環境適合型自動車燃料タンク用鋼板「エココート-S」が市村産業賞を受賞

2009/03/27

新日本製鐵株式会社(社長:宗岡正二)が開発した環境適合型自動車燃料タンク用鋼板「エココート-S」が、(財)新技術開発財団(総裁:寛仁親王殿下)より、第41回(平成20年度)市村産業賞貢献賞を受賞いたしました。市村産業賞は、日本の産業分野の発展に貢献し、功績のあった業績を表彰する伝統と権威ある賞です。
(「エココート」は新日鉄の登録商標です)

1.受賞内容
(1) 名 称 : 市村産業賞 貢献賞
(2) テーマ : 耐食性を飛躍的に向上させた環境適合燃料タンク用鋼板の開発
(3) 受賞者 : 技術開発本部 八幡技術研究部 主幹研究員 黒崎将夫
         技術開発本部 八幡技術研究部 主任研究員 後藤靖人
         八幡製鉄所  薄板部     マネジャー 水口俊則

2.エココート-Sとは
エココート-Sは、鋼板上に錫と亜鉛をめっきした自動車燃料タンク用鋼板です。鉛などの環境負荷物質を含まず、バイオ燃料にも対応する高い耐食性を有しています。2005年の販売以来、国内自動車メーカー各社で急速に採用が進み、現在では自動車用燃料タンクの約3分の2を占める金属製タンクの大半にエココート-Sが使用されています。

3.受賞理由
①極めて微細なめっき生成メカニズムを科学的に解明し、優れた耐食性能を発揮する為のめっき組織を開発、実製造ラインでの安定製造技術を確立したこと、
②今後の燃料多様化の中でも燃料タンクの長寿命化を可能にするのみならず、軽量、燃料不透過、100%のリサイクル性などの優れた環境適合性を持つ燃料タンクの実現に貢献していること、
が評価されました。


4.エココートⓇ-Sの特徴・効果
(1) 耐食性
錫と亜鉛の防食機能が確実に発揮されるめっき組織を形成することにより、従来の金属材料よりも高い耐食性を有しています。劣化バイオディーゼル燃料や水分を含むバイオエタノール混合燃料等の厳しい腐食環境下でも優れた耐食性を発揮し、燃料タンクの長寿命化に寄与します。

(2) 軽量化
耐食性に優れるため、母材として板厚の薄い高張力鋼板を使用することが可能となり、数値解析シミュレーションや加工技術などの当社のソリューション技術を駆使することによって燃料タンクの軽量化を実現でき、燃費向上に貢献します。

(3) 環境性能
燃料タンクには、燃料透過(燃料中の揮発性有機物質がタンク材料を透過して大気汚染の原因物質となること)が全く生じないこと、完全なリサイクルが可能であること、製造に要するエネルギー量が少ないこと、などが求められます。これら要求特性について、鉄は他の素材に比べて非常に優れています。

5.エココート-Sの普及  『燃料タンク用素材のスタンダードへ』
環境性能について、今後も日米欧を中心としてより厳しい規制として要求される趨勢にあります。エココート-Sの優れた環境調和性能は、これらの要求を先取的に満足するものとして国内乗用車メーカー各社から高い評価を得ており、2009年度中には国内全ての乗用車メーカーがエココート-Sを採用する見込みです。これにより、日本の金属製タンクの大宗をエココート-Sが占めることとなります。また、日系各社の海外現地生産工場向けの輸出をはじめ、日系以外の自動車メーカーでの採用も始まっております。当社はこのような環境に優しく先進的な製品を、高度な科学技術を基盤にして、今後も開発・普及させて参ります。

以 上

〈エココート-Sを使用した自動車燃料タンクの例〉


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