省エネに貢献する薄手高効率電磁鋼板メニューを充実

新日本製鐵株式会社（社長：千速　晃）は、超高速（数万回転／分）モータ用の「高張力電磁鋼板」と、ハードディスクドライブ（HDD）等用途に適した「高トルク・高加工性電磁鋼板」を開発致しました。

電磁鋼板は、モータをはじめとする電気機器の鉄心材料として広く使用され、その電力損失が機器の効率・エネルギー消費量を左右する重要な材料です。当社は電磁鋼板のトップメーカーとして、広範囲の用途に対応したあらゆる種類の電磁鋼板を生産・販売し、機器の効率向上、エネルギーの有効活用に貢献してきました。最近では、省エネルギー・地球温暖化防止に対する世界規模での活動の中で、モータの高効率化の要請が一層高まり、特にHDD用モータ、電気自動車駆動用モータ、マイクロガスタービン用発電機等の用途では、高効率電磁鋼板の採用が拡大しつつあります。
モータのエネルギーロス（鉄損）低減のためには、使用される電磁鋼板の薄手化が有力な方法です。当社は、これまで高効率の薄手電磁鋼板として板厚0.15～0.20mm（規格名：15HTH1000、20HTH1200、20HTH1500）の商品をラインアップしてまいりました。今回、モータおよびその製造工程のさらなる効率向上を追求する需要家からのご要望に応え、薄手電磁鋼板のラインアップを拡充しました。
　
[1] 高張力薄手電磁鋼板（規格名：15HST780Y、20HST570Y、20HST780Y）
モータは、効率向上のため高速化が進んでおります。高速回転の際、回転子（ロータ）には大きな遠心力が作用するため、使用される電磁鋼板の強度が不足すると破壊に至る危険があります。特に、電磁鋼板製の回転子に穴を開けて磁石を挿入しているタイプのモータでは、構造上、磁石を保持する部分の強度確保が非常に重要な課題となります。「高張力薄手電磁鋼板」は、鉄損の増加を最小限に抑えながら、従来の２倍以上の高強度を実現致しました。

[2] 高トルク・高加工性薄手電磁鋼板（規格名：20HTH1800）
HDDは、回転するディスクの面安定性向上等を目的に流体軸受の採用が増えつつありますが、ベアリング軸受に比べて摩擦抵抗が大きくなり、モータのトルク向上が求められています。このため、電磁鋼板には高磁束密度であることが求められます。また、HDDモータ生産台数の増加にともない、金型の損耗を防ぐため打ち抜き加工性の改善（低硬度）も必要となってきております。鉄損値を許容範囲に保ちながら、より高磁束密度で加工性の高い新商品を開発しました。

既に、これらの新商品を使って、数万回転を越える高速スピンドルモータ、磁気軸受、あるいは電気自動車用モータ等をターゲットに試作開発が進められております。今後、これらの新商品が、小型化の進むモバイル機器や電気自動車の普及・発展のための重要な材料として幅広く使用され、省エネルギー・地球温暖化防止に大きく貢献できることを期待しております。
以上
連絡先：電磁鋼板営業部　坂井田　03-3275-7857
広報センター　菅家　03-3275-5021