新工法「ソイルセメント鋼製地中連続壁工法」を開発

2002/09/03

新日本製鐵株式会社(社長:千速 晃)および主要ゼネコン34社で構成する「鋼製地中連続壁協会」(会長:平尾 隆 新日鉄常務)は「ソイルセメント鋼製地中連続壁工法」を開発し、7月1日に(財)国土技術研究センターの技術審査証明書が交付されました。

地下に鉄道・自動車道その他の構造物を建設するにあたっては、建設地下空間を地中壁で囲う必要があります。従来、大深度ではコンクリート地中連続壁工法(掘削した溝に、現場で製作した鉄筋かごを入れ、コンクリートを充填して仮設兼用本体壁を構築する工法)等が一般的であり、また中深度ではソイルセメント柱列壁工法(ソイルセメント中にH形鋼を建込み、仮設壁を構築する工法)が使用されています。近年、特に都市部において、狭い空間内での施工、建設副産物(廃棄物、残土)の発生抑止等が課題となり、経済的な本体利用の土留め壁の開発が進められております。

「鋼製地中連続壁工法」は、継ぎ手を有するH形鋼(NS-BOX)を連結して地中に建て込み、壁を造っていくもので、「薄壁」「省力」「省スペース」が可能な土留め壁工法です。
従来の「鋼製地中連続壁工法-I」は地盤を溝状に掘削した後、鋼製連壁部材NS-BOXを建込み、コンクリートを充填する工法で、主に30m~100mの大深度に適用されていました。今回開発した「鋼製地中連続壁工法-II」はソイルセメント(原地盤とセメントを攪拌混合して固めるもの)中に鋼製連壁部材NS-BOXを建込む工法で主に10m~50mの中深度に適用するものです。「工法-II」は作業工程を簡素化することにより、従来の「工法-I」に比べて工事費、工期が40%程度縮減できるようになりました。また、「工法-I」と同様に本体利用(仮設でなく最終的に本体として利用されること)できることから、建設副産物の発生を最小限に抑えることができるため、環境に対応した工法です。従来のソイルセメント柱列壁工法との比較では、硬質地盤で5~10%程度工事費を縮減でき、さらに用地買収費用の縮減により工事費全体では20%程度の削減も可能となります。

 「工法-II」は平成8年に「薄壁」「省力」「省スペース」として(財)国土開発技術研究センター(国土技術研究センターの前身)より技術審査証明を取得しておりましたが、今回は、新工法である「工法-II」も含めて「本体利用できる壁体」としての技術審査証明を同センターより受けました。   
従来、ソイルセメント利用の土留め工法は、床版接合、止水性、施工精度等の問題から土木分野ではほとんどが仮設利用に止まっておりましたが、「鋼製地中連続壁工法」ではこれらが解決されており、同センターにおいて、初めてソイルセメントの本体利用が認められました。

今後は都市部における立坑、地下駅舎および地下道路、各種立坑を対象として、「本体利用」、「薄壁」「省力化」「省スペース」による建設費の縮減・工期短縮、さらには産業廃棄物低減などの「環境対応」を柱に、鋼製地中連続壁工法のさらなる需要拡大を図って行きたいと考えております。
以上

鋼製地中連続壁協会 会員(35社)
(株)大林組、(株)大本組、(株)奥村組、鹿島建設(株)、(株)熊谷組、(株)鴻池組、五洋建設(株)、佐藤工業(株)、清水建設(株)、新日本製鐵(株)、住友建設(株)、西武建設(株)、(株)銭高組、大成建設(株)、大日本土木(株)、大豊建設(株)、(株)竹中土木、(株)地崎工業、(株)鉄建建設、東亜建設工業(株)、東急建設(株)、東洋建設(株)、戸田建設(株)、飛島建設(株)、西松建設(株)、日産建設(株)、日本国土開発(株)、ハザマ、フジタ、不動建設(株)、(株)本間組、前田建設工業(株)、三井建設(株)、みらい建設工業(株)、村本建設(株)

問い合わせ先   鋼製地中連続壁協会 事務局長 田崎和之 03-3275-7748(FAX03-3242-8610)


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