コバルト系FT合成触媒の開発・実用化目処について

2003/09/16

新日本製鉄株式会社は、石油公団及び民間会社4社(石油資源開発(株)、千代田化工建設(株)、コスモ石油(株)、国際石油開発(株))とともに、GTL技術(Gas to Liquids: 天然ガス液体燃料化技術)実用化研究に参加し、非貴金属系FT合成触媒の開発を担当しております。
この度、当社が開発したコバルト系FT合成触媒を用いて、本年9月5日に北海道苫小牧市勇払のパイロットプラントにて最大生産能力である、GTL油連続日産量7バーレルを達成しました。
1. (経緯) 新日本製鉄株式会社エンジニアリング事業本部では、平成13年度から3年間の予定で「非貴金属系FT合成触媒の開発」を石油公団とともに実行してきました。触媒開発については新日本製鉄技術開発本部先端技術研究所が担当し、プラントエンジニアリングについてはエンジニアリング事業本部が実行しています。平成14年度末までに先端研にて開発されたコバルト系触媒について、ラボベースの試験を繰り返すことにより触媒の性能を確認してきました。平成15年度にはパイロットプラントへ投入するために、ラボで開発された触媒の大量製造方法についても検討を重ね、大量製造された触媒の能力が変わらないことを確認しました。本触媒を用いて平成15年6月にパイロットプラントに投入し、パイロットプラントにおける触媒性能を確認するべく、運転を継続してきました。
2. (成果) 本年9月5日、勇払パイロットプラントにおいてGTL油製造プラントの装置設計上の連続生産能力である日産量7バーレル(平均7.2バーレル、最大7.4バーレル)をFT油合成において達成しました。またこの最大生産能力達成以前に、「単位触媒・単位時間当りのFT合成油生産性」においても1,300 g/kg-cat・hrを超える世界最高水準を達成いたしました。これにより、今回開発したコバルト系FT合成触媒の実用化に目途をつけました。

3. (今後の予定) 今後は、引き続き勇払パイロットプラント及びラボにおける実験を継続し、[1]本研究にて独自に開発したFT合成用触媒の性能及び寿命の検証、[2]実用化へ向けたプラント設計の際に必要となるエンジニアリング・データの取得、[3]更に性能の高いFT合成用触媒の実用化を予定しております。
4. (特徴) GTL技術は、天然ガスを触媒により合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)に改質するプロセス(合成ガス製造工程)と触媒により合成ガスから液体燃料に転換するFT(フィッシャー・トロプシュ)反応プロセス(液体燃料製造工程)から構成されています。本技術は、天然ガスから軽油、灯油等の液体燃料を製造する技術であり、製造される燃料には硫黄、窒素化合物等の不純物が含まれていない「クリーン燃料」であることから、「環境に優しい技術」として注目されています。また、輸送・開発コストの問題から、これまで未開発となっていた遠隔地や小規模のガス田の開発を可能にする技術としても期待されています。本触媒開発はGTLの根幹となる一つの重要なFT反応プロセスにとり、経済性を左右する重要な位置付けとなります。
5. (実用化検討) 新日本製鉄では、GTLプラントビジネスにおいて、FT合成用触媒がキー技術であると確信しており、触媒を武器にGTLに関するエンジニアリングやプラント建設に積極的に参入することを目指しています。

○ 共同研究のメンバー(研究費用負担比率)
石油公団 75%
新日本製鐵(株) 25%

○ 研究開発規模(石油公団+新日本製鉄負担分)
     平成13年度~平成15年度  約4.6億円(見込み)
【問い合わせ先】
新日鉄エンジニアリング(株)広報室 TEL03-3275-6030


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