新工法「MSカップリングケーソン工法」を開発~オープンケーソンと鋼製部材NS-BOX(BX)を組み合わせて工期短縮・安全性を向上~

2003/07/24

 新日本製鐵株式会社(社長:三村明夫)と株式会社守谷商会(社長:齋藤嘉徳)は「MS※カップリングケーソン工法」を共同開発し、この度、長野県発注の赤坂橋P6橋脚工事に採用され、施工を完了しました。MSカップリングケーソンは、橋梁等の大型の基礎に用いられるケーソン基礎の止水壁に、新日鉄の製品であるNS-BOX(BX)を使用し、経済性向上、工期短縮を実現する工法です。

河川区域内に橋脚を設置する等の場合、まず箱状または筒状の「ケーソン」を支持層まで沈設させて基礎とし、この中に構造物を構築しますが、ケーソンの上部には構築後に撤去される仮設止水壁が設けられます。仮設止水壁にては鋼矢板が多く使用されますが、支持層が深く鋼矢板の壁高が約7~8mを超えると剛性が不足するため、鋼矢板と鉄筋コンクリートの一体化構造とするか、あるいは鋼矢板を用いないニューマチックケーソンにする必要がありました。いずれも経済性・工期が大きな問題でした。
鋼矢板と鉄筋コンクリートの一体化構造は、コンクリート打設にともなう工事費アップや工期の長期化の問題、さらに、コンクリートはつり作業にともなう作業環境の悪化、産業廃棄物の排出の問題があります。また、ニューマチックケーソンは、信頼性に優れますが、設備費用が大きく工事費が増大する上、高圧気下での作業員の労働負荷が大きいという問題があります。

「MSカップリングケーソン」工法は、鋼矢板よりも大きな剛性をもつNS-BOX(BX)を使用することにより、止水壁が7~8mを超える場合でもコンクリート打設やニューマチックケーソンの採用が不要となり、経済性向上と工期短縮が可能となりました。また、撤去後のNS-BOX(BX)は、同じ形状の橋脚であれば再利用が可能であるため、リサイクル使用も可能で、経済性向上・建設廃材問題の解決にもつながります。

長野県赤坂橋P6橋脚では深さ9mを超える止水壁構造が必要となり、当初、鋼矢板と鉄筋コンクリートの一体化構造が計画されていましたが、この工法では止水壁の構築撤去に70日掛かり工期が220日と予想され、千曲川の渇水期(11月~4月)に工事を終えることが不可能でした。本工法により、止水壁の構築撤去を50日短縮して工期を170日とすることで渇水期内の竣工ができました。さらにNS-BOX(BX)の引抜きにより転用性(リサイクル性)も確認できております。

MSカップリングケーソン工法の採用により、従来不可能であった大深度でもオープンケーソン工法を採用することができ、経済的なケーソン基礎の構築が可能となります。
(※MSはMetal Structure of Coupling Caissonの略称です。)

問い合わせ先 新日本製鐵(株) 建材開発技術部 田崎・清崎03-3275-7748(FAX03-3275-5636)(株)守谷商会 技術研究室 宮下・相沢 026-223-8192(FAX026-223-9194)

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