる「放熱塗装鋼板」
(2)材料の寿命延長に関する分野(*2)
・従来よりも2倍以上の塗膜厚みを有し特殊な樹脂との組み合わせで極めて優れた耐食性を示す「住友ハイレタン鋼板」
・塗膜表面を親水化して雨だれによる汚染を生じにくくした「住友クリーンカラー鋼板」

住友金属グループでは、エネルギー消費を削減すべく、今後ともこれらの開発製品群の普及・拡販を図っていく。

<参考>
1*) 岩谷直治記念賞
岩谷直治記念賞は、わが国高圧ガス関係諸事業の発展に尽力した岩谷直治氏の業績を記念し、エネルギー、環境の分野で優れた技術を開発し、かつ産業上の貢献が期待される業績を顕彰して、斯界の発展と国民生活の向上に寄与する事を目的とします。(岩谷直治記念賞候補者推薦要項 表彰の趣旨より)

 選考委員長:濱川 圭弘  立命館大学教授・大阪大学名誉教授
選考委員 :秋元  肇  (独)海洋研究開発機構 地球フロンティア研究センター
大気組成変動予測研究プログラムディレクター
         明畠 高司  東京工業大学名誉教授
         池上  詢  福井工業大学教授・京都大学名誉教授
         齋藤 泰和  東京理科大学教授・東京大学名誉教授
         藤森 啓安  (財)電気磁気材料研究所理事・東北大学名誉教授
         古崎 新太郎 崇城大学教授・東京大学名誉教授
三浦 謹一郎 千葉工業大学教授・東京大学名誉教授
森  謙治  東京大学名誉教授
岩井 繁明  岩谷直治記念財団常務理事・事務局長

2*)光の波長が400-800nmの領域は「可視光」と呼ばれ、波長が異なると人間の目で違った色として認識できる。400nmより小さい波長を紫外線(UV)、800nmよりも大きい波長を赤外線(IR)と呼び肉眼では見る事ができない。 太陽光は、約300-2500nmの波長を有しており、その割合は可視光が約55%、赤外線が約40%(残りは紫外線)と言われている。(特に、2500nmまでの赤外線を「近赤外線」と呼ぶことも多い。)赤外線は目に見えないが、熱線として照射物の温度上昇を起こさせる。従って、同じ「黒色」(可視光の反射は小さい)の塗装鋼板であっても、近赤外線を良く反射させることで、同じ色相で温度上昇を抑制する事ができる事になる。また、蛍光灯より発せられる可視光を、効率よく反射させることで、照明器具全体の効率を高める事ができる。 更に、電子機器筐体内で発生する遠赤外線を効率よく吸収し、筐体外へ放射させることで、電子部品の温度上昇を抑制することも可能である。「遮熱型」「高白色型」「放熱型」塗装鋼板は、それぞれ対象となる光の波長の吸収や反射をコントロールするよう設計した塗装鋼板である。

以 上


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