バンコク地下鉄鋼製地中連続壁プロジェクトチーム 第23回エンジニアリング功労者賞受賞

2003/07/10

東急建設株式会社(社長:落合 和雄)と新日本製鐵株式会社(社長:三村 明夫)とが、株式会社熊谷組(社長:鳥飼 一俊)、株式会社巴コーポレーション(社長:菊池 昌利)と共同で結成した「バンコク地下鉄鋼製地中連続壁プロジェクトチーム」(以下、プロジェクトは「本プロジェクト」、チームは「本チーム」)は、バンコク地下鉄プロジェクト(タイ国、期間:1996年12月~2002年12月)のシーロム駅建設において採用された鋼製地中連続壁のエンジニアリング業務に関して、財団法人エンジニアリング振興協会より第23回エンジニアリング功労者賞を受賞しました。授賞式は本日17時より、東海大学校友会館「望星の間」にて行われました。

エンジニアリング功労者賞は、その活動を通じてエンジニアリング産業の発展に著しく貢献したグループ(チーム)および個人を表彰するもので、本チームの受賞は、エンジニアリング産業における技術力の向上や新分野の開拓など「エンジニアリング振興」分野において高い評価を受けたことによるものです。

【プロジェクトチーム発足の経緯】
シーロム駅はバンコク地下鉄ルートの中でも最も渋滞の激しいビジネスの中心地にあり、当初は高級ホテルの前庭に建設の予定でしたが、地権者の反対により位置をずらし、高架道路をアンダーピニングして、その直下に建設することになりました。
そのため、駅は高架道路の荷重を受けることになり、さらに橋脚の基礎を避けて深い位置に変更されたことから、当初予定していたRC地中連続壁では厚さが1.2mから1.8mに増大し、それに伴い地中連続壁掘削機、周辺の地下埋設物用地、路下施工などの問題が生じたため、施工が事実上不可能となりました。
そこで、上記4社は、薄壁化が可能で施工性に優れ、土留めだけでなく駅舎本体としても利用可能な鋼製地中連続壁の採用を提案するとともに、海外で初の適用となることを踏まえ、本プロジェクトを品質・工期ともに成功裡に完遂させるため、本チームを結成したものです。

【エンジニアリングの概要】
本プロジェクトは、これまで日本国内でのみ採用されていた鋼製地中連続壁を国際標準や現地の実情に合わせ、新たな思想の基に実用化していくことを主眼としました。
その際、最も重要視されたのが、計画見直しによる工事の中断に伴い、シーロム駅の建設が地下鉄プロジェクト全体の工程に影響を及ぼす恐れがあることでした。そのため、工法の変更と合わせて大幅な工期短縮を図ることが必要となりました。
また、深度47m、壁面積16,000平方メートル、鋼製部材重量7,500tに及ぶ鋼製地中連続壁は、本体利用のケースとしては現在においても世界最大であり、しかも、それを支える地盤は「バンコククレイ」と呼ばれる世界的に有名な超軟弱地盤でした。
そこで、本チームは、技術提案、設計方法の開発、設計コーディネーション、現地鋼材加工会社における製作ラインの開発、製作管理・技術指導、施工方法の改善、現地基礎業者を雇用して
の施工管理などを中心として、エンジニアリング業務を実施しました。
設計面では、国際設計基準と日本の鋼製地中連続壁設計・施工指針(案)とを融合させただけでなく、日本では採用されていなかった最新の限界状態設計法を開発・適用しており、その結果、鋼材総重量をかなり節約することができました。製造面では、鋼製地中連続壁部材(NS-BOX)の主材料を日本から輸送し、現地の加工会社を起用し、実施しました。工法面においても、パネル間継手の改良や溶接式カプラを採用することにより、施工速度の改善とコストダウンを実現することができました。これらの実績は、今後日本国内での施工へのフィードバックが見込まれています。
【今後の展開】
本プロジェクトの実績は、国内でも難度の高い鋼製地中連続壁を国際プロジェクトの舞台でさらに発展させ、従来技術では不可能であった工事を実現させたものとして、現地のみならず国際的にも高い評価を得ております。
東急建設と新日本製鐵では、今後、タイ国だけでなく、他の東南アジア諸国においても都市部の開発における鋼製地中連続壁の有効性を提案し、需要拡大に努めて行きたいと考えています。


〔本件に関する問合せ先〕
新日本製鐵株式会社 建材開発技術部マネジャー 田崎 和之
Tel: 03-3275-7748 Fax: 03-3275-5636

以 上


このページの上部へ

ここからフッター情報です