「ナノ粒子を利用した溶接部高靭性高張力厚鋼板」で市村産業賞受賞

2004/04/27

新日本製鐵株式会社(社長:三村 明夫)が開発した「HAZ細粒高靭化技術:HTUFF(エイチタフ)」(平成13年3月6日発表)が、「ナノ粒子を利用した溶接部高靭性高張力厚鋼板」の件名で、第36回(平成15年度)市村産業賞を受賞致しました。表彰式は4月28日にホテルオークラで行われます。

【受賞件名】
ナノ粒子を利用した溶接部高靭性高張力厚鋼板の開発
【賞名】
第36回市村産業賞 貢献賞
【受賞者】
技術開発本部  鉄鋼研究所  主任研究員 児島明彦
技術開発本部 大分技術研究部 主任研究員 皆川昌紀
技術開発本部 環境・プロセス研究開発センター  主任研究員 清瀬明人

1. 開発の背景
 鉄鋼業で製造される厚鋼板は、船舶、高層ビル、橋梁、海洋構造物、パイプラインなどの大型溶接構造物に使用される重要な素材です。近年、溶接構造物に対して信頼性向上、大型化、軽量化、溶接能率向上などの社会的ニーズが高まっております。高能率な溶接を施しても溶接部が壊れにくい(=溶接熱影響部(HAZ: Heat Affected Zone)において破壊に対する抵抗力(靭性)が高い)高張力厚鋼板の開発が強く望まれておりました。
2. 開発技術の概要
新日本製鉄は厚鋼板のHAZ靭性を格段に高めることを目的に、従来の限界を超える新しいHAZ細粒高靭化技術「HTUFF(エイチタフ):Super High HAZ Toughness Technology with Fine Microstructure Imparted by Fine Particles」を開発致しました。本技術は、酸化物や硫化物をナノ粒子として活用し、HAZの金属組織を画期的に微細化する技術です。
3. 開発技術の特長と効果
本技術は、1400℃以上の高温に加熱されるHAZの結晶粒成長を強力に抑制することを狙って、高温での熱的安定性に優れる酸化物や硫化物を微細かつ高密度に分散させる技術です。これを実現するために、酸素や硫黄と化学的親和力の強いマグネシウムやカルシウムなどに着眼し、これらの酸化物や硫化物の大きさを従来の1/100~1/10まで微細化し、ナノ粒子として高密度に分散させる技術を工業的に確立致しました。本技術を適用した開発鋼は、高能率な大入熱溶接を施してもHAZの結晶粒が従来鋼の1/5程度まで微細化するため、溶接部が壊れにくく、例えばHAZ靭性(衝撃破壊の吸収エネルギー)が2倍以上に向上します。開発鋼は国内外における各種の大型溶接構造物として既に28万トン以上の使用実績があり、構造物の安全性向上、建造コスト低減、輸送効率向上などに貢献しております。

*「HTUFF」は、新日本製鉄(株)の登録商標です。

問い合わせ先:広報センター 03-3275-5021

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