「回転炉床式還元炉による製鉄ダスト類リサイクルプロセスの開発」で第56回大河内賞「大河内記念生産賞」を受賞

2010/02/10

回転炉床式還元炉(君津製鉄所)

 新日本製鐵株式会社は、新日鐵住金ステンレス株式会社とともに、(財)大河内記念会(理事長:吉川弘之氏)より、「回転炉床式還元炉による製鉄ダスト類リサイクルプロセスの開発」で、第56回(平成21年度)大河内賞「大河内記念生産賞」を受賞しました。贈呈式は3月12日に日本工業倶楽部(東京都千代田区)にて行われます。
 大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念して、大河内記念会がわが国の生産工学・高度生産方式の実施等に関する顕著な業績を表彰する伝統と権威のある賞です。

1.受賞理由
 今回の受賞したプロセスは、亜鉛などの揮発性不純物を含む製鉄ダストのリサイクル処理を回転炉床式還元炉(RHF:Rotary Hearth Furnace)で実施するものです。低品質のダスト類を原料として、炉内温度を還元・亜鉛分離に対して適正化することで、高エネルギー効率で還元鉄と粗酸化亜鉛を分離回収してリサイクルすることができるプロセスであり、環境・省資源に優れていること、安定操業技術の確立による安定生産と高生産性を実現していること、国内外で広く普及していることが評価されました。

2.技術開発経緯
 製鉄プロセスでは不可避的に副産物として製鉄ダストが鉄分換算で約5%発生します。製鉄ダストには酸化鉄、炭素の他に高揮発性の亜鉛等が含まれており、そのままリサイクルすると亜鉛等がプロセス内で循環、濃縮します。従って鉄源としてリサイクルする場合は、亜鉛等を除去する必要があります。
そこで、RHFをダストリサイクル操業に適正化する技術開発を行い、2000年から君津・広畑両製鐵所にて実機でのリサイクルを開始しました。その後、さらに改良を続け、現在は、新日鉄と新日鉄住金ステンレスにて、7基のRHFを操業しています。これにより、新日鉄は社内で発生する製鉄ダストを全量リサイクルできる体制を構築しています。


3.開発の内容
 本技術開発は、RHFにて炉内温度1400℃(最高)で、酸化鉄と炭素を含むダスト造粒物を還元処理する技術であり、1)原料ダストの混合成分調整、2)ダスト造粒技術、3)適正な酸化鉄還元と脱亜鉛、4)安定操業のための基礎技術からなっています。

1)物性・成分が変動する原料ダストの分析・配合技術:適正な反応・造粒条件の実現
2)3種類の適正造粒技術:原料ダストの物性に応じた最適造粒技術を選定することで、
  安定処理と高生産性の実現
3)高脱亜鉛率を実現するとともに、溶解プロセスに適した還元鉄製品を製造する技術:
  高炉向け高強度・鉄溶解炉向け高金属化率・Cr含有の難還元ダスト還元を実現する
  汎用性の高い還元技術
4)安定操業技術:長寿命耐火物・炉床付着物対策・排ガス処理装置の付着物対策等の
  高稼働率を実現する操業技術

 以上の技術開発により、世界で初めて、RHFでの製鉄ダスト処理技術を実現したことにより、不純物の多い難処理ダストを含めて、全社の製鉄ダストを全量リサイクルできる体制を構築しました。また、POSCOとの合弁事業を含めて国内外5カ所に技術提供するとともに、広畑製鐵所のRHFを用いた広域リサイクル体制の構築を進めるなど、社内外で、鉄・亜鉛の省資源、省エネルギー、環境保全に大きな成果を上げています。
 当社では、このプロセスを製鉄業における重要な環境・省資源技術として位置付けており、社内の設備を安定稼働させるとともに、国内外に広く普及していくことで、環境と人に優しい鉄作りに貢献していきます。

(お問い合わせ先)総務部広報センター  TEL:03-6867-2135



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