平成22年度全国発明表彰「文部科学大臣発明賞」を受賞-「コークス炉壁煉瓦補修用熱間計測・予測技術の発明」-

2010/06/18

コークス炉診断・補修設備(DOC)外観

 平成22年度全国発明表彰において、「コークス炉壁煉瓦補修用熱間計測・予測技術の発明」が、特別賞のひとつである「文部科学大臣発明賞」を受賞しました。併せて、特別賞受賞法人の代表者に贈呈される「発明実施功績賞」を受賞しました。
 全国発明表彰は、発明の奨励・育成を図り、わが国科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的として行われている伝統と権威のある賞です。

「文部科学大臣発明賞」
〔受賞者〕
 技術開発本部 環境・プロセス研究開発センター  杉浦 雅人
 大分製鉄所  製銑工場             入江 敬介
 技術開発本部 環境・プロセス研究開発センター  福田 耕一
 名古屋製鉄所 製銑工場             佐野 明秀
 八幡製鉄所  生産技術部            森實 好文
 技術開発本部 環境・プロセス研究開発センター  境田 道隆

「発明実施功績賞」
〔受賞者〕
 代表取締役社長 宗岡 正二

1.受賞技術の概要
 高炉製鉄法の鉄鉱石の還元剤として用いられるコークスは、煉瓦製の多数の炉室から成る巨大なコークス炉で石炭を乾留(無酸素状態で蒸し焼き)して製造される。国内コークス炉の多くは稼動30年を超えており、炉体の損傷が深刻化し、生産への影響も顕在化し始めている。特に炉壁に生じた凸凹損傷が製造したコークスを押し出す際の障害となり、生産能力の低下や熱効率の悪化を招くのみでなく、補修に於いても時間的・作業的に大きな制約となっていた。
 当社は、このような課題に対し、コークス炉内の損傷状況を迅速に観察・診断し、高精度の補修を効率的に行う「コークス炉診断・補修技術」(Doctor of Coke Oven:DOC)を開発した。今回受賞対象となったのはこのDOCを構成する要素技術である。1000℃以上のコークス炉内壁を高精度に測定して得られた3次元の損傷データと、その損傷データを仮想的に補修することで得られる押出し障害の改善効果とを関係づける計算モデルを初めて構築した。この計算モデルにより、押出し障害の改善効果が高い補修箇所を特定することが可能となり、短時間で効果的かつ効率的な補修を実現した。
 当社はDOCを2003年の大分製鉄所への導入を皮切りに現在までに9基導入し、自社のコークス炉をほぼカバーする体制を整えている。

2.効果
 効果的・効率的な補修により、コークス炉の生産性維持、熱効率の維持、CO2排出抑制、コークス炉の寿命延長などの効果が期待できる。国内には老齢化したコークス炉が多数存在する一方、世界的な鉄鋼需要の高まりからコークス生産量の確保が必要であり、コークス炉の保守技術は今後益々重要となる。この技術はどのコークス炉にも共通して適用でき、世界的に高い波及効果が期待できる技術である。

(お問い合わせ先)総務部広報センター TEL 03-6867-2135 

       以 上


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