入社式 新入社員へのメッセージ(代表取締役社長 宗岡 正二)

2011/04/01


新入社員の皆さん、入社誠におめでとうございます。新たな仲間を迎えることが出来ましたことを、社員一同を代表いたしまして、心からお慶びを申し上げたいと思います。

本日の入社式にあたり、当社の進むべき方向と、新入社員の皆さんに対する期待について、お話ししたいと思いますが、その前に、今回の大震災について申し上げます。
今回の地震と津波によりまして、皆さんのご家族や友人の方々のなかにも被災された方がいらっしゃることと思います。この場をお借りして、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
新日鉄グループでも、釜石製鉄所をはじめ、グループ会社の事業拠点等で非常に大きな被害を被りました。まだ、現地でのご家族を含めた安否確認が全てはできていない状況ですし、ライフラインも完全には復旧していない非常に厳しい環境にありますが、我々の仲間は一致団結して復興に向けて力をあわせて日々頑張っている最中です。
私自身も、社長として今後の復興に向けて全力で取り組んで参りますが、新入社員の皆さんも含めて、新日鉄グループ全員の強い気持ちと力を結集して、この難局を乗り越えていかねばなりません。その上で、我々日本鉄鋼業界をあげて、これからの日本の再生、安全・安心な国土づくり、そして日本経済の再建のために貢献して参らねばならない、と強く決意を固めているところです。

次に当社のこれから進むべき方向についてお話しします。
2月3日に、当社と住友金属工業との経営統合の検討を開始する旨、発表いたしました。新入社員の皆さんは、この大変大きな変化の年に社会人としての一歩を踏み出すこととなりました。
世界の鉄鋼業は、今後も、新興国の力強い経済成長に牽引されて、引き続き大きな成長が期待されていますが、一方で、東アジアを中心に新鋭製鉄所の新規参入も含めた大競争が、日に日に、激しさを増しています。
更に資源インフレや円高といった要素も加わり、我々日本鉄鋼業は、過去にない厳しく、そして大きな変化に直面しています。
このような環境の中で、当社の進むべき方向を考えた時に、グローバルなマーケットで生き残り、そして成長を続けていくためには、当社と住友金属工業両社の持つ最先端の技術を結集して更に強化するとともに、両社の人的資源を最大限活用していかなければならない、即ち、両社が統合することが最善の選択であるとの結論に至ったものです。
両社の互いの強みを結合することで、競争力の一層の強化を図り、規模と、技術と、品質とで、世界トップクラスの競争力を有する、グローバルな総合鉄鋼メーカーとして、発展していくことが可能となると考えた訳です。
更に申し上げれば、日本の経済、雇用を支えているのは、製造業を中心とする産業部門です。
今回の統合により、日本の製造業すなわち、物づくりの基盤ともいうべき素材産業の国際競争力を向上させ、ひいては、日本の製造業すなわち、日本経済の再生、競争力強化に資することが出来ると確信しています。
皆さんにも、是非ともそうした気構えでそれぞれの職場で、自らの業務や課題に取り組んでもらいたい。そして、近い将来、皆さんには、当社の新しい時代を切り開く強力な推進役に成長してもらいたい、と思っています。

次に、新入社員の皆さんへの期待について、3点に絞って申し上げます。
第一は、「当社の企業理念・社員行動指針をきちんと理解し、心に刻み込んでもらいたい」ということです。当社の企業理念は、「①社会と共生し、社会から信頼されるグループであり続けます。
②たゆまず技術の創造と革新に挑戦し、技術で世界をリードします。③変化を先取りし、さらなる進歩を目指して、自らの変革に努めます。④人を育て、人を活かし、活力に溢れるグループを目指します。以上の理念のもと、公正かつ透明な経営を行います。」です。今後、仕事を進めていく中で悩んだり、疑問に感じた時には、必ずこの理念に立ち返って、行動して欲しいと思います。

なかでも、4番目にあげられている「人」こそが、会社にとって一番大切な経営資源です。会社も『人』を育てる様々な施策を展開していますが、皆さんは、今日この日から、一人一人が、新日鉄グループを動かす『人』という原動力であることを、強く意識して、自らを鍛え、磨くという気持ちを持ち続けてもらいたい。そして、いずれは自分自身が、後輩や部下を『育てる、指導する』立場になるということを忘れないでもらいたいと思います。

第二は、「継続する情熱を持ち続けてもらいたい」ということです。これからの会社生活の中では、難しい問題に遭遇し、途中で投げ出したくなることもあるかもしれません。しかしながら、問題から逃避することによって道が開けることは無いのであって、自らがひたむきに努力を続ける以外に道はありません。愚直な努力を継続することの重要さを是非心に留めて実践してもらいたいと思います。将棋の羽生名人の言葉を借りれば「才能とは、一瞬のひらめきやきらめきではなく、継続できる情熱だ。」ということです。

第三は、「国際人たれ」ということです。当社がグローバルに事業を展開していくなかで、皆さんも出張や駐在だけでなく、日々の仕事のなかでも海外の関係者とやりとりをする機会が増えていくはずです。私自身も、中国における自動車鋼板事業の合弁会社の社長として、身をもって経験したことですが、グローバルなビジネスにおいては、お互いを理解し合うことが、なによりも重要になります。そのためにも、まずは、日本人としての自らの軸をしっかりと持ち、当社を代表する立場で、主張すべきことをはっきりと相手に伝え、理解してもらえる発信力を身につける必要があります。そして同時に、日本とは異なる文化、習慣を持つ海外のビジネスパートナーの考え方を理解し、受け止める柔軟性も持ち合わせなければ、グローバルな事業で成果を挙げることは難しいのです。お互いを理解するためには、コミュニケーションツールとしての語学力の向上も重要ですが、それだけではなく、相互に理解しあえる国際人としての資質や心構えをぜひ身につけ、高めていってもらいたい。グローバルな情報への感度を日ごろから高め、諸先輩の海外での経験を貪欲に吸収するなど、高い意識をもって取り組んでもらいたいと思います。

さて、皆さんは本日から社会人としてのスタートを切ることになりますが、学生時代と比べると、皆さんを取り巻く全ての環境が大きく変化することになります。持てる力を存分に発揮するためにも、健康にはくれぐれも注意をはらって頂きたいと思います。

最後に、皆さんの今後の大いなる活躍を祈念して、私からの歓迎の挨拶といたします。



以 上



(お問い合わせ先)広報センター TEL:03-6867-2135,2146,2147


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