【G】新日鉄マテリアルズ 排ガス浄化用新型触媒材料の開発について

2007/12/19

 新日鉄マテリアルズ株式会社(社長:石山 照明)は、新日本製鐵株式会社 先端技術研究所との共同開発により、貴金属の使用量を大幅に減らした新しいタイプの排ガス浄化用触媒材料を開発いたしました。
これまでのガソリンエンジン用排ガス浄化触媒は、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)の3種類の貴金属微粒子をアルミニウム系酸化物の表面に分散したものですが、今回当社が開発した排ガス浄化用触媒は、貴金属微粒子を分散させる酸化物の成分と組織を工夫したものです。
開発した触媒では、プラチナを使用することなく、条件によってはロジウムさえも使用しないで、十分な触媒活性が得られるものです。この結果、貴金属の使用量を従来に比べて、約7割削減することが可能となりました。
新型触媒では、貴金属微粒子を分散する酸化物に、従来のアルミニウム系酸化物に代わり、鉄系酸化物を使用しています。鉄系酸化物にアルカリ土類金属を添加し、「ナノ複合結晶組織」とすることで、これまでにない高い触媒活性を得ることができました。
「ナノ複合結晶組織」は、複数の異なる結晶相を組み合わせてナノレベルで複合されたものであり、この組織と貴金属微粒子との強い相互作用が起こり、貴金属微粒子の電子状態を変化させ、触媒活性が飛躍的に向上したものと考えられます。
従来のアルミニウム系酸化物では、その性能を向上させるために、セリウムやランタンなどの希土類金属を添加されていますが、新型触媒では希土類金属を使用しなくても高い触媒活性が得られています。
また、新型触媒は、幅広い温度の排ガス条件で安定した触媒活性が得られます。これは、「ナノ複合結晶組織」の酸素吸放出能が異なる複数結晶相の寄与と、鉄系酸化物の高い酸素吸蔵能力(酸化セリウム[ CeO2 ]の約100倍)によるものと考えております。
更に、新型触媒は900℃に達する排ガスの高温にも耐えることも確認しています。この結果から、新触媒では、貴金属微粒子の凝集を抑え、優れた長期耐久性が期待できます。
なお、上記の触媒作用(貴金属触媒の高活性化)のメカニズムについては、大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設と新日本製鐵株式会社 先端技術研究所との共同研究により、放射光(=超高輝度X線)を用いて解明されつつあります。
 新日鉄マテリアルズ株式会社は、今回開発した触媒材料で、既に二輪車向け排ガス浄化触媒としてサンプル評価を開始しており、ディーゼルエンジン触媒等の四輪車向けへの適用も視野に入れております。今後は、すでに製造販売している金属ハニカム基材と新型触媒材料を軸にして、環境部材分野への事業展開を強化して行きたいと考えております。

<本件に関する問い合わせ先>
新日鉄マテリアルズ株式会社 企画・総務グループ 
電話:03-3275-6111
E-mail: nsmat@nsmat.nsc.co.jp


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