入社式 新入社員へのメッセージ(代表取締役社長 宗岡正二)

2010/04/01

新入社員の皆さん、入社誠におめでとうございます。新たな仲間を迎えることが出来ましたことを、社員一同を代表して心からお慶び申し上げたいと思います。

本日の入社式にあたり、当社のこれから進むべき方向、新入社員の皆さんに対して期待することをお話ししたいと思います。

先ず、当社の進むべき方向についてお話したいと思います。日本鉄鋼業すなわち、当社は、現在4つの厳しい経営環境に直面しています。

1つ目は、「国内鉄鋼需要の減少」です。一昨年秋、世界経済は過去最悪とも云うべき同時不況に突入したことは皆さんもご存知のとおりですが、ここに来て、中国、インド、アセアン、ブラジル等の新興国や資源国は確かな経済回復の道を歩み始めました。しかしながら一方で、米国、EU、日本等の先進国は未だに経済危機から立ち直りきれず、我が国の鉄鋼需要の回復も当面の間、多くは期待できない状況です。

2つ目は、「大競争時代の始まり」です。東アジア、すなわち中国、韓国、台湾等に新たな製鉄所がいくつか稼働を始め、この春先から激しい大競争の時代に突入していることです。

3つ目は、「地球温暖化問題」です。政府は「CO225%削減」を国連に提出していますが、日本の製造業は世界最高水準の環境対策を講じているにも拘わらず、わが国のみの突出した削減目標が国民の負担、日本経済や雇用に対し、深刻な影響を与えるのではないかと強く懸念されます。

4つ目は、「資源インフレの襲来」です。中国、インド等の新興国の経済発展に伴い、石油、石炭、鉄鉱石等をはじめとする資源価格が大幅に高騰を続け、資源インフレの大波がわが国を直撃しています。

こうした厳しい経営環境の中ではありますが、何も悲観的に考えることはありません。目を外に向けると、日本周辺のアジアの新興国、あるいは資源国ではいち早く成長過程に乗っています。そしてこれらの国々では今後の経済成長に伴って鉄鋼需要も増加していくことは間違いありません。

また、日本の経済についても、わが国が持つ高い技術力を更に高め、産業競争力の強化に全力を持って取り組むことで、必ずや自律的な回復に向かっていけると確信しています。

こうした厳しい環境のなかで必ず勝ち残り、自らの成長を確実なものとする為に、我々がなすべきこと、当社が進むべき方向は極めて明白です。

第1は、当社が製鉄業である限り、物づくり企業としての競争力の原点である技術を究めること、すなわち「競争力基盤の再構築」です。世界最高水準にある当社の技術先進性を更に高めるとともに、コスト競争力、品質競争力の源泉たる現場力を徹底的に鍛えることです。大競争時代を断乎として勝ち抜くために、是非ともこれをやり遂げねばなりません。

第2は「グローバル生産体制、グローバル供給体制の確立」です。わが国の鉄鋼需要が伸び悩むなかで、今後成長が見込まれるアジアの新興国や資源国の需要を自らの成長に取り込んでいかねばなりません。これまでもブラジルやアジア諸国等で様々な取り組みを展開してきましたが、これからも更に強化していく必要があります。

皆さんはこれから研修を経て、各々の職場で業務につくことになりますが、この当社の進むべき方向、すなわち「競争力基盤の再構築」と「グローバル生産体制、グローバル供給体制の確立」を念頭におきつつ、この厳しい経営環境にあっても、当社は必ず生き残り、打ち克っていくとの強い気持ちをもって、自らの業務や課題に取り組んでもらいたいと思います。そして、近い将来、皆さんには当社のこの進むべき方向への強力な推進役に成長してもらいたいと思っています。

次に、皆さんに対するお願いと期待についてお話します。

その第1は、当社の企業理念・社員行動指針をきちんと頭に刻み込んで頂きたいということです。当社の企業理念は、「①社会と共生し、社会から信頼されるグループであり続けます。②たゆまず技術の創造と革新に挑戦し、技術で世界をリードします。③変化を先取りし、さらなる進歩を目指して、自らの変革に努めます。④人を育て、人を活かし、活力に溢れるグループを目指します。以上の理念のもと、公正かつ透明な経営を行います。」です。今後、会社生活の中で、悩ましいことに遭遇した時には、必ずこの理念に立ち返って、自らの行動を考えて欲しいと思います。

企業理念の4番目にあげられている「人」について、一言付け加えたいと思います。会社の経営資源のなかで一番大切なのは、言うまでもなく『人』です。人こそが組織を動かし、新しい技術を開発し、お客様や社会との信頼を構築し、そして困難な状況を切り拓いていくからです。皆さんは、今日この日から、一人一人が、新日鉄グループを動かす『人』という原動力であるということを、強く意識して欲しいと思います。

会社としても『人』を育てる様々な施策を展開していますが、皆さんには、自分が育てられるという意識ではなく、自らが自らを鍛え、磨くという気持ちを持ち続けてもらいたい。そして、自分が後輩や部下を持った時には、自らが、後輩や部下を『育てる、指導する』立場になるということを忘れないでもらいたい。そうすることで、新日鉄グループの『人を大切にする』というすばらしい伝統を、皆さん一人一人が、受け継いでいって欲しいと思っています。

第2は、継続することの重要さ、です。将棋の羽生名人の言葉を借りれば「才能とは、一瞬のひらめきやきらめきではなく、継続できる情熱だ。」ということです。また、メジャーリーグのイチロー選手によれば、「今、自分に出来ること、頑張ればできそうなことを積み重ねていかないと、遠くの目標は近づいてこない」ということです。これからの会社生活の中では、難しい問題に遭遇し、途中で投げ出したくなることや、諦めたくなることもあるかもしれません。しかしながら、問題から逃避すること、楽になろうとすることによって道が開けることはありません。「石の上にも3年」という言葉もあるように、地道に継続していくこと、そして一歩ずつ前進し、着実に進化していくことの重要さを是非心に留めて実践してもらいたいと思います。継続することの重要性を心に刻んで、これからの会社人生を歩んで欲しいと思います。

さて、皆さんは本日から社会人としてのスタートをきることになりますが、学生時代と比べると皆さんを取り巻く全ての環境が大きく変化することになります。持てる力を存分に発揮するためにも、健康にはくれぐれも注意をはらって頂きたいと思います。

最後に、皆さんの今後の大いなる活躍を祈念して、私からの歓迎の挨拶と致します。

以 上

(お問い合わせ先)広報センター TEL:03-6867-2135, 2146, 2147


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