「環境報告書―Sustainability Report-2004」を発行

2004/09/14

本年は、「環境・社会・経済」を柱とする企業の社会的責任(CSR)の取組みに注目が集まる中で、「環境」「社会」の側面を総合的に捉えて、タイトルを「環境報告書―Sustainability Report―2004」とし、「経済」面をカバーする「アニュアルレポート」とセットにして、”CSR報告書”としてご覧頂けるようにしました。
本年度版の主な特徴は、以下の通りです。

1.30年先の2030年の環境・エネルギーロードマップを描き、これに向けての中長期的な取組みを社長から紹介しました。(→02~05ページ)
・特に、エネルギーについて2030年までを視野に入れた長期的なビジョンを提示し、省エネルギーの一層の推進に加えて、風力発電やソーラー発電の普及拡大、廃棄物・バイオマスなどの利用拡大、石炭の高効率利用技術、CO2の分離・貯留技術、水素社会実現のために貢献していくことを説明しました。

2.持続可能な発展(Sustainable Development)に向けた一企業の枠を超えた取組み、長期的な取組み、国際的な取組みを充実しました。
(1)世界鉄鋼業のリーダーとして、国際鉄鋼協会(IISI)を通じて、企業や国の壁を超えて、世界全体で地球温暖化問題に対して取組んでいきます(→06ページ)
(2)国際鉄鋼協会(IISI)は、地球温暖化対策のために、長期視点に立って国境を超えた大規模プロジェクト”CO2の抜本的削減プログラム”をスタートさせました。(→14ページ)
(3)世界最大の鉄鋼メーカーであり、当社が「グローバル戦略契約」を締結しているアルセロール社と共同して持続可能な発展(Sustainable Development)に向けて、これらの課題に取組んでいます。(→14ページ)
(4)当社の地球温暖化問題に対する取組みが、世界の主要な投資家グループによる「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)」の”2004年の気候変動リーダーシップインデックス”ベスト50社に組入れという評価を受けました。(→06ページ)

 3.環境報告
*「環境報告」については、当社の中期環境経営計画(2003~2005年度)中の4項目「地球温暖化対策の推進」「循環型社会構築への参画」「環境リスクマネジメントの推進」「環境・エネルギーソリューションの提供」に加えて、本年は「環境・防災マネジメントシステム」という項目を立て、その中で、「防災マネジメントシステム」、「労働安全衛生マネジメントシステム」に関する記載を充実させました。

(1) 地球温暖化対策の推進
① 2003年度はエネルギー消費量を▲7.1%削減しました(当社の省エネルギー目標は2010年度に1990年度比エネルギー消費量▲10%削減)。また、当社のCO2排出量は、2003年度で対1990年度比▲6.1%削減、当社のCO2排出量は61百万トンと試算しています。(→08ページ)
*参考:当社粗鋼生産量1990年度2899万トン、2003年度3014万トン
②運輸対策として、当社の鉄鋼製品の国内輸送のうち85%は船舶によること、さらにモーダルシフトを進めていることを、姫路~阪神間での実例を通じて示しました。
(→10ページ)
③民生対策として、家庭でのエネルギー消費量を削減すべく社員100人が取組んだ「我が家のCO2」の調査結果を記載しました。(→11ページ)
④中長期的な温暖化対策として、水素社会に向けた研究開発(コークス炉ガスからの水素製造、君津製鉄所構内の「水素・燃料電池実証プロジェクト」)やCO2分離・貯留プロジェクトに参画しています。(→12ページ)
⑤世界最高水準の省エネ技術を途上国に移転することにより、京都メカニズムのCDMプロジェクト化を目指しています(インド/タタ製鉄等)。(→13ページ)

