鋼製地中連続壁工法 「第5回 国土技術開発賞」受賞

2003/09/30

平成15年9月30日
新日本製鐵株式会社

鋼製地中連続壁工法 「第5回 国土技術開発賞」受賞

新日本製鐵株式会社、ハザマ、清水建設株式会社、株式会社大林組、鹿島建設株式会社、東急建設株式会社の6社(代表:新日鉄)は、薄壁型で省スペース・省力施工の都市環境保全型地中連続壁工法である「鋼製地中連続壁工法」の開発に関して、第5回国土技術開発賞を受賞しました。
授賞式は本日10時より、虎ノ門パストラルにて行われ、選考委員会委員長である中村英夫武蔵工業大学教授より、表彰されました。
国土技術開発賞は、建設産業におけるハード技術のみならず、ソフト技術も含めた広範な新技術を対象として表彰するものであり、技術開発者に対する研究開発意欲の啓発ならびに建設技術水準の向上を図ることを目的として行われています。
本表彰制度は、(財)国土技術研究センターと(財)沿岸開発技術研究センターとが主催し、国土交通省の後援、(財)日本建設情報総合センター、(財)先端建設技術センター、(財)港湾空港建設技術サービスセンターの協賛のもと行われています。

【開発技術】
鋼製地中連続壁工法は、安定液掘削工法により造成された溝中に鋼製連壁部材NS-BOXを建込み、コンクリートなどを充填して土留め壁を構築する、わが国独自の工法です。従来工法(鉄筋コンクリート地中連続壁=RC連壁)に比べ、土留め壁の薄壁化、現場の省スペース化が図れます。
同工法の開発にあたっては、鋼製地中連続壁用の新しい構造部材NS-BOXを開発し、NS-BOXとコンクリートの複合構造特性を明らかにするとともに、施工法の開発を行い、設計施工技術を確立しました。特にNS-BOX用に開発した「連壁用形鋼」は明治以降、輸入技術で生産された軌条、鋼矢板、H形鋼と違って、わが国初の日本オリジナルの大型圧延形鋼となりました。
新工法は、大深度でスペースの厳しい共同溝立坑、地下道路および地下駅舎などで、地下構造物の建設を容易にしました。たとえば、交通制限の厳しい道路上の共同溝立坑建設や、移設不可能な下水本管に近接した地下道路壁建設において、他の工法では実現が困難であった工事を可能にしました。海外においても、従来工法では不可能であったバンコク地下鉄シーロム駅が同工法で施行され、わが国の独自技術で海外貢献を果たしました。今後のわが国の課題である建設副産物や産業廃棄物の抑制もでき、環境問題でも社会に大きく貢献できると考えられます。



【開発技術の目標達成度】
[1]コスト縮減:壁厚1.5m以上のRC連壁に対して10%コスト縮減、20%工期短縮の目標を達成
[2]地中連続壁の薄壁化および地中連続壁本体利用:RC連壁に対して約30%壁厚を縮小し、かつ地中連続壁を仮設兼用の本体地下壁として利用する目標を達成
[3]現場省スペース化:現場作業ヤードを約30%縮小の目標を達成
[4]環境への配慮:安定液掘削で発生する残土(産廃処理)を約30%削減、建設副産物の約10%削減の目標を達成

【開発技術の適用範囲】
[1]用途は仮設兼用本体地下壁として地下道路、地下鉄駅舎、共同溝立坑、地下駐車場、地下室など。
[2]施工規模は深さ100m、壁厚2.4m。
[3]特に本工法のメリットを発揮できる条件
・用地制限、埋設物制限により、薄壁化が要求される場所。
・道路上などで施工現場が狭く、交通車線が確保できないような施工場所。
・高架道路下などの上空制限のある施工場所。

【今後の発展性等】
大深度地下利用法の法令により、都市部の地下は大深度化するとともに、シールドトンネルの大径化の傾向があることから、土留め壁は、より大きな耐力が要求されると言われています。本工法は大深度、大断面力などの条件下で、より経済性追求、工期短縮のできる工法であり、特に都市部において大きな発展が期待できます。また、東南アジア諸国においても、地下駅、地下道路など、狭隘な施工条件下では、本工法を広く適用できるものと期待しています。


【参考:「鋼製地中連続壁」の受賞歴】
 ・H8.5 「土木学会技術開発賞」
 ・H15.7 「第23回エンジニアリング功労者賞」
 ・H15.9 「第5回国土技術開発賞」

〔本件に関する問合せ先〕
新日本製鐵株式会社建材事業部建材開発技術部 川端規之、清崎弘二
Tel: 03-3275-5272 Fax: 03-3275-5636
以 上


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