環境調和型素材「鉄鋼スラグ水和固化体」の実用化準備整う―鉄鋼スラグ水和固化体技術マニュアルを発刊―

2003/07/30

JFEスチール株式会社
新日本製鐵株式会社

 JFEスチール(株)(以下 JFEスチール)と新日本製鐵(株)(以下 新日鉄)は、独立行政法人港湾空港技術研究所(以下 港湾空港技術研究所)および財団法人沿岸開発技術研究センター(以下 沿岸開発技術研究センター)と共同で、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグを主原料とした「鉄鋼スラグ水和固化体」を港湾工事用材料として適用する技術を検討してきました。
また,本技術を港湾工事用材料として適用するための検討を平成13年より開始し、「鉄鋼スラグ水和固化体の港湾工事材料としての活用開発に関する検討会」(座長:大即教授(東京工業大学)、事務局:沿岸開発技術研究センター)における技術検討を経て、平成15年3月に終了しました。
 この度、その成果をまとめた「鉄鋼スラグ水和固化体技術マニュアル-製鋼スラグの有効利用技術-」が沿岸開発技術ライブラリー16として沿岸開発技術研究センターより発刊されることとなりました。
 「鉄鋼スラグ水和固化体」は港湾工事における消波や被覆ブロックなどのブロック類や石材代替等に適用されており、製鋼スラグと高炉スラグ微粉末を主要材料とし、必要に応じてフライアッシュ、高炉水砕スラグを配合して製造されます。砂利、砂等の天然材料を全く使用しないことから、環境負荷の低減に資するリサイクル材です。

(鉄鋼スラグ水和固化体の特長)
(1)高い密度
   高密度の製鋼スラグ(表乾密度2.8~3.5g/cm3程度)を原料としているため、鉄鋼スラグ水和固化体の単位体積質量は標準的な配合で2.4~2.6t/m3程度と,普通コンクリート約2.3t/m3に比べてと大きくなります。
(2)強度特性
   製造後28日経過した状態で一般の異形ブロックの設計基準強度である18N/mm2以上の圧縮強度が得られ、普通コンクリートよりも長期強度※の伸びが大きいことが特長です。また、曲げ強度、引張強度は同じ圧縮強度の普通コンクリートと同等です。
(3)高い耐摩耗性
   すりへり係数は、圧縮強度が20N/mm2以上の場合、普通コンクリートよりも小さくなり、耐磨耗性に優れます。
(4)低いアルカリ成分の溶出性
   ポルトランドセメントを使用していないため、海中でのアルカリ成分の溶出がより小さくなります。
(5)優れた付着生物性
   原料の製鋼スラグ等には、鉄、珪素等の生物に必須の元素を多く含むため、海洋環境下における付着生物の種類数、付着生物量がより多くなります。

なお、本検討はさらに下記各社の協力を受けております。
株式会社テトラ
株式会社ポゾリス物産
五洋建設株式会社
第一工業製薬株式会社
中国電力株式会社
電源開発株式会社
東亜建設工業株式会社
(以上あいうえお順)

 本技術を利用した施工実績はJFEスチール西日本製鉄所倉敷地区における護岸工事、新日鉄大分製鉄所設備基礎工事をはじめとして既に15万7,200tに達しております。
 今回の技術マニュアルの発刊を機に、公共工事に積極的に採用していただくべく普及活動につとめてまいります。
                                           以上


※長期強度:材齢91日,およびそれ以上の材齢で評価した強度のこと.一般にコンクリートでは材齢28日での強度で材料の品質が評価され,それ以上の材齢での強度増進は小さいが,鉄鋼スラグ水和固化体では材齢28日以降も強度が増進し,91日には28日の強度の1.3倍ほどに達し,その後も増進する.

(写真)鉄鋼スラグ水和固化体を用いた護岸補強工事外観
岡山県水島港 2002年 9月
  人工石材14万t、被覆ブロック7,800t を使用


(本件に関するお問合せ先)
JFEスチール(株) 広報室 03-3597-3166
新日本製鐵(株) 広報センター 03-3275-5021


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