第15回新日鉄音楽賞受賞者 決定のお知らせ

2004/12/13

財団法人 新日鐵文化財団

第15回新日鉄音楽賞は、去る12月9日の最終選考会において受賞者が決定致しましたので、ここにお知らせ申し上げます。

   □ 第15回 新日鉄音楽賞 □

≪フレッシュアーティスト賞≫ 賞状・トロフィー/副賞300万円
  植村 理葉 (うえむら りよ ヴァイオリン)
【授賞理由】
 植村理葉は、ヴァイオリニストと呼ぶよりも、むしろ“音楽家”と呼ぶほうがふさわしい。作曲した人が何を思って作品を書いたのかを奏出しようとしており、聴いていて知的な思いが広がっていく。その表現は多彩になりつつあり、じっくり聴いていると、味わい豊かで、浅くない充実が得られる。日本でのこれからの成長が楽しみだ。


≪特 別 賞≫ 賞状・トロフィー/副賞100万円
   栗山 昌良 (くりやま まさよし 演出家)
【授賞理由】
 奇をてらう演出が多い昨今のオペラ界にあって、栗山昌良は1954年オペラ演出家としてデビューして以来、一貫して原作の持つ音楽性、ドラマ性に忠実に、また歌手の肉体状態に配慮した正攻法の舞台を示してきた。「夕鶴」「金閣寺」、また「椿姫」「蝶々夫人」「ヴォツェック」など、常に安定して見られる舞台はまことに貴重。その業績に対して本賞を贈る。

■■受賞者プロフィール■■

■植村 理葉 (うえむら りよ ヴァイオリン)
1971年生まれ。全日本学生音楽コンクール小学校の部全国大会第1位。日本音楽コンクール第2位。ミケランジェロ・アバド国際コンクール優勝。レオポルト・モーツァルト国際コンクール第2位併せてモーツァルト特別賞を受賞。桐朋女子高校音楽科卒業後、文化庁芸術家在外研修員としてケルン音楽大学、その後ローザンヌ音楽院、さらにローム奨学金を得て、ドレスデン音楽大学で研鑽を積む。これまでに千本芳恵、鈴木共子、和波孝禧、小林健次、I.オジム、P.アモワイアル、M.シュルツァー各氏に師事。

ソリストとして、ローザンヌ室内管弦楽団、ミュンヘン放送管弦楽団、チューリンゲン・フィルハーモニー管弦楽団、シュレースヴィヒ-ホルシュタイン州立交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団などと共演。またドイツを中心にソロ、室内楽などヨーロッパ各地で演奏活動を行う。近年の活動として、2003年はドイツ15都市で協奏曲のソリストをつとめ、04年は5都市でメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏。また4月には東京・立川でベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会を開始(全4回、05年3月まで)。05年は1月にチューリンゲン・フィルとストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲、6月に群馬交響楽団と共演、5月~9月にかけて埼玉・川口でベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会を予定。

ドイツ・ソニーからシューマンのヴァイオリン協奏曲のCDがリリースされている。

彼女の演奏はしばしばドイツの新聞批評にも取り上げられてきている。
モーツァルトの協奏曲では「きわめて優れた様式感」「細部をゆるがせにしないその音作りは一貫して緊張感を保ち、聴き手に息つく暇を与えない」(ゲネラル・アンツァイガー紙)ストラヴィンスキーの協奏曲では「新古典主義的なヴァイオリン協奏曲の完璧な演奏で聴衆を魅了した」(ドレスデン・ザクセン紙)など。
(2004年12月)


■栗山 昌良(くりやま まさよし 演出家)
1926年生まれ。東京出身。独逸学協会中学校卒業。46年千田是也、伊藤道郎の主宰する舞台芸術アカデミーに入所、演劇への道を歩み始める。49年劇団俳優座入座、50年俳優養成所発足と同時に講師となり、俳優の養成にも従事。53年二期会オペラ「オテロ」(ヴェルディ)で師の青山杉作の助手を務め、翌年「アマールと夜の訪問者」(メノッティ)でオペラ演出家としてデビュー。以来、ヴェルディ、プッチーニ、ビゼー、モーツァルト、ロッシーニ等の名作オペラや「夕鶴」(団伊玖麿)、「卒塔婆小町」(石桁眞礼生)、「金閣寺」(黛敏郎)など日本オペラの上演にも力を注ぐ。57年外山雄三、岩城宏之、林 光、妹尾河童、緒方規矩子、佐々木忠次と“スタッフ・クラブ”を結成。64年国立音楽大学講師、66年桐朋学園演劇科講師、67年青年座文芸演出部員、68年東京芸術大学講師。69年畑中良輔、若杉 弘、故・三谷礼二らと東京室内歌劇場を結成。72年文化庁在外研修員として留学。75年文化庁オペラ研修所主任、93年国立音楽大学名誉教授、94年文化庁オペラ研修所所長、98年新国立劇場オペラ研修所講師。

近年では02年二期会創立50周年「椿姫」(ヴェルディ)、03年「蝶々夫人」(プッチーニ)、また今年は「蝶々夫人」、「卒塔婆小町」、「女の平和」(シューベルト)、「フィガロの結婚」(モーツァルト)、「ヴォツェック」(ベルク)などの演出。05年は「こうもり」(J.シュトラウスⅡ世)、「声」(プーランク)、「トゥーランドット」(プッチーニ)、「コシ・ファン・トゥッテ」(モーツァルト)などのオペラを手がける予定。

これまでに87年紫綬褒章、96年勲四等旭日小綬章受章。

(2004年12月)


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