永田橋(東京都)に新日鉄の橋梁用高降伏点鋼板“SBHS”がJIS化後初採用

2010/08/24

 新日鉄製造の橋梁用高降伏点鋼板SBHS(Steels for Bridge High Performance Structure)が、多摩川に架かる東京都福生市とあきる野市を結ぶ“永田橋”(東京都建設局発注)に採用されています。鋼材重量は約600トン。“永田橋”はSBHSがJIS規格材として制定されて以降、初の採用物件となります。

1.SBHSの特徴
 SBHSは従来の溶接構造用圧延鋼材と比較して、高強度・高靭性で、溶接性、冷間加工性にも優れた橋梁用の高性能鋼材です。構造設計上の基準強度である降伏強度が従来鋼より10~20%高く、軽量化など経済的な設計が可能となります。また、降伏強度の向上を、溶接性や加工性を阻害する合金類の添加ではなく制御冷却プロセスを駆使した鋼材組織の造り込み技術で実現しているため、溶接性(溶接時の予熱作業の省略や低減が可能)、冷間加工性にも優れています。

2.東京港臨海道路の橋梁への採用実績を踏まえSBHSがJIS規格化
 SBHSの前身で日本鉄鋼連盟製品規定(MDCR0014-2004)にあるBHS (Bridge High Performance Steel)は、東京都港湾局発注の“南北水路横断橋(仮称)及び、現在建設中の国土交通省関東地方整備局発注の“東京港臨海大橋(仮称)”に約17千㌧採用されており、新日鉄は両物件に総計約16.5千㌧を製造・出荷しています。この製造実績を踏まえ鋼材のJIS規格化が検討され、日本工業標準調査会の審議を経て、平成20年11月20日に(財)日本規格協会からJIS G3140“橋梁用高降伏点鋼板“として制定されました。橋梁用厚板に関するJIS規格鋼材としては、実に40年振り*1)となる新規格制定です。
*1)1968年制定 JIS G3114 溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材 以来

3.永田橋への採用
 現在架け替え建設中の“永田橋”は、従来のPC箱桁橋の下フランジとウェブをスペーストラス構造とした国内初の橋梁形式を採用しており、4径間連続・全長約250mの大型橋梁です。パイプトラス構造であるため、極厚かつ冷間曲げ加工、現場溶接可能な鋼材が必要となり、最大板厚67㍉(従来50㍉最大)、高靱性200J(一般鋼材の約4倍の粘り)、降伏強度500N/mm2のSBHS500が採用され、曲げ半径が板厚の5倍(一般鋼材は15倍以上)の強冷間曲げ加工により鋼管が製造されています。
 東京都西多摩建設事務所によると複合トラス形式を採用することで透明感が増し、自然との調和が図れ、軽量化によるコスト縮減が可能となりました。当社製造のSBHS500はこの軽快感のある美しい橋梁の実現に貢献しています。

(お問い合わせ先)総務部広報センター TEL:03-6867-2135


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