第39回日本溶接協会賞受賞

2009/06/12

開発奨励賞受賞者

溶接発明注目賞受賞者

 当社は、この度、2008年度日本溶接協会賞において、「技術賞(開発奨励賞)」及び「溶接注目発明賞」を受賞しました。本賞は、社団法人日本溶接協会が、我が国の溶接界に多大な貢献のあった技術を表彰するものです。表彰式は6月11日に行われました。


1.技術賞(開発奨励賞)

(1)賞の性格
 今後の発展性が期待される、優れたアイデアをともなった技術

(2)受賞者
当社 鉄鋼研究所 接合研究センター 主任研究員 児玉 真二
当社 鉄鋼研究所 接合研究センター 研究員 石田 欽也
当社 薄板営業部 マネジャー 浅井 謙一
日鐵住金溶接工業㈱ 富津研究所 所長 長崎 肇
日鐵住金溶接工業㈱ 富津研究所 課長代理研究員 水本 学

(3)受賞技術の概要
件名「高耐食亜鉛めっき鋼板用タッチアップレス溶接材料の開発」
 スーパーダイマ(溶融Zn-Al-Mg-Si合金めっき鋼板)を含む亜鉛系めっき鋼板の溶接部は、溶接時の熱によりめっきが蒸発し、溶接部の耐食性が劣化する傾向があります。そのため、溶接後に補修塗装(タッチアップ)が行われていますが、施工時の生産性の低下や、塗装そのものの剥離による耐食性の低下等の課題がありました。一方、耐食性の高いステンレス鋼の溶接材料は、「亜鉛脆化割れ」現象が発生することから、亜鉛系めっき鋼板には使用できないという問題がありました。
 本技術は、溶接部の脆化割れメカニズムを解明し、『溶接金属フェライト量の増加による亜鉛脆化抑制』の原理を見出し、クロム量増・ニッケル量減によるステンレス溶接材の高フェライト化を指向することで上記問題を解決したものです。
 本技術により商品化された溶接材料「FC309SD」(日鐵住金溶接工業)は、溶接部タッチアップ補修が省略できる効果に加えて、溶接部の耐久信頼性が向上すること、更には良好な溶接外観によって意匠性も向上することで、市場から高い評価を得、用途を広めつつあります。


2.溶接注目発明賞

(1)賞の性格
権利化された特許で、優れたアイデアをともなった技術。

(2)受賞者
当社 鉄鋼研究所 接合研究センター 主幹研究員 糟谷 正
当社 名古屋技術研究部 主幹研究員 斉藤 直樹
日鐵住金溶接工業㈱ 習志野工場生産技術グループ 課長 千葉 利彦
㈱日鐵テクノリサーチ 総合材料センター 所長 小林 順一

(3)受賞技術概要
件名「溶接ワイヤおよび溶接方法」(特許 第3545610号)
(溶接部残留応力を低減する溶接技術の開発)
 本技術は、溶接部の割れなどの原因となる溶接部の残留応力を低減させる技術です。溶接部の残留応力を低減する方法として用いられるピーニング処理
などは溶接後に行う処理であるため、溶接構造物製造時の工程負荷を増加させない技術が求められていました。
本技術は、溶接部の冷却時におこる変態開始温度に注目し、溶接材料の成分調整のみで残留応力を低減させる技術であり、後工程を必要としません。
 本技術により開発された溶接材料として「SM10N」(日鐵住金溶接工業)があり、自動車分野、建機分野などの疲労問題解決に既に適用されており、今後も適用拡大が期待されています。

*ピーニング処理:鋼材表面をハンマーで打ち伸ばすなどの処理をして鋼材を変形させ、疲労強度などの機械的特性を向上させる処理を言う。

                       以 上


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