入社式 新入社員へのメッセージ(代表取締役社長 宗岡 正二)

2012/04/02

新入社員の皆さん、入社 誠におめでとうございます。本日、新たな仲間を迎える事が出来ました事を、社員一同を代表致しまして、心からお慶び申し上げます。

本日の入社式は、新日鉄として最後の入社式であり、誠に感慨深いものがあります。42年前の1970年に、新日鉄が発足した訳ですが、その年の新日鉄の最初の入社式において、私は今の皆さん同様、新入社員の席に座っておりました。その新日鉄最初の新入社員であった私が、新日鉄最後の社長として皆さんをお迎えするという事で、これまた私自身にとりましても、誠に感慨深いものがあります。

さて、入社式にあたりまして、足下の経営環境と、我々がこれから進むべき方向、そして皆さんに期待することについて、お話ししたいと思います。
まず、足下の経営環境ですが、先進国経済の失速に加え、これまで世界経済を牽引してきた新興国経済も減速してきており、日本経済にも不透明感が広がっております。更に、鉄鋼業について見れば、東アジアを中心に、新たな製鉄所の建設や、生産能力の拡張によって、大競争の時代に突入するとともに、円高や原材料等の資源価格の高騰もあり、鉄鋼産業を取り巻く経営環境は、誠に厳しいものとなっています。
一方で、世界の鉄鋼生産は、新日鉄が発足した1970年には約6億トンでしたが、10年前の2002年には約9億トンへ、そして昨年2011年は約15億トンへと大きく増加を続けており、これからも新興国を中心に、経済成長やインフラ整備に伴う鉄鋼需要の着実な拡大が、見込まれています。

次に、このような状況の中で、我々の進むべき方向についてですが、我々が成長し続けていくためには、グローバルマーケットにおいて、世界の競合メーカーとの競争に、勝ち残らねばなりません。そのためには、我々はものづくり企業として、魅力的な商品の開発をはじめとする技術競争力を磨き、一方で、コスト競争力の源泉である現場力を鍛えるとともに、グローバル需要を捕捉するための、生産・供給体制を構築していかねばならないのです。

こうした大きな課題を解決していくためには、新日鉄と住友金属工業との合併により、両社の持つ世界最先端の技術を融合、強化するとともに、人的資源を最大限に活用することで、よりスピーディーに、より効率的に、より広範囲に、課題解決が可能となり、また、ものづくりの基盤とも言うべき素材産業の国際競争力を向上させることで、日本の製造業、すなわち日本経済の再生、競争力強化に大いに資するものと確信し、住友金属との経営統合に活路を見い出すことを決断した訳です。
本年10月1日に予定されている合併以降、相互の信頼と融和を図り、技術と品質と規模とで、総合力世界ナンバーワンの、日本と東アジアと中南米の3極を軸とする、グローバル鉄鋼メーカーの実現を目指して参ります。
また、今回の合併は、厳しい国際マーケットで日本企業が勝ち残っていくための統合再編の、言わば最初の大型ケースであります。我々は、しっかりと結果を出すことで、後に続くであろう日本の他業界の統合再編のモデルケースとなるべく、両社一丸となって全力を尽くしていかねばならないのです。

皆さんも、まさにこの挑戦しがいのあるエキサイティングな戦いに、1日も早く参加してもらい、皆さんの持つ若い力と瑞々しい感性を、思う存分発揮してもらうよう、大いに期待をしています。

次に、新入社員の皆さんへの期待について、2点に絞ってお話したいと思います。
第一は、「当社の企業理念・社員行動指針をきちんと理解し、心に刻み込んでもらいたい」ということです。詳しくは本日以降の研修の中で解説されますが、当社の企業理念は、「①社会と共生し、社会から信頼されるグループであり続けます。②たゆまず技術の創造と革新に挑戦し、技術で世界をリードします。③変化を先取りし、さらなる進歩を目指して、自らの変革に努めます。④人を育て、人を活かし、活力に溢れるグループを目指します。以上の理念のもと、公正かつ透明な経営を行います。」です。今後、仕事を進めていく中で悩んだり、疑問に感じた時には、必ずこの理念に立ち返って行動して欲しいと思います。
なかでも、4番目にあげられている『人』こそが、会社にとって一番大切な経営資源です。会社も『人』を育てる様々な施策を展開していますが、皆さんは、今日この日から、一人ひとりが、新日鉄グループを動かす『人』という原動力であることを、強く意識して、自らを鍛え、磨くという気持ちを持ち続けてもらいたい。そして、いずれは自分自身が、後輩や部下を『育てる、指導する』立場になるということを忘れないでもらいたいと思います。

第二は、「国際人たれ」ということです。当社がグローバルに事業を展開していくなかで、皆さんも出張や駐在だけでなく、日々の仕事のなかでも海外の関係者とやりとりをする機会が増えていくはずです。そのためにも、まずは、日本人としての自らの軸をしっかりと持ち、新日鉄を代表する立場で、主張すべきことをはっきりと相手に伝え、理解してもらえる発信力を身につける必要があります。そして同時に、日本とは異なる文化、習慣を持つ海外のビジネスパートナーの考え方を理解し、受け止める柔軟性も持ち合わせなければ、グローバルな事業で成果を挙げることは難しいのです。お互いを理解するためには、コミュニケーションツールとしての語学力の向上も重要ですが、それだけではなく、相互に理解しあえる国際人としての資質や心構えをぜひ身につけ、高めていってもらいたい。グローバルな情報への感度を日ごろから高め、諸先輩の海外での経験を貪欲に吸収するなど、高い意識をもって取り組んでもらいたいと思います。

さて、皆さんは本日から社会人としてのスタートを切ることになりますが、学生時代と比べると、皆さんを取り巻く全ての環境が大きく変化することになります。持てる力を存分に発揮するためにも、健康にはくれぐれも注意をはらって頂きたいと思います。

最後に、皆さんの今後の大いなる活躍を祈念して、私からの歓迎の挨拶といたします。

                                            以 上


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