入社式/社長からのメッセージ(代表取締役社長 三村 明夫)

2005/04/01

 新入社員諸君、新日本製鉄(株)への入社おめでとう。諸君は、様々な動機で新日鉄を選んだことと思います。諸君を心から歓迎いたします。

 新日鉄は、2004年度 史上最高の利益となる3400億円の収益をあげる見通しです。これは、金融機関を除き、日本で10番目に位置する数字です。収益という指標は、次の点で大切です。まず、一定の収益は、社会の中で一定の地位を占めることを意味します。二点目に、一定の収益は、経営が効率的に行われていることの証です。そして三点目に、何よりも、働く従業員が元気になります。2005年度は、さらに上を目指したいと思います。

 しかし、3~5年前、我々は大変な苦境にあったことを忘れてはなりません。販売価格は収益をあげられないレベルまで低下し、世界全体で大変な勢いで業界再編・合併が行われました。その中で非効率的な設備は休止され、その結果、現在では中国での需要増もあり、収益を回復することができました。
 数年前までは、いくらコストダウンしても出口が見えない、という深刻な状況でした。しかし、どんな産業も、どんな企業も、永久に苦しいことはありません。また、今が良いからといって、永久に楽なこともありません。5年に一度は大きな危機が必ずある、というのが私の一つの教訓です。要は、変化を先取りし、さらなる進歩へ向けていかに自己変革するか、が大切だと思います。

 皆さんは知らないかも知れませんが、「鉄は国家なり」という言葉があります。私は、やや傲慢さを感じ、必ずしも好きではありません。しかし、「新日鉄の発展は、国家の発展と共にある」という意味であれば、まことにその通りと思います。我々の繁栄は国内のユーザーの繁栄と共にあり、我々は社会との共生を図るべきであり、時には短期的な利益を犠牲にしても、長期的な利益を追求すべきです。社会との共生は、新日鉄の企業理念の重要な項目です。ぜひこのことを覚えておいてください。

 経営学の本を読むと、会社にとってはヴィジョンと戦略が大事だと書いてあります。しかし私はそれ以上に、現場力こそ、現場を大事にする精神こそ、新日鉄が追求すべき理念だと思います。新日鉄は、現場力を含め、技術で世界をリードする企業です。

 永年のリストラを経、中国の需要増をフォローウインドとして、我々はようやく周囲を見わたす余裕を得、自らを冷静に判断することができるようになりました。これまで新日鉄は財務構造の改善を一つのターゲットにしてきました。D/Eレシオも1を切るなど、経営として、様々なリスクやチャンスに対峙していく財務力をつけました。こうした中、改めて人を育て、人を活かし、自由闊達に議論する会社を目指したいと思います。

 諸君は、これからの会社生活で、さまざまな喜びも、また悩みも体験するでしょう。悩んだ時には、是非とも企業理念に立ち帰り、自らの態度を決めて下さい。
 諸君の充実した、可能性に富んだこれからの人生を心から祝福し、私の挨拶といたします。

                            以上


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