鉄ダスト系副産物の有効活用による省資源・省エネルギーの推進

2008/06/19

 このほど、当社君津製鉄所で鉄ダスト系副産物のリサイクルで世界最大の能力(31万㌧/年)を有する回転炉床式還元炉(Rotary Hearth Furnace 以下、RHF)が本格稼動に入りました。RHFにより、鉄ダスト系副産物に含まれる鉄分、炭素分、亜鉛分をほぼ全量有効活用することが出来ます。当社は、これまで君津製鉄所で2基、広畑製鉄所で2基のRHFを稼動させており、今回の君津No.3RHFの本格稼動により、「ゼロエミッション」「省資源」「省エネルギー」の体制が一層進展することになります。さらに、現在建設中の広畑No.3 RHFが完成・稼動すると、製鉄所で発生する鉄ダスト系副産物を全量再資源化する体制が整うことになります。資源・環境問題への対応が重要性を増している中、鉄ダスト系副産物の有効活用による省資源効果は鉄鉱石換算で年間224万㌧、省エネルギー効果はCO2換算で年間約80万㌧になります。

 RHFは、製鉄工程で発生する酸化鉄や亜鉛を含む鉄ダスト系副産物をドーナツ型の回転炉床式で高温還元し、還元鉄(DRI)を製造し、同時に亜鉛などの金属類を分離回収する設備です。これまで、亜鉛などを含む鉄ダスト系副産物を製鉄プロセスで直接利用することは困難でしたが、RHFでは亜鉛などの非鉄金属類の分離を行うことにより100%有効活用することが可能です。RHFで還元処理した還元鉄を製鉄プロセスに、回収亜鉛を非鉄プロセスに戻して活用することで、ゼロエミッションが実現するとともに、鉄鉱石や亜鉛鉱石、還元用の炭素(石炭、コークス等)などのバージン資源、エネルギーの削減が可能となります。

 新日鉄は、世界に先駆けて、RHFによる鉄ダスト系副産物のリサイクル技術を確立しました。自社での展開のほか、本年2月にはアライアンスパートナーである韓国/ポスコ社とRHFの合弁会社を韓国に設立しています。

 当社の製鉄所のエネルギー効率は世界トップクラスです。また、製鉄プロセスは高温、還元雰囲気という特徴があり、資源を焼却することなく環境負荷を極力抑える形で処理することが可能です。この高いエネルギー効率と環境負荷が小さいという特徴は、資源の有効活用の大きな要件になります。当社は、環境技術のプラットフォームとして製鉄所のポテンシャルを活かし、社内発生の副産物の有効活用のみならず、廃タイヤや廃プラスチックなど、社会や他産業で発生する未利用資源の再資源化も推進しています。鉄ダスト系副産物、廃タイヤ、廃プラスチックの再資源化による省エネルギー効果は、CO2換算で年間約200万㌧になります。

 資源不足・高騰、地球温暖化への関心が高まる中、新日鉄は製鉄所のポテンシャルを最大限活用し、今後も社会全体での天然資源の抑制・削減や、省エネルギー・CO2の排出抑制を積極的に推進していきます。

以上


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