(2) 循環型社会構築への参画
①社内ゼロエミッションの推進については、君津に2基目のRHF設備(回転炉床式還元炉)を設置しダストリサイクルに努めるなど行った結果、最終処分量が37.4万トンとなり、国の廃棄物減量化目標の2005年度中間目標45万トンを達成しました。2003年度のリサイクル率は98%(1,848/1,885万トン)。(→16、18、44ページ)
②廃プラスチック、廃タイヤなど社会や他産業で発生する副産物を製鉄プロセスによりリサイクルする設備対策・投資を充実しました。1999年から5年間でこれらのリサイクル対策設備投資累計額は200億円にのぼりました。(→19ページのグラフ)
③広畑製鉄所の冷鉄源溶解炉(SMP)において廃タイヤの再資源化を行い、すでに約6万トン/年をマテリアルリサイクルして高級な鋼に戻しており、さらに2004年7月に約6万トン/年処理する廃タイヤガス化リサイクル設備を立ち上げ、日本全国で発生する廃タイヤの約1割以上(12万トン/年)を処理する計画です。(→19ページ)
④2003年度は廃プラスチックを4つの事業所で14万トン再資源化しました。2004年度は全国の自治体が回収する廃プラスチックの約35%弱にあたる16万トンをリサイクルする予定です。(→20ページ)
⑤北九州エコタウンに、エコタウン内で発生するリサイクルした後の残渣と自動車のシュレッダーダスト(ASR)等の産業廃棄物を処理する施設複合中核施設を建設中です。2003年4月に広畑製鉄所の廃タイヤガスリサイクルが兵庫エコタウンの中核事業に選定されました。(→21~22ページ)

(3)環境リスクマネジメントの推進
①2003年9月3日の名古屋製鉄所ガスホルダー爆発事故に伴い、敷地境界に大気連続モニタリング装置を新設し、環境への影響監視を継続して行ったところ、NO2(二酸化窒素)、SO2(二酸化硫黄)、SPM(浮遊粒子状物質)、CO(一酸化炭素)のいずれについても環境上問題となるような影響は発生しませんでした。(→24ページ)
②PRTR法に基づく届け出対象物質は32物質で、全社に加え事業所ごとに、上位3物質の情報を開示しました。(→26、54~55ページ)
③焼結施設のダイオキシンは、1997年(自主削減計画基準年)比▲63%削減を行いました(目標▲30%削減)。(→27ページ)

(4)環境・エネルギーソリューションの提供
①鉄のリサイクルとLCAの考え方を日本の鉄鋼循環図と製造プロセスの図により紹介しました(→30ページ)。鉄鋼製品のLCAの観点も踏まえたエコプロダクツRを、地球温暖化対策の推進、環境リスクマネジメントの推進、循環型社会構築への参画の3つに分類して紹介するとともに、関係会社のエコプロダクツも併せて紹介しました。(→31~35ページ)
・地球温暖化対策の推進として、自動車・家電の省エネに貢献する薄鋼板・鋼管・棒線・電磁鋼板、需要家での加工工程効率化に資する厚鋼板エイチタフ(→32ページ)
・有害化学学物質を含まない鉛フリー鋼板、クロメートフリー電気亜鉛メッキ鋼板の出荷急拡大(→33ページ)
・世界最高の引張り強度とメッキ性を両立させたGA-TRIP鋼板(→34ページ)
・関係会社のエコプロダクツとして、2003年10月に発足した新日鐵住金ステンレス(株)の新商品「NSSCシリーズ」、三晃金属工業(株)の「太陽光発電システム」、新日化サーマルセラミックス㈱の生体溶解性繊維による耐火断熱材「スーパーウール」(→35ページ)
②環境ソリューションへの取組み(→36~37ページ)
・環境保全事業として、土壌調査・浄化事業、フロンやPCBなどの有害物適正処理事業、先進的バイオマス利用技術による水処理事業を紹介しました。
・リサイクル推進事業として、ごみ直接溶融・資源化システムを2003年度に2件竣工・5件受注し、東京都スーパーエコタウン事業の建設廃棄物リサイクル施設を受注、ライセンス供与により韓国初のガス化溶融プロジェクトを受注、中国での環境保全技術普及のための合弁会社を設立しました。
③エネルギーソリューションの取組み(→38ページ)
・クリーンな自動車用燃料として期待されている天然ガス液体燃料化(GTL)の技術開発を行い、木質系バイオマスを利用した廃棄物ガス化システムの実証運転を開始しました。
・天然ガスへの総合的な取組みのひとつとして、サハリン-ⅡPhase-2開発計画においてタンカーローディングユニットを受注しました。またCO2削減と電力負荷平準化に寄与することから「晴海アイランド/トリトンスクエアにおける大容量水蓄熱システム」が資源エネルギー長官賞を受賞しました。

