「液体水素製造技術開発」実証設備の開所式

2004/03/17

新日本製鐵株式會社は、経済産業省の水素・燃料電池実証(JHFC)プロジェクト(*1)の一環として、昨年より君津製鐵所構内に建設しておりました「液体水素製造技術開発」実証設備を完成し、本日開所式を行います。

「液体水素製造技術開発」は、燃料電池自動車用の水素供給を前提とし、製鉄副生ガス(コークス炉ガス;COG)から最適な水素精製・液化システムを構築すること、製造した液体水素を有明水素ステーションへ供給し、燃料電池自動車走行までの一貫システムの実証試験を行うことを目的としております。COGから液体水素までの製造実証は、世界初の試みです。非常に高純度(99.999vol%以上)の液体水素を、1日あたり0.2t製造します。昨年12月に設備の建設・試運転を完了し、来年度からの実証運転に向けて万全の準備を整えているところです。

COGからの水素製造(製鉄副生水素)には、以下の特徴がございます。
1. COGは、水素そのものを約55%含んでおり、効率的に水素を分離・回収することができます。
2. COGからの水素製造の供給ポテンシャルは、他の副生水素に比して非常に大きく、さらに製鉄所は主要都市に近接し、全国に分布していることから、供給拠点としても有望と言えます。
3. COGからの水素製造は、化石燃料からの水素製造のような改質プロセスが不要で、シンプルなプロセスであり、他のシステムに比してエネルギー効率が高く、環境特性にも優れていると考えられます。
4. また近年のCO2固定化研究開発の中でも、製鉄所はCO2の分離回収の有力なサイトとして期待されており、各種の開発実証試験が行われています。実用化された暁には、CO2レスの水素製造システムが完成します。
5. 製造システムがシンプルであることに加え、製鉄所内のインフラ、ユーティリティーを活用することにより、効率的な水素製造が可能となります。さらには水素の集中生産が可能であるため、将来的には大規模化による低コスト化が期待されています。

 新日鐵は、将来の水素ソースとして期待されています製鉄副生水素の高い供給ポテンシャルを有しており、再生可能エネルギーによる水素製造が将来普及するまでの橋渡し役として、水素を社会に供給していきたいと考えています。加えて、各種の研究開発、実証プロジェクトへの参画を通じて、更なる効率化、供給力の向上を図っていきます。 また、世界有数の素材メーカーとして、水素・燃料電池用材料の開発に取り組むとともに、水素製造設備をはじめとする水素供給システム全般に関するエンジニアリング力を有しており、これら技術力をベースに水素供給インフラ整備をハード供給面からも支えていくことにより、水素社会の構築に貢献していきたいと考えております。


(*1)JHFCプロジェクトについて
JHFCプロジェクトは、経産省の固体高分子形燃料電池システム実証等研究補助事業に含まれる「燃料電池自動車実証研究」と「燃料電池自動車用水素供給設備実証研究」から構成されるプロジェクトで、各種燃料からの水素製造方法、現実の使用条件下でのFCVの性能、環境特性、エネルギー効率、安全性に関するデータを収集・共有化し、本格的量産と普及を目指すものであります。実施期間は、平成14年度から17年度までとなっています。

以 上


問い合わせ先 新日鉄エンジニアリング(株)広報室 TEL03-3275-6030


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