(5)環境・防災マネジメントシステム
①全社横断の環境経営委員会(委員長:平尾副社長)を中心に、関係会社(関係会社環境会議)や海外の提携会社(アルセロール、ポスコ)と連携した環境経営のPDCAを推進しています。(→40~41ページ)
②名古屋製鉄所ガスホルダー爆発事故を受けて、全社の防災マネジメントシステムを見直しました。新設ガスホルダー設計に際して、プラントの潜在的な危険性を明らかにするための安全工学上の手法であるHAZOP(Hazard and Operability Analysis)スタディを実施し、さらに学識経験者の監修を受けて建設しました。(→42ページ)
③労働安全衛生の取組みについても、厚生労働省の指針やILOガイドラインにある労働安全衛生システムを活用した取組みを推進しています。(→43ページ)
④2003年度の環境保全コストは、設備投資額184億円、経費は490億円。環境設備投資額は、設備投資総額の約15%、また環境関連研究開発は、研究開発費の16%となりました。環境保全効果は、「環境報告」の各項目において数量や具体的開発事例で示しました。(→44~45ページ)
⑤コンプライアンスとして、内部統制・リスク管理体制の図を用いて説明し、危機管理体制、秘密情報の保護について記載しました。さらに、日本経団連の「企業行動憲章」の遵守を通じて、「企業の社会的責任(CSR)」への社会的関心の高まり、経済のグローバル化に伴う人権問題等に十分配慮しつつ事業活動を行っていることを記載しました。(→46ページ)

4.社会性報告
・当社の中期環境経営計画(2003~2005年度)の重点項目の一つである環境リレーションズの展開として、
①四半世紀を超える地域との共同の取組みとして、「郷土の森づくり」が形となっています。(→48ページ)
②教育民間企業研修の受け入れや、国際協力事業団(JICA)の海外5ヶ国からの研修生に対して地域環境保全技術の教育を行いました。(→49ページ)
③各階層ごとに環境教育を実施し、個別テーマ毎に「環境OFF-JT研修」を積極的に実施しています。(→50ページ)
④環境コミュニケーションツールとして、「新・モノ語リ」シリーズの第3巻を発行し、グループ会社((株)日鉄技術情報センター)が資源エネルギー庁の実施している全国の高等学校を対象としたエネルギー教育用教材キット配付事業を受託しました。(→51ページ)

5.全体を通じて
(1)各テーマの扉に弊社のビジョンを掲載し、取組みの全体観を理解しやすくしました。(→7,15、23,29,39,47ページ)

(2)報告書に対して環境NGOである第三者の意見を掲載し、透明度、信頼性の向上と環境コミュニケーションの充実を図りました。(→53ページ)

(3)社内外の意見やトピックスを紹介する「鉄学コラム」には、地域社会の行政の方、アルセロール社日本駐在や絵本「新・モノ語リシリーズ」の制作者など国内外の方々に登場してもらいました。(→21、14、51ページ)

(4)関連するホームページのURLを充実させ、当社のホームページ「環境経営」との連携を意識した編集を行いました。(→01,6,9,12~15、20~22,25~28ページ等々)

(5)表紙については、本年は、北九州若松区での風力発電事業とし、タイトルのロゴをアニュアルレポートと同様にしました。(→表紙)

(6)用紙について、今年の「環境報告書―Sustainability Report-2004」では国内林業の活性化と地球温暖化対策を意識して、国産間伐紙を使用しました。(→全体)


             (本件に関する問い合わせ先)
新日本製鐵株式会社本社 環境部
能勢グループリーダー  TEL 03-3275-5356
篠上マネジャー     TEL 03-3275-6099   以上